STP分析を活用したビジネス展開の利点と留意点 | リサーチ・市場調査・マーケティング

マーケティングコラム
2019/3/7

STP分析を活用したビジネス展開の利点と留意点

STP分析を活用したビジネス展開の利点と留意点

 新商品やサービスに対するニーズや市場の将来性はどの程度あるのか、どのようにしてユーザーにアプローチするのか、ライバルの有無はどの程度影響するのかといったマーケティング分析は、ビジネスを成功させるうえで必要不可欠です。まずはマーケティングリサーチの基本であるSTP分析を確実に実施して最適経営戦略を立てることが必要です。
 

STP分析とは

 マーケティング論で有名なコトラーは、新商品やサービスのビジネス展開にあたって3つの観点から行う戦略の重要性を提唱しており、オーソドックスな分析法の一つとして定着しています。これがSTP分析です。STPとは各単語の頭文字をとっていて、SはSegmentationで市場の細分化、TはTargetingで狙うべき市場の決定、PはPositioningで自社の立ち位置の明確化を指しています。この分析法を活用すれば、自社の新商品やサービスの市場価値が把握できます。

 セグメンテーションつまり市場を細分化させるには、膨大な市場顧客をいくつかの属性でグループに分けます。それによって各属性のニーズを確認できると同時に、市場の全体像が把握できます。セグメンテーションでは、商品やサービスと消費する層の接点を見いだせるような細分化が求められます。

 新商品やサービスが参入するべき市場を選定するのがターゲティングです。ニーズの有無だけでなく、市場規模といった観点も必要になるので、細分化させた中から複数の軸を使い多角的に分析することが重要です。

 ポジショニングは自社とライバル他社との位置関係の把握分析です。端的に言えば自社の新商品やサービスが競合他社に勝てるかどうかという分析で、ライバルとの相対的な比較によって優位性を獲得することが重要なポイントです。提供する価格や商品自体のクオリティ、後発であっても先行商品を凌駕する技術力があるかという点などが肝になります。

 

STP分析を行うメリット

 予算と時間をかけてSTP分析を実施するのは、企業にメリットがあるからです。第1に、本当に新商品を購入してくれるユーザーが存在するのかという根源的な問題を把握できる点です。どの年齢層のニーズが高いのか、どの地域の反応が良好なのかという属性によるニーズ分布データは、戦略の方向性を決める重要な指針です。

 第2に、実際に新商品やサービスの魅力を訴求するパワーを効率的に注入し、実践的なプロモーション戦略を構築できます。適切な分析によって、どの階層のユーザーをターゲットにするかという判断や、どのような立ち位置で新商品やサービスの優越性を認知させられるかという判断ができますので、短期間で効率的に事業を推進できます。

 第3に、マクロの視点からビジネスとして成功するかどうかの判定がある程度できることです。素晴らしい新商品やサービスであると自画自賛しても、その分野がすでに大手に席巻されていて、キャッチアップするのが困難であればビジネスの失敗につながる懸念があります。商品の優秀性が必ずしも市場での優位性を保証するわけではありませんので、客観的データに基づく冷静で合理的な視点が必要です。精度の高い分析によって、自社が参入して勝ち抜けるかどうかというポジションを明確に設定し、最適の位置取りを決定することができる点も大きなメリットです。

 

分析を行う上での注意点

 STP分析は専門的な知識と豊富なキャリアを持つ専門企業に委託するのが賢明です。しかし自社努力も必要です。たとえば分析結果を受けたら、認知度を上げて顧客の購買意欲を刺激する必要があります。一般的には広告戦略が使われますが、絞り込んだ市場をターゲットにしているのにマス広告を打つのは戦略的にミスマッチです。多角的視点からの周知戦略を展開しなければ分析データが生かされません。

 市場規模や将来性の判断も重要です。市場細分化は市場を切り刻む作業ですが、最終的に小さな母集団の市場がターゲットになってしまったらビジネス的なメリットは小さくなります。こうした場合は固定観念にとらわれず別のターゲットとの統合など柔軟な経営戦略が求められます。また現時点では大きな市場であっても将来は先細りしていくと判断される場合は、ヒットアンドアウエー方式のように短期集中的に戦力を投資して、予測された利益を上げたら即座に撤退するといった戦略の採用も大切です。

 またS、T、Pの順番に分析して考察するという発想を転換することも求められます。かつてはこの順番が基本でしたが、多様化、複雑化の一途をたどる現代のビジネスシーンではポジショニングから入るべきだという考え方もあります。時代の変化に合わせた活用をすることで最適結果を得られるような手法が大切です。

 

STPの各項目の分析方法と指標について

 STP分析のうち、セグメンテーションは商品やサービスを利用してもらいたいユーザー像を明確にすることが重要ポイントで、主要な指標が4つあります。第1に年齢、性別、世代構成、家族人数など、人が持つ基本情報を基本にした人口統計的変数です。第2は居住地域など地理的な要因に絡む情報が基礎になる地理的変数です。第3は人の志向やライフスタイル、性格的特性など個々の心理状態に根差した情報を使う心理的変数です。第4は買い物をする動機や頻度、購買パターンなど個人的意識や行動に関する情報を分析する行動変数です。

 ターゲティングはセグメンテーションで細分化された市場の中で狙うべき市場を絞る作業であるため両者をセットで使用します。利便性が高いのは3パターンです。第1にセグメント後の市場の違いを無視して全市場に供給する無差別型で、食品などには適した手法です。第2に異なる料金設定や、似ているけれども機能性が異なる商品販売をする差別型です。第3に富裕層やコアなファンを対象にした限定的市場に集中してマーケティングする集中型です。商品に応じて最適のパターンを選択することが重要です。ポジショニングは競合他社と比較する上で戦略的に有効な軸を選択することが重要です。多様な軸の中から、価格を重視するか、販売チャンネルを重視するかといった判断を行って比較検証し、自社が勝負できるポジションを決定するのがセオリーです。

 

まとめ

 STP分析は自社製品のセールスに関して必要な市場、対象、自社の立ち位置などの情報を認識して経営戦略に生かすわけですが、大切なのはユーザー目線を忘れないことと、事前作業です。基本情報の精度を高める事前リサーチを行い、包括的な市場の問題点や魅力度を把握した上で分析に入る手順が重要です。またすでに販売している自社商品やサービスの支持層を統計的に把握しておくことも不可欠なので、過去データの集積は必須です。合理的な自社分析、自社商品評価を認識したうえで、他社と競合できる強みを明確化しておくといった事前準備によって、高精度の分析結果を得ることができます。
 

このコラムを見た方へのオススメ