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シリーズ 成長市場で勝つ (7)インドネシア教育マーケット参入のポイント

谷村 真
株式会社gr.a.m
代表取締役

谷村 真

2018 / 03 / 20

#生活 文化,#消費市場

シリーズ 成長市場で勝つ (7)インドネシア教育マーケット参入のポイント

 インドネシアの教育環境について、どのような印象をお持ちですか。メディアや文献などの情報により一般的には遅れていると思われているかもしれませんが、実はインドネシア政府は教育の取組みに非常に力を入れており、教育現場でも先進的な教育プログラムが導入されるなど非常に優れた教育環境が整いつつあります。
 今回のコラムでは、進化するインドネシアの教育環境を軸に関連するマーケットでの機会についてお届けしたいと思います。

インドネシア教育業界

 インドネシアにおける学校教育は日本同様6・3・3・4年制度ですが、学校を管轄する省庁は日本とは異なり、教育文化省及び宗教省で構成されます。学校数も非常に多く、大学を除く学校は約37万校あり、そのうち小中学校が約22万校を占めます。また、省庁管轄外ですが、インターナショナルスクールも100以上存在します。

 インドネシア政府は特に教育に力をいれており、中央政府における教育予算は実に416兆ルピア(国家予算の20%に相当)、地方政府においては合計で約25兆ルピアという規模になります。この教育予算のうち、学校運営用助成金BOS(Bantuan Operasional Sekolah)が学校運営に関わる費用ですが、これは約45兆ルピアにのぼります。

 教育大臣が教育システムの基準や内容の決定を行いますが、実際の運営及び管理は地方政府が担っています。現在は2013年に施行された教育カリキュラム(2013年度カリキュラム)に沿って教科書及びその他関連教材が作られています。

 教育内容は、先生の講義が中心の知識提供型で、全国統一試験によって進学先が決まるため、試験対策が一般的です。教育機関としては、学校だけでなく民間の塾なども存在しますが、そのほとんどが同様に試験対策のためのプログラムを提供しています。

変わる教育現場

 一般的なインドネシアの教育環境は、おそらく皆さんが想像する“アジアの教育環境”と一致しますが、この一般的な環境から脱却する流れも出てきています。特にジャカルタの小・中学校では、全教科の授業が英語で行われるようになったり、教材のデジタル化も進んでいます。

 また、学校を運営する校長並びに理事会や、学校事業に参入する多くの企業などの教育者の中には、一般的なインドネシアの教育に疑問をもち、かつ高度な教育論を持ち合わせた方々が多く、例えば、2013年度カリキュラムは最低限にとどめられ、知識提供型の授業ではなく、独自の教材やプログラムを使った生徒が考える体験型教育の推進や、デジタルコンテンツをいち早く取り入れ最新のツールを活用した教育を実施するなど工夫を凝らしています。

 また、インドネシア政府もその動きをフォローする制度を設け、教育の充実が進んでいます。実際に小中学校を訪問してみましたが、政府予算により生徒全員がタブレットを使った授業が可能になっており、無料のグーグルVRコンテンツも活用されています。また、芸術、実験、体験学習など独自の教育プログラムを惜しみなく発揮するなど多様な様相を呈しており、日本の小中学校より進んでいるのではないかといった印象を受けたのが本音です。


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教育マーケット参入のポイント

商材
 このような教育マーケットに提供できる製品・サービスは無数にあると考えられます。教材、副教材、器具、コンテンツ、サービスなどにカテゴリーされる詳細をあげればきりがないでしょう。
 そこで、鍵になるのは、“最新”、“独自性”といった訴求ポイントです。「教育は先進国の方が進んでいるだろう」といった考えで持ち込まれたひと昔まえのコンテンツは通用しないでしょう。最新の設備、器具、コンテンツをもってしなければ、勝負することは難しいと思われます。

パートナー
 インドネシア業界プレイヤーは大きく分けて出版社、教具メーカー、リセーラー、ディストリビュータ、独自コンテンツを有するサービサーなどに分類されます。例えば、出版社ならGramedia社やEarlanga社など、教具メーカーならPudak社、リセーラーはMuntaribooks、ディストリビューターは無数に存在します。
 上記は一例ですが、本来それぞれの業態によって役割が異なるものの、一般的にはすべて出版社として認識されているため、誤ったパートナーを選んでしまう可能性もあります。間違ったパートナーを選んでしまった場合、おそらく展開スピードや規模は得られないでしょう。しっかりと自社のコンテンツとパートナーの事業ドメインをすり合わせて選択するようにしましょう。
 パートナーに関連して、独特な商流の存在も認識する必要があります。先にもあげた英語教育、デジタル化といった流れはシンガポールから来ています。インドネシアに流通する最新の教材及びコンテンツはそのほとんどがシンガポールからもたらされており、場合によってはシンガポールの出版社等と組む方が、参入しやすいケースも想定できます。

ターゲット
 皆さんが提供するサービスが誰に向けたものなのかが、やはり重要です。学校に提供するものであっても、その予算は政府なのか、学校なのか、生徒の家族なのか、ドナーなのか、それによって組むべきパートナーも変われば、必要な準備も変わってきます。
 例えば、中央もしくは州政府の承認が必要な政府の予算を使ったサービスの展開の場合、組むべきパートナーは、例えば教科書作りを担い且つ政府と非常に強いコネクションを持つキーマンがいる出版社が望ましいでしょう。政府予算を使ったサービスは、マーケット規模が大きい反面、準備に膨大な時間がかかることを覚悟しなければなりません。

 今回はインドネシアの教育マーケットに関してお届けしましたが、インドネシア学校教育の現場は、一部ではかなり進んでいるといった印象を受けています。
 おそらく皆さんが持つインドネシア教育マーケットの印象も異なるのではないでしょう。巷にあふれる情報のみで正確なマーケットを知ることはできません。特に新興国では日々情報が更新され、また受け取る印象も人によって様々なため、正確な情報をつかむことが大変です。
 もしインドネシア教育マーケットに参入しようと思うのであれば、皆さんのサービスをマーケットにあてながら、一次情報を収集し判断することが最も重要なポイントとなるでしょう。


<会社概要>
株式会社gr.a.m
東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー24F
03-6859-2252

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