変化する時代に生き残る~リブランディングでブランドの再構築を~ | リサーチ・市場調査・マーケティング

マーケティングコラム
2017/9/7

変化する時代に生き残る
~リブランディングでブランドの再構築を~

変化する時代に生き残る<br>~リブランディングでブランドの再構築を~

ブランド再活性するためのリブランディングとは

 製品・サービスについての共通のイメージを、消費者の間でブランドとして確立させることができれば、ブランディングは成功したと言えます。その確立されたブランドが、ときには製品・サービスの価値を下げる状況を引き起こすこともあります。

 自社の製品・サービスについて、ブランドのイメージが時代に合わなくなってきた、消費者の求めるものと違って陳腐化した、と感じることがあれば、それは「ミスマッチ」が起きたときです。ブランドイメージと消費者との間でミスマッチが起これば、製品・サービスがいかに優れているものであっても、消費者は次第に離れていってしまいます。

 このミスマッチを解消するために、時代の趨勢や消費者の変化などに応じて、既存のブランドの方向性を変え、ブランドを再構築して再活性化することが「リブランディング」とです。何もないところから作り出す新規のブランディングと比べて、リブランディングには、もととなるブランドが持つ資産を活用することができるというメリットがあります。

 新規のブランディングには、長い時間をかけて戦略を練る必要があり、その分、費用も労力もかかります。リブランディングは、すでにブランドが確立された製品・サービスが存在するので、そのブランドを活用すれば、少ない費用と労力で、新規のブランディングと同様の効果を得ることも見込めます。場合によっては、ロゴのデザインを少し変えるだけで十分にリブランディングが可能になることもあるのです。

 

リブランディングが必要な理由を分析する

 リブランディングを行う前に、そのブランドがなぜ、市場で長年にわたって優位性を保っていたにもかかわらず、違和感が生じて再構築しなければならないほどに価値を落としてしまったのか。まずはこれを検証・分析する必要があります。
 

リブランディングが必要になる原因はいろいろありますが、大きく分けて以下の4項目に分けられます。

・市場の変化
競合他社の成長、技術革新、新ジャンルの台頭と既存ジャンルの衰退、市場の価値観の変化、社会情勢の変化

・ブランドの劣化・陳腐化
消費者から飽きられる、成功体験の継続によるマンネリ化

・ブランドの設計ミス
製品・サービスの性質が悪かった、価格設定やターゲット設定などに問題があった、マーケティング戦略が甘かった

・更なる成長を狙うとき

 この中で「市場の変化」は、外的要因とも言い替えられます。競合他社の成長によりブランドの価値が下がった例としては、ノートPCや携帯電話などが挙げられます。日本では、国産メーカーのブランドが高い人気を誇っていましたが、海外勢が成長してからは、以前ほどの価値は持たれなくなっています。いわゆる「ガラケー」は、「スマートフォン」の登場、つまり技術革新と新ジャンルの台頭により衰退しました。

 かつては「多くのモノを持つのが良い」という価値観でしたが、現在は「ミニマリスト」をはじめ「持たないこと」に価値が置かれ始めています。この価値観の変化の中では、いわゆるバブル時代のようなブランドは好まれません。ブランドそのものは変わらないのに、外部の変化が原因で価値を落としてしまっています。

 「ブランドの劣化・陳腐化」以下は、ブランドそのものの内的要因と言えます。ブランドの劣化・陳腐化は、外的要因と向き合うことができない製品・サービスの性質または企業体質に起因しています。ブランドとしては成功していても、時を経るうちに、製品・サービスの欠点が目立ってきた、ターゲット設定が合っていない、ということになれば、それは「ブランドの設計ミス」です。

 同じ内的要因でも、最後の「更なる成長を狙うとき」は、少し違います。上記3項目が不調になったブランドを再構築するためのリブランディングであるのに対して、「更なる成長を狙う」ためのリブランディングは、その時点でのブランドの価値は変わらず好調です。それでありながら、更にブランドの価値を高めるために将来を見据えて行う、いわば前向きなリブランディング要因です。

 そのため、分析するポイントも他とは違います。先の3項目が「なぜ不調なのか」という観点から分析する必要があるのに対して、「更なる成長を狙う」ためのリブランディングでは「なぜ好調なのか」がポイントになります。現時点でそのブランドが好調なのか不調であるのかを客観的に把握することが、リブランディングで最初に行うべき作業です。

 

創業のスピリットを見つめなおす

 リブランディングは、既存のブランドが持つ資産を活かしてブランドイメージを再構築する作業です。根本からすべてを変えてしまうことではありません。それはリブランディングではなく既存ブランドの廃止です。既存ブランドは、価値が落ちたとしても長年にわたって多くの消費者が慣れ親しんできた存在です。そのブランドを企業の都合で廃止することは、消費者にとっては良い印象を持てず、企業のイメージを低下させることもあります。あくまでも既存のブランドにおける重要な部分は残したうえでの再構築がリブランディングです。
 

 「老舗」と呼ばれるような、創業から100年以上経っても価値を保っている企業のブランドには、ある共通点があります。「不変」と「変化」が共存しているところです。災害などを理由に本社所在地が移転したり、ロゴが作り直されたりと、ブランドはそれぞれの事情で「変化」しています。しかし、「企業理念」や「創業の精神」など、企業の軸と言えるような「不変」の部分は変えません。

 「不変」の部分は、企業経営の軸とも言えます。軸がぶれれば企業経営は傾きます。リブランディングは、軸を残して、外的要因に合わせて変えられる部分を再構築することとも言えるのです。自社のリブランディングのために、まずは自社の創業のスピリットを見つめなおしてみると、ブランドの「不変」が何であるかが見えてくるのではないでしょうか。「不変」は「普遍」にもつながります。普遍性のあるブランドは、時代を超えて、生き続けます。

 

時代に合ったブランド戦略を再構築する

 創業時のスピリットを大切にしながら、時代に合うブランド戦略を再構築するために大切なことは、時代と消費者の変化を見越してブランドが進む方向を決めることです。いかに優れた製品・サービスでも、ブランドが時代と消費者の求めるイメージに合わなければ、優れているとは見なされません。変えないところを持ちながら、時代や消費者などの外的要因に応じて変化することが、変化する時代に生き残るために行われるべきリブランディングなのです。

 

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