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ブランディングはマーケティングとどう違う?それぞれの役割や関連性をご紹介

2024 / 01 / 19

#ブランディング,#差別化,#消費者行動

ブランディングはマーケティングとどう違う?それぞれの役割や関連性をご紹介

企業における重要なマーケティング戦略のひとつに、「ブランディング」が挙げられます。「ブランディング」とは、企業が持つブランドの価値を高め、消費者にとってよりメリットのあるもの、とすることで選ばれるブランドづくりをする活動のことを指します。今回は、ブランディングとマーケティングの意味やそれぞれの役割、違いや関係性について解説します。


マーケティングとブランディングのそれぞれの意味

マーケティングとブランディングの意味や、関連する用語として挙げられるPRやプロモーションとの違いを解説します。


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マーケティングとは

マーケティングとは、企業による顧客のニーズを満たした商品やサービスを提供できるようにするためのさまざまな活動をいいます。端的に表現すると、商品やサービスが売れる仕組みを構築することです。

マーケティングでは、顧客ニーズにアプローチするには、アンケートなどを活用したニーズの調査や分析、戦略などの活動を行っていきます。

なお、マーケティングの考え方は時代とともに変わってきています。マーケティングの考えが誕生した20世紀の初期はマス広告を利用して製品を売り出す考えが主流でした。一方、現代は商品やサービスを通して自己実現ができるかどうかが重視されています。

ブランディングとは

企業における重要なマーケティング戦略のひとつに、「ブランディング」が挙げられます。「ブランディング」とは、企業が持つブランドの価値を高め、消費者にとってよりメリットのあるもの、とすることで選ばれるブランドづくりをする活動のことを指します。

世界的経済学者であり、「マーケティング」の優秀な教科書ともされる著作を持つケビン・レーン・ケラー氏は、著書『戦略的ブランド・マネジメント』において、「ブランディングは精神的な構造を創り出すこと、消費者が意思決定を単純化できるように、製品・サービスについての知識を整理すること」と定義しています。

この言葉が示しているのは、「ブランドとは企業が所有する財産でありながらも、実質的には消費者が各々の中に蓄積するイメージによって保たれている」ということ。ブランドは企業のものであると同時に、消費者なしでは成立しないものとされているのです。
また、ケラー氏はこうも定義しています。

「ブランディングにとっての鍵は、ある製品カテゴリー内で消費者が知覚するブランド間の差異である」

つまり「ブランディング」とは、企業の商品が作り出すブランド要素による価値やイメージを、消費者の中で育成していく行動のことであるとされています。

PRやプロモーションとの違い

マーケティングやブランディングの関連用語に、PRやプロモーションがあります。

PRとは、自社のステークホルダー(利害関係者)との良好な関係のために自社の情報を広く発信する行動のことです。ブランディングは企業価値を高める行動ですので、人や企業との良い関係構築を目指すPRとは目的が異なります。

プロモーションとは、商品やサービスの認知度を高めて購入してもらうための活動のことです。売れる仕組みを構築するマーケティングの一種といえます。

マーケティングとブランディングそれぞれの役割

マーケティングとブランディングの役割をそれぞれ解説します。

マーケティングの役割

「マーケティング」の目的は、端的に言えば「自社の製品を欲しいと思ってもらうこと」です。このために何ができるかを的確に見定め、幾つかのプロセスに分けて行動に起こしていくことが正しいあり方となります。

大雑把に捉えれば、ここまで紹介してきた「ブランディング」は「マーケティング」の一環とも言えるでしょう。

企業は、商品を企画・開発し、それを生産し、営業によって商品の認知度を上げ、流通や販売に取り付けます。これらすべての源となるのが、「顧客のニーズを知り、満足してもらえる商品づくり」となります。

「マーケティング」とはこれら全ての項目に現れた疑問に対して、企業が独自に分析、検証した答えを算出することから始まります。この「答え」に基づいて、全ての部署が同じ方向を見据えて商品を作り出すため、全行程の部署を統率していくことが、「マーケティング」の役割と言えるでしょう。

