シリーズ 成長市場で勝つ (8)ジャカルタの最新事情 | リサーチ・市場調査・マーケティング

グローバルコラム
2018/9/4

シリーズ 成長市場で勝つ (8)ジャカルタの最新事情

シリーズ 成長市場で勝つ (8)ジャカルタの最新事情

アジア大会に沸いたジャカルタの今

 アジア大会の熱戦の様子が連日伝えられていましたが、みなさまはご覧になったでしょうか。今大会が行われたインドネシア・ジャカルタでは大会前から街のあちこちに「2018.8.18 アジア大会開幕」というディスプレイが設置されるなど、街を挙げてのビッグイベントとなりました。

 今回弊社の社員は2014年5月以来、約4年ぶりにジャカルタを訪れました。その際、様々な変化に気づいたと言います。最も大きな変化は、ライドシェアサービスの勃興です。“渋滞都市”ジャカルタは健在で、その間をすり抜けていく大量のバイクも今まで通りですが、そのバイクの多くはGRABもしくはGO-JEKと書かれた緑色のゼッケンとおそろいのヘルメットをつけた人たちを乗せています。今回はこのGRABとGO-JEKから、インドネシアの決済市場を読み解いてみたいと思います。

 

GRABとGO-JEKとは

 GRABはマレーシアで設立され、現在シンガポールに本社を置くアジア発のライドシェアサービス企業で、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、カンボジアにおいて自家用車向けに「GrabCar」、オートバイ向けに「GrabBike」、相乗りサービスの「GrabHitch」、タクシーサービスの「GrabTaxi」、配送サービスの「GrabExpress」、そして決済サービスである「GrabPay」を提供しています。
 インドネシアでは、2014年からGrabTaxi、2015年からGrabBikeのサービスを開始しました。2018年3月にはUberの東南アジア事業を買収し、インドネシアでも存在感が増しています。

 一方のGO-JEKは2010年にインドネシアでバイクタクシーの配車アプリのビジネスを開始し、現在は食料品の購入、料理の宅配、映画チケットの予約、荷物の配達など10を超える機能を集約したライフスタイルプラットフォームを構築し、ジャカルタの人々の生活に欠かせない存在となっています。これに対抗して、GRABも今年5月にフードデリバリーサービスに名乗りを上げましたが、GO-JEKの勢いを止めるまでには至っていません。

 GO-JEKの勢いは、インドネシアにおけるデジタル決済関連事業の拡大からも見られます。GO-JEKは2017年末までに、Midtrans(旧称 Veritrans Indonesia)、Kartuku、Mapan(PT Ruma)の3社のフィンテック企業を買収しました。社長のAndre Soelistyo氏は、「オフラインでは Kartuku が、オンラインでは Midtrans が、そして、銀行口座を持たない人には Mapan による金融包摂が、GO-PAY の普及と市場リードを加速してくれるでしょう」と話しています。(※1)

 インドネシアは、世界銀行の調べによると、クレジットカードおよびデビットカードの普及率がそれぞれ1%と8%、インドネシア銀行の調べによる成人の銀行口座保有率が36%に過ぎず、デジタル企業向けに決済関連のソリューションを提供することは大きなインパクトをもたらすと言えます。また、GO-JEKは最近、GO-PAY を用いて請求書の支払いができる GO-BILL というサービスを開始しました。これにより、まず電気料金やインドネシアの国家医療健康保険システムの支払いが可能になります。(※2)

 インドネシア銀行によると、決済取引の約9割を現金取引が占めるというインドネシアですが、まさに今始まろうとしている変化によって、一足飛びにキャッシュレス社会へ移行するかもしれません。

 

<会社概要>
株式会社gr.a.m
東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー24F
03-6859-2252
 

株式会社gr.a.m 代表取締役 谷村 真

1976年8月生まれ。2002年から14年に渡り海外特に新興国へ進出する日系企業及び既に進出している日系企業を対象に調査・コンサル業務を提供。産業調査分野において大企業から中小企業まで数多くの調査・コンサルプロジェクトに携わり、グローバルビジネスにおける第一線で活躍。自治体・各種団体・企業セミナー等実績多数。

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