「マーケティングリサーチ」と「市場調査」の違いって!? | リサーチ・市場調査・マーケティング

マーケティングコラム
2016/10/20

「マーケティングリサーチ」と「市場調査」の違いって!?

「マーケティングリサーチ」と「市場調査」の違いって!?

市場調査とは?

 市場調査は現代のマーケティングにおいて欠かせない調査であり、別名「マーケットリサーチ」とも呼ばれています。マーケティングリサーチと混同されやすいですが、厳密に言うとこの両者は異なるものです。
 マーケティングの専門書によれば、市場調査とは「数字や数値で現在の市場を把握し、マーケティング施策(どうすれば製品が売れるかの作戦)を立てること」を言います。
 例えば、新しい車を開発しようとしていたとします。売れるためには、顧客のニーズを把握して製品を作らねばなりません。市場調査では、こうした事前に知っておくべき情報を収集し、分析し、製品開発に役立てます。

 例としては、以下のようなことを調べます。

 ・国民の車の所有率
 ・一人当たりの所有台数
 ・一台にかける値段
 ・購入してから何年目で買い換えることが多いのか
 ・購入する車のどのような部分を重視しているか
 ・現在、車を販売しているメーカー(競合他社)の数
 ・車産業において、各メーカー(競合他社)の市場占有率

 市場調査には様々な様式がありますが、一般的にはまず初期段階では個人の意見や事実を重視し、アンケートなどの調査を行ってデータを取得します。そののち、より具体的に分析する段階では、顧客全体の傾向や統計的な数字を重視することが多いと言われています。

 市場調査には幾つかの調査方法があります。その中で代表的な調査方法をご紹介します。

・定量調査
消費者や見込顧客に対して、対面・郵送・Webなどを用いてインタビューやアンケートを行い、データを収集します。市場調査の最も代表的な方法といえます。

・定性調査
属性(年齢・性別・職業など)が共通するグループにグループインタビューを行い、本音や本人が認識できなかった意見を引き出す手法です。

・覆面調査
第三者が消費者として実際にサービスを利用し、依頼主に情報提供する方法です。飲食業などのサービス業などに多く、チェーン展開する店舗の実際を上層部が把握するための有効な手段として知られています。近年では「ミステリーショッパー」などとも呼ばれ、世間的にも認知されているほか、歴史あるフランスのミシュランガイドなども、昔からこの方法で調査を行っています。

・統計データ調査
政府や大学など公的機関が調査・公表している統計データをもとに、ターゲットとなる顧客の属性(年齢・性別・職業など)に合わせて、数値の割り出しや統計データを調査します。

 これらを組み合わせることによって、市場調査は行われます。

マーケティングリサーチとは?

 上記で説明した市場調査は、マーケティングリサーチの一部とも言えます。
 現在の日本では同じ意味に使われることが多いですが、厳密に言えば市場調査はデータや数値で現在の市場動向を知るのに対し、マーケティングリサーチではもっと広義的に、未来の市場動向に対しても予測や分析、考察を行います。また、一部の専門書では、「市場調査は統計学的に、マーケティングリサーチは国語的に市場を検証すること」だとも説明しています。

 過去から現在については、数値というかたちで様々なデータが存在します。しかし、明日からの市場の動向については、過去のデータを用いて予測し、“あたり”を付けなくてはいけません。
 では、どのように未来を予測するのでしょうか?
 その調査方法については、上記で挙げた市場調査で用いられる方法がマーケティングリサーチにも応用されます。ただし、結果をどう活用するかに対しては、明確な違いが生まれます。

 例えば、「現在持っている車に満足していますか?」という質問を行ったとします。
 その際、「満足している」と答えた場合の理由について、「デザインが気に入っている」という回答から、顧客の潜在的なニーズを計り、既存の製品よりもさらにデザインが優れた製品を開発すれば、売上に繋がる可能性が高くなります。このように、集めたデータから因果関係を察知し、直接表に現れていない顧客の求めているものを洗い出すのが、マーケティングリサーチということになります。

 マーケティングリサーチにも、独自の調査方法があります。
 テスターなどと呼ばれる試供品を使用し、実際に製品が使用された場合を想定するモデルテストなどが多いのが特長です。
 また、市場調査とは違い、製品の内容のみに留まらず、広告や流通などに関しても調査を行います。

 

・製品テスト
顧客に新製品またはすでに販売されている対象製品を実際に使用してもらい、顧客の評価を探る調査方法です。顧客が新製品に対してどんな印象を持つか、どこを改良すればより売り上げを伸ばすことができるかなどの課題が浮き彫りになります。

・事前事後調査
イベントなどの広告キャンペーンを実施前・実施後で調査し、その結果を比較して宣伝効果を測定する場合のような調査方法です。また、製品テストで、製品を試用する前後での購入意向の変化を見る場合などもあります。

・ホームユース・テスト
製品テストのひとつです。テスター(試供品)を各家庭に配ってしばらくの間使ってもらい、その結果を記録してもらいます。テスト期間終了後にその記録を提出してもらい、補足質問を行って製品に対する意見を求めます。日常生活の中で行われるテストであるため、より製品の実際の使用状況に近いかたちで顧客の意見が聞ける、有用な調査方法です。

・パッケージ・テスト
製品容器のデザインや色合い、使いやすさ、材質などに関してのテストです。顧客にパッケージについての評価や実際にその商品を購入したいかなどの意見、店頭での目立ちやすさについてどう思うかなどの感想を集めます。

・ネーミング・テスト
いくつかの候補の中からどの名前がその製品によく合うか、その他候補の名前に対する意見、印象を顧客に尋ねるテストです。

・テスト・マーケティング
新製品を実際に販売して、その売り上げの様子を観察するテストです。中規模都市をターゲットに、全国発売と同等の環境に置いて、宣伝、広告、販促イベントなどの反応を見ます。その期間、顧客や小売店への調査を並行して行い、製品の知名度や購入率、シェア、小売店の取り扱い率、宣伝効果などを計測します。この結果に基づいて全国発売の対策を練り、将来の販売数や売り上げなどを予測するために行われます。

どういった場面で使用するのか?

 このように、市場調査とマーケティングリサーチでは意味合いに違いがありますが、内容としてはほぼ同じものであり、この調査が「いつ」「なんのために」行われるかということで棲み分けが行なわれていると言えるでしょう。

 つまり、市場調査はどのような製品を作るかという指針にするべく行われる調査であり、開発製品の原案や初期段階で使用される調査です。それに対し、マーケティングリサーチは製品開発の全体において行われ、言葉を使い分ける場合には主に開発後のテストや流通に対して使用されるケースが多いということです。

まとめ

 マーケティングリサーチは日本語に訳すと市場調査となり、このため日本では実際の市場調査と混同されて認識されているケースが多くみられます。しかし、市場調査が「市場」の動向のみを探るものであるのに対し、マーケティングリサーチは市場の中身、顧客や満足度に至るまでを調査するものです。
 現場を把握するために行われるのが市場調査、データや数値のみでは計れない潜在的なニーズを察知し予測するのがマーケティングリサーチといえるでしょう。

株式会社クロス・マーケティング グループ マーケティング部 大竹 雄

大学卒業後、新卒にて株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメントに入社。2015年より株式会社クロス・マーケティング グループ マーケティング部を兼務。
現在、グループ内での販売促進活動のほか、社外向けセミナー、シニアコミュニティ「iDOBATA KAIGI」、「U26平成男子コミュニティ」の実施サポートを行っている。

このコラムを見た方へのオススメ