ブランディングの役割

自社のブランドを、正しい形で広く認知させる「ブランディング」は、消費者と企業にとってどのような役割を果たしているのでしょうか。

消費者にとっての役割

まず、消費者側にとっての役割です。企業が正しくブランディングを行っていた場合、消費者は自分の中に構築されたブランドのイメージに従い、欲しいものを的確に選び、購入することができます。

例えば消費者が「美味しいものが食べたい」と考えたとき、繁華街へ行き、多くのお店が立ち並ぶ通りで、消費者は自分の欲求に合致するお店を探すことになります。その中で、「ここのチェーン店は美味しい(らしい)」という情報がすでに消費者側にあれば、その人はそのお店に入ることになるでしょう。


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事前に消費者に情報という形でブランドの認知がなされている場合、選択するために必要な情報を収集する手間を省くことができます。それが自分の経験によって蓄積された情報であれば、「期待はずれ」という実際的なリスクを回避することもできるでしょう。

前述のケラー氏の著作『戦略的ブランド・マネジメント』には、この際、消費者が回避できるリスクには以下のようなものがあると紹介されています。

機能的リスク購入した商品が、購入者が期待した機能を果たさないリスク
身体的リスク購入した商品が、使用者や周囲の人々の健康や身体に危害を加えるリスク
金銭的リスク購入した商品が、提供する価値が支払った価値に見合わないリスク
社会的リスク購入した商品が、社会的な迷惑をもたらすリスク
心理的リスク購入した商品が、使用者の精神・心理に悪影響を及ぼすリスク
時間的リスク選択の失敗などにより、他商品をさがすという機会費用がかかるリスク

企業側にとっての役割

次に、企業側にとっての「ブランディング」の役割についてです。

企業とってのブランドは貴重な財産であり、「ブランディング」によって他社との違いを生み出すことができれば、自社の製品は消費者によって選ばれやすくなります。

また、ブランドの価値を創造することで、事前に販売されていた商品で得た信頼を、次回の新商品に持ち越すことにもなるでしょう。消費者に認められたブランドは、リピート率を向上させ顧客の満足度を高めることにもつながります。

これを繰り返すことによってそのブランド自体に付加価値が認められるようになれば、「評判のよいブランド」として口コミなどの事前情報をもとに、新規購入の消費者を取り込むことも可能です。

また、イメージの中だけでの付加価値に限らず、実際に、製品にブランド価値による価格の上乗せをすることもできるようになり、利益率のアップも見込めます。

ブランドの認知度が上がることによって、そのブランドのオリジナリティが法的に守られる対象となることも、企業の大切なメリットです。独自性が守られることにより、安価な類似製品の発生による自社製品の価値が下がるのを抑止することにもつながります。

つまり、企業によっての「ブランディング」の役割は、これらのメリットを発生させ、商品の認知が高まることによって発生するデメリットを防止することにあるといえるでしょう。

マーケティングとブランディングの主な4つの違い

マーケティングとブランディングは、なにが違うのか、4つの観点から違いを見ていきます。

目的

ブランディングとマーケティングは、まず、目的が異なります。

ブランディングは、消費者との関係を構築してファンを増やし、競合他社との差別化を図るのが主な目的です。ブランドイメージ構築のためには消費者の認識を変化させる必要があるため、長期的な骨組みの構築や商品価値そのものの向上だけでなく、演出や雰囲気づくりも重視されます。

マーケティングの主な目的は、商品が売れるように戦略を立てて消費者の購買行動を促すことです。商品やサービスを利用してもらうための市場分析や商品づくり、さらにはコンセプトや価格設定まで、販促活動全体での消費者ニーズへのアプローチが重視されます。

方向性

ブランディングとマーケティングでは方向性も異なります。

ブランドの存在意義を求める、つまりWHYを追求するのがブランディングです。なぜブランディングをするのか、そもそもブランドがなぜ必要なのか、WHYを突き詰めていくことでブランドを確立させていきます。

一方、マーケティングで重視するのはHOWです。どのようにしてターゲットに商品やサービスの価値を届けるのか、売る手段や方法を考えることで売れる仕組みを構築していきます。

