ブランディングとマーケティングの違いとは? | リサーチ・市場調査・マーケティング

マーケティングコラム
2017/1/26

ブランディングとマーケティングの違いとは?

ブランディングとマーケティングの違いとは?

ブランディングとは

 企業における重要なマーケティング戦略のひとつに、「ブランディング」が挙げられます。「ブランディング」とは、企業が持つブランドの価値を高め、消費者にとってよりメリットのあるもの、とすることで選ばれるブランドづくりをする活動のことを指します。

 世界的経済学者であり、「マーケティング」の優秀な教科書ともされる著作を持つケビン・レーン・ケラー氏は、著書『戦略的ブランド・マネジメント』において、「ブランディングは精神的な構造を創り出すこと、消費者が意思決定を単純化できるように、製品・サービスについての知識を整理すること」と定義しています。

 この言葉が示しているのは、「ブランドとは企業が所有する財産でありながらも、実質的には消費者が各々の中に蓄積するイメージによって保たれている」ということ。ブランドは企業のものであると同時に、消費者なしでは成立しないものとされているのです。
 また、ケラー氏はこうも定義しています。

 「ブランディングにとっての鍵は、ある製品カテゴリー内で消費者が知覚するブランド間の差異である」

 つまり「ブランディング」とは、企業の商品が作り出すブランド要素による価値やイメージを、消費者の中で育成していく行動のことであるとされています。

 

マーケティングと異なる部分

 「ブランディング」と「マーケティング」の違いについて、正確に把握している人は少ないのではないでしょうか。というのも、この二つの言葉の定義は非常に曖昧で、使用する人によって細かなニュアンスに違いが出てきてしまう言葉だからです。この二つは、様々な立場の人が独自の解釈で使用することも多いため、「ここからここまで」と明確に決められた定義はないからです。

 先程は、世界的権威の一人として数えられるケラー氏の言葉を借りて、「ブランディング」を定義しました。同じように、マーケティング学者の第一人者として名高いフィリップ・コトラー氏が、ケラー氏との共著『マーケティング・マネジメント』の中で「マーケティング」をどのように定義しているかをご紹介します。

 「マーケティングとは、製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上・経営上のプロセスである」

 つまり、「ブランディング」が「差別化」を対象とした行動であるのに対し、「マーケティング」は「売れる商品を流通、販売し、それを消費者へと届けるための全行程」を指しているのが分かります。これらの内容は一見別物ではありますが、二つとも「商品を売るために行う行動」であり、同じような目的を持って行われる行為となっています。

 

消費者と企業にとってのブランディングの役割

 自社のブランドを、正しい形で広く認知させる「ブランディング」。では、この「ブランディング」は、消費者と企業にとってどのような役割を果たしているのでしょうか。

 まず、消費者側にとってのメリットを紹介します。企業が正しくブランディングを行っていた場合、消費者は自分の中に構築されたブランドのイメージに従い、欲しいものを的確に選び、購入することができます。

 例えば消費者が「美味しいものが食べたい」と考えていたとします。繁華街へ行き、多くのお店が立ち並ぶ通りで、消費者は自分の欲求に合致するお店を探すことになります。その中で、「ここのチェーン店は美味しい(らしい)」という情報がすでに消費者側にあれば、その人はそのお店に入ることになるでしょう。

 

 このように、事前に消費者に情報という形でブランドの認知がなされている場合、選択するために必要な情報を収集する手間を省くことができます。また、それが自分の経験によって蓄積された情報であれば、「期待はずれ」という実際的なリスクを回避することも出来ます。
 前述のケラー氏の著作『戦略的ブランド・マネジメント』には、この際、消費者が回避できるリスクには以下のようなものがあると紹介されています。

 

 では次に、企業側にとっての「ブランディング」の役割について紹介していきます。

 企業とってのブランドは貴重な財産であり、「ブランディング」によって他社との違いを生み出すことが出来れば、自社の製品は消費者によって選ばれやすくなります。
 また、ブランドを設定することによって、事前に販売されていた商品によって得た信頼を、次回の新商品にも持ち越すことが出来ます。消費者にとって誠実であったと認められたブランドは、リピート率を向上させ顧客の満足度を高めることが出来ます。
 これを繰り返すことによってそのブランド自体に付加価値が認められるようになれば、「評判のよいブランド」として口コミなどの事前情報をもとに、新規購入の消費者を取り込むことも可能となります。また、イメージの中だけでの付加価値に限らず、実際に、製品にブランド価値による価格の上乗せをすることも出来るようになり、利益率のアップも見込めます。

 さらに、ブランドの認知度が上がることによって、そのブランドのオリジナリティが法的に守られる対象となることも、企業の大切なメリットとなります。企業にとっての財産である独自性が守られることにより、安価な類似製品の発生による自社製品の価値が下がるのを抑止することにもつながります。
 つまり、企業によっての「ブランディング」の役割は、これらのメリットを発生させ、商品の認知が高まることによって発生するデメリットを防止することにあります。

 

マーケティングの役割

 最後に、前述の「ブランディング」の役割に対して、「マーケティング」がどのような役割を持つのかについても触れておきましょう。

 「マーケティング」の目的は、端的に言えば「自社の製品を欲しいと思ってもらうこと」です。このために何が出来るかを的確に見定め、幾つかのプロセスに分けて行動に起こしていくことが正しいあり方となります。大雑把に捉えれば、ここまで紹介してきた「ブランディング」は「マーケティング」の一環とも言えるでしょう。
 企業は、商品を企画・開発し、それを生産し、営業によって商品の認知度を上げ、流通や販売に取り付けます。これらすべての源となるのが、「顧客のニーズを知り、満足してもらえる商品づくり」となります。

 

 「マーケティング」とはこれら全ての項目に現れた疑問に対して、企業が独自に分析、検証した答えを算出することから始まります。この「答え」に基づいて、全ての部署が同じ方向を見据えて商品を作り出すため、全行程の部署を統率していくことが、「マーケティング」の役割と言えるでしょう。
 

【参考サイト】
https://www.mitsue.co.jp/case/glossary/m_027.html
http://diamond.jp/articles/-/2801?page=2

【参考文献】
ケビン・レーン・ケラー「戦略的ブランド・マネジメント」
ケビン・レーン・ケラー&フィリップ・コトラー「マーケティング・マネジメント」


 

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