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IT企業向けのマレーシアの優遇措置制度「MSCステータス」

2015 / 12 / 01

#テクノロジー,#消費市場

IT企業向けのマレーシアの優遇措置制度「MSCステータス」

MSCとは、「マルチメディア・スーパー・コリドー(MultimediaSuper Corridor)」の略で、マレーシア政府によって指定された情報と知識の開発を促進するための地域のことです。

MSCとはなにか?

情報産業育成を目指すマレーシア政府の下、その根幹となるプロジェクトとして、1996年8月よりマハティール元首相時代に、アジア