重要視する部分

ブランディングで重要視するのは、なぜこのブランドを購入したいのかという顧客心理を形成することです。ブランドとしての価値は、企業側が提供したいブランドの独自性と、消費者のブランドイメージが重なることでつくられます。

企業側の価値と消費者側の価値を一致させるには、ブランドの認知を広めることと「○○といったら○○」というように、ブランドを消費者が購入するときの選択に結び付けること、の両方が必要です。

そのため、ブランディングでは、一貫性と信頼性、消費者のアイデンティティとの結びつきなどに重点を置いて戦略を立てていきます。

一方で、マーケティングで重要視するのは顧客ニーズです。ターゲットはなにを求めているのか、ターゲットが商品やサービスを手にすることでなにを実現したいと考えているのか、顧客の求めることにリーチすることを重視します。

ニーズとして明らかになっている事柄だけでなく、消費者が無意識に求めていることを捉えることもマーケティング活動の一環です。

手段・方法

ブランディングとマーケティングでは、手段や方法も異なります。

ブランディングは顧客心理の形成につながる手法がメインです。具体的には、ブランド動画の配信、従業員向けのブランドブックの作成、店舗の空間設計、独自の認定制度などの創設などがあります。

マーケティングは、商品理解や販促につながる手段がメインです。Web広告やメールマガジン、コンテンツSEO、SNSでの発信などの方法でターゲットとの接触を図ります。

マーケティングとブランディングの関係

ブランディングとマーケティングの違いを紹介してきましたが、この2つは完全に切り分けられるものではありません。ブランディングとマーケティングは密接に関係しており、それぞれの活動は一方の活動にも影響を与えています。両者の共通点や関係をご紹介します。


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マーケティングとブランディングには共通点もある

マーケティングもブランディングも、結果として消費者に価値を届ける活動であること、消費者を意識した活動であることは同じです。
そのため、マーケティングとブランディングでは、戦略を立てる際に、共通したフレームワークが利用されることがあります。代表的なものを3つほどみていきましょう。

PEST分析

PEST分析は、マクロの視点で自社を取り巻く外的要因を分析するフレームワークです。外的環境を整理することで未来を見据えた分析ができ、マーケティングでは外的環境が企業に与える影響の分析やリスク回避、ブランディングでは方向性のズレの確認で活用されます。

3C分析

3C分析は、消費者・市場、競合他社、自社の3つの要素から、第三者の視点で自社商品の現状を把握するフレームワークです。マーケティングでは、課題の把握や自社商品の特長の把握、ブランディングでは、価値を消費者に届けるための分析に役立ちます。

SWOT分析

SWOT分析は、自社の商品やサービスについて、機会、脅威、強み、弱み、の4つの観点から分析するフレームワークです。それぞれを掛け合わせることによって自社の立ち位置を明確にして改善に役立てる、クロスSWOT分析もよく用いられます。

マーケティングでは、自社商品やサービスの位置づけを把握するのに、ブランディングではマイナス面も踏まえた自社商品の特徴を把握するのに取り入れられる手法です。

マーケティングとブランディングを連動させることが重要

マーケティングで顧客ニーズを探り一貫性をもってアプローチしていくことは、ブランド戦略に役立ちます。一方、ブランディングで企業や商品のブランドイメージが土台にあれば、マーケティング活動はスムーズになるでしょう。

企業の成長のためには、マーケティングもブランディングもどちらも重要です。それぞれを別個で捉えるのではなく、どのように活用したら相乗効果が生まれるか、それぞれの関係を理解して連動させていくことが求められます。

また、マーケティングに力を入れるべきか、ブランディングに力を入れるべきか、自社の置かれている状況や商品のフェーズでも異なりますので、連携を意識しながらバランスを考えて戦略を立てていくことも必要です。

まとめ

マーケティングもブランディングもそれぞれ企業にとって重要な役割があります。目的や方向性、重要視する部分、手段・方法などに違いはありますが、消費者を意識し、消費者に価値を届けようとする点は共通です。

企業の成長のためには、マーケティングとブランディングを別で考えずに、相互に連動させ効果を高められるようにしていくことが求められます。まずは、マーケティングとブランディングがなにかを的確に把握し、企業の発展に役立てていきましょう。

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