時代の変化と不変的なこと | リサーチ・市場調査・マーケティング

マーケティングコラム
2016/9/21

時代の変化と不変的なこと

時代の変化と不変的なこと

その昔の仕事環境

 私が社会人として働きはじめたころ、仕事をしながら自分のデスクでたばこが吸えていた。それは会議中も同様だ。会議の前は灰皿を給湯室に取りに行き、机に並べ先輩や上司が来るのを待つ。新人の仕事だった。
 バルセロナ五輪では岩崎恭子選手が金メダルを取り、新幹線「のぞみ」が運転を開始した時代。自分の中ではさほど遠くはない過去だが、もう20数年も前のことである。
 当時の調査手法は訪問面接調査がスタンダードで、「早い」「安い」といえば電話調査であった。集計クロス表も全て紙で出力していた。BD(ブレイクダウン:集計軸)はもちろんだが、どの質問を設定して、クロス集計を行い、いかに結果を導き出すかに頭を悩ませた。

 

 不必要な集計を出すと、下手をすれば何百ページも無駄になり、何よりデータが見にくくなってしまう。悩みどころではあったが、バシっとした集計を納品するのは調査マンとしての腕の見せ所だった。訪問面接調査であれば、調査票印刷や週単位での実施期間、実施終了後の回収チェックなど多くの工程が存在するため、それなりの時間がかかる。当時は調査の全体的なスケジュールにも余裕があった時代だった。

スピードと便利さの傍らで…

 それが今では、オーダーから翌日に調査結果が出せる時代になった。しかも何千という膨大なデータだ。集計クロス表もデジタル化が進み、オールクロスはもちろん、必要な部分のみも自分で手軽に出せる。まさか、自分が“おじさん”になる頃にこんな時代が来るとは到底想像もしていなかった。
 ある意味ブラックボックスだった市場調査が身近になった昨今、一方で不変的な事もある。以下はいずれも基本的なことだが「調査をやる上で避けるべきこと」として、講義などで話をさせていただく際に引用しているものを抜粋した。

 

・とりあえず分からないから調べてみるか、という調査
 疑問と課題を混在させているパターンが多い。 目的と課題を明らかにし、何のためにお金を掛けてまで調査をやるのかを考えるべき。

・質問量が多すぎる調査
 自分が疲れて家に帰ってきて答えると思う質問量か。真面目に答えると思う量か。その前に、その量の質問がなければ課題や目的が達成できないのかを考えるべき。

・なんでもかんでもWEB調査
 WEB調査の特性を理解せず、早い・安いだけで安易にWEB調査を選択してしまう。目的にあった最適な調査手法を選択すべき。

 などと、偉そうな事は書いたが、現実には私も仕方なく対応しなければならない事もあるし、理不尽な案件が山ほどある事も事実である。そこで大事になってくるのは、本質を理解している事、相談できる仲間がいる事だと思っている。
 何事もそうであるが、本質を理解していなければ、何が(本来は)正しいのかを見失う。また、何が正しいか分からなくなった時は友が助けてくれる。実際、私も周囲の人に多くを助けられた。この業界が今後どの様に変貌を遂げていくのかは全くの未知ではあるが、時代に取り残されることなく、本質を見失わずに今後も精進していきたい。

株式会社クロス・マーケティング リサーチプランニング部 ゼネラルマネージャー 五十峯 正貴

広告代理店系調査会社で20年以上マーケティングリサーチに従事し、2016年クロス・マーケティングに入社。リサーチプランニング部において企画・分析を担当、サポートするとともに、若手育成にも注力している。

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