シリーズ 成長市場で勝つ (2)インド消費財市場へ販売~現地事情を把握して手法とタイミングを見極める~〔1/2〕 | リサーチ・市場調査・マーケティング

グローバルコラム
2017/1/17

シリーズ 成長市場で勝つ (2)インド消費財市場へ販売
~現地事情を把握して手法とタイミングを見極める~〔1/2〕

シリーズ 成長市場で勝つ (2)インド消費財市場へ販売<br />~現地事情を把握して手法とタイミングを見極める~〔1/2〕

人口13億人を抱えるインドでは、その半数が25歳未満と持続的な成長を期待できる有望なマーケットであり、特に消費財市場においては中間層の台頭により一層の可能性が見込まれています。今回のコラムでは2回に分けてそのインド消費財市場についての考察をお届けしたいと思います。

日系企業がインド市場でつまずくワケ

 現在消費財マーケットの市場規模は約2兆5千億ルピーを超えているといわれており、その成長率も10%以上と高い水準で推移しています。
 そのような市場環境であっても成功している日系企業はごく少数に限られ、そのほとんどは苦戦を強いられているのが実情です。
 私自身数多くの消費財メーカーの方々と話す機会がありますが、その戦略の中心は「いかに小売流通に乗せていくか」といった点に絞られています。
 みなさんインドにおけるMT(モールやスーパーなど近代的小売)・TT(いわゆる小規模家族経営などの伝統的小売)の割合やそこへ配架するための方法など小売流通における知識はありますし、様々な方法で小売流通へアプローチすることはできていても、現実的にその流通に乗せても、費やした高い棚代やプロモーションフィーすら回収できていないようです。これにはいくつかの原因があると思います。

 そのひとつにインドの長い歴史に裏付けられた欧米志向があります。インドの消費者はもちろん日本製品に対しては漠然と安心安全・機能的といったイメージはあったとしても、棚に並んだ商品のうち、実際に手に取るのは慣れ親しんだ欧米の製品やローカル製品なのです。

 

MT(モールやスーパーなど近代的小売)

インド市場での訪問販売の重要性

 では、日本製品を売り込むためにはどのようなステップを踏まなければならないのでしょうか。まずは、「その売り方は正しいのか?場所や価格は見合っているか?」といった、今実施している戦略を疑うことからはじめることが必要です。

 売り方について、以前私が経験したこんなエピソードをご紹介したいと思います。私が日本製消費財についてインド人に聞いてみると、日本製品の製品レベルが高いことを漠然とではありますが知っていてお墨付きを与えています。しかし、だからと言って前述したように慣れ親しんだ欧米メーカーを差し置いて、お店にあるその日本製品を手に取る理由にはならないようなのです。
 つまり、このエピソードから分かることは、現地の消費者が日本製品の強みである安心安全・機能的な製品を手に取る強い理由を作り上げていくことの重要性です。このようなところからマーケティング活動を始めてみてはいかがでしょうか。

 また、インドで消費財を売るためには、価格は当然最もシビアに検討される要素です。マーケット価格にあわせていくことや小分けにすることによって消費者の支出を最小限に抑えていくことは皆さんも知るところですので、ここでは多くの日系企業が実践している売り方や場所に関して考えます。
 例えば、「お店の棚を買い占める」。これは手に取る理由になりますが、この現代の小売マーケットでは不可能でしょう。「他社と比較して優位な機能性を知ってもらう」。日本製品であればなんとなく得意な方法のようですが、知ってもらう=広告となるとリスクは俄然高まります。
 インドの広告は既に先進国並みに高く、更に販売手法が小売になってしまうとまた前述した現状に立ち戻り、手に取る理由を薄めてしまいます。

 そこで、「知ってもらう」ことと「販売すること」を直結させる手法である訪問販売(手売り販売)がここでは有効な手段として挙げられます。
 インドでは消費財マーケットの10%以上が訪問販売によって占められており、近年の年平均成長率は21%を超え、地域によっては30%以上の成長率を遂げています。インド訪問販売協会によると、その市場規模は2025年には6450億ルピーに達するといわれています。実は、欧米企業はこのようなマーケット特性を捉え、1990年代から参入機会を得るために訪問販売(手売り販売)を重要な戦略と捉え、実行しているのです。
 また、インドには驚くことに400万人以上の訪問販売レディがいることから、インドにおいて訪問販売が如何に手法として定着しているか、また、そのような紹介が購買要因として重要だといえる成長国の特徴が伺えます。

 

アッパーミドル層マンション

 日本製品は、機能性を中心とした製品優位性が最大の武器です。製品優位性を現地の消費者にしっかりと届けて、理解してもらい、実際に使ってもらって、ファンになる―といった循環をつくるために、インドでの消費財市場において最適な手法である訪問販売(手売り販売)をぜひ戦略として検討してみてはいかがでしょうか。
 

<会社概要>
株式会社gr.a.m
東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー24F
03-6859-2252
 

株式会社gr.a.m 代表取締役 谷村 真

1976年8月生まれ。2002年から14年に渡り海外特に新興国へ進出する日系企業及び既に進出している日系企業を対象に調査・コンサル業務を提供。産業調査分野において大企業から中小企業まで数多くの調査・コンサルプロジェクトに携わり、グローバルビジネスにおける第一線で活躍。自治体・各種団体・企業セミナー等実績多数。

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