ポートフォリオ分析で算出される4つの象限の活用術 | リサーチ・市場調査・マーケティング

マーケティングコラム
2017/6/1

ポートフォリオ分析で算出される4つの象限の活用術

ポートフォリオ分析で算出される4つの象限の活用術

ポートフォリオ分析とは

 顧客満足度調査等で用いられる分析手法のひとつです。製品・サービスにおける項目別満足度などを軸にして2次元グラフで表現することで、重点的改善項目を抽出するという分析手法がポートフォリオ分析です。

 購入者・ユーザーの商品・サービスに関する満足度を調査する顧客満足度調査を例にとって説明します。総合的な満足度を総合満足度、商品デザインや機能など個々の満足度を個別満足度として質問項目に設定。

 「総合満足度」を縦軸、総合満足度と個別満足度の相関性を「重要度」として横軸に設定して座標軸の図を作り、中にプロット(点の描画)をします。縦軸である満足度と、横軸である重要度の関係により、図は中央に十字を配置した4エリア(象限)に分けることができます。

 この象限は、十字を中心にして反時計回りに第1~第4象限エリアの順で並び、重要度と満足度の高低でそれぞれ定義づけがなされます。質問項目がこの象限エリアのどこに入るかで、改善すべき事項の優先順位を図ったりすることができます。また、自社の商品・サービスの強みや弱み、問題点の把握や、継続すべき機能など、改善施策立案のための判断材料にもなります。

 

4象限マップで整理する改善項目

 4象限マップのエリアはそれぞれ、下記のように定義づけられます。

・第1象限エリア(右上):重要度も満足度も高い=強みとして強化すべき項目が入るエリア
・第2象限エリア(左上):重要度は低く満足度が高い=維持すべき項目が入るエリア
・第3象限エリア(左下):重要度も満足度も低い=改善は後回しでもいい項目が入るエリア
・第4象限エリア(右下):重要度が高く満足度が低い=優先的に改善すべき項目が入るエリア

 第1象限から第4象限までの4象限マップで整理することで、顧客満足度が低いにも関わらず重要度が高い項目(第4象限エリアに入った項目)が視覚的に理解できます。

 この4象限マップは、世界的コンサルティングファームであるボストン・コンサルティング・グループが提唱した、製品のライフサイクル分析に使われるフレームワーク「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)」にあてはめると、それぞれ、下記のように呼ばれます。

 

第1象限エリア(重要度も満足度も高い)=花形
第2象限エリア(重要度が低く満足度は高い)=問題児
第3象限エリア(重要度も満足度も低い)=負け犬
第4象限エリア(重要度が高く満足度は低い)=金のなる木

 この、第4象限エリアの項目にあたる「金のなる木」は、総合満足度への影響度合いが高いにも関わらず、満足度が低い存在。改善することで総合満足度を引き上げる可能性がある項目です。つまり、この項目こそが、より効率的な商品開発やサービス提供などにつながる部分と捉えられるのです。

 しかし、「金のなる木」の部分だけに着目して、他の部分を後回しにすることは得策ではありません。特に、第1象限エリアにあたる、重要度も満足度も高い「花形」は、現時点での総合満足度を左右する部分であり、ないがしろにすると総合満足度が下がることにつながります。

 「金のなる木」を改善しながらも、同様に「花形」の項目部分をしっかりと維持。さらに向上させることにも意識を向けて、商品開発や新規サービス作成などに活かしていきたいものです。

 

「問題児」や「負け犬」の対処方法

 では、第2・第3象限エリアに該当する「問題児」と「負け犬」についてはどう対処すればよいでしょうか。

 「負け犬」は、顧客にとっての重要度が低く、満足度も低い項目です。経営戦略で言えば全体の足を引っ張るようなお荷物項目であり、そのままにしておくと総合満足度の向上の邪魔になりかねません。削除や撤退などを検討する可能性も視野に入れたいところです。

 一方で、「問題児」は、重要度は高くなくても顧客満足度が高い項目であることから、現時点では「負け犬」に転落する可能性もあれば、「花形」に昇格する可能性も秘めています。成長への期待を込めることができる項目ですので、「金のなる木」の項目の改善で得た利益を投資することも一策です。ここを「花形」にすることができれば、総合満足度が飛躍的に向上することもあり得るのです。

 

バリューポートフォリオとの組み合わせ

 「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)」は製品・サービスのライフサイクル分析を行うためのフレームワークです。これに対して、事業そのものを経営的視点と株主の視点を軸にして分析し、事業の再構築を検討するために作成するフレームワークが「バリューポートフォリオ」です。

 バリューポートフォリオでは、縦軸に「企業のビジョンとの整合性」「経営理念・ビジョン」を、横軸にROI(投資対効果、投資収益率)の高さを設定した4象限マップ。この上に、企業の各事業を円でプロットし、事業ごとに投下した資本の大きさを円の大きさで表現することで、経営資源をどの事業に投下すべきかを分析します。

 4象限マップのエリアはそれぞれ、先のポートフォリオに重ねると、下記のように表されます。

第1象限エリア(花形)=本命事業
第2象限エリア(問題児)=課題事業
第3象限エリア(負け犬)=見切り事業
第4象限エリア(金のなる木)=機会事業

 このように、マーケティングのマップと経営分析マップを重ね合わせて分析すると、現状が容易に整理されます。製品・サービスの満足度分析と同様に、企業経営においてもさらに拡大させるべき事業と、早々に撤退すべき事業とが視覚的に理解できるようになります。

 ポートフォリオ分析が、マーケティングと事業運営が密接にかかわりあっていることへの理解を深める助けにもなるのです。

 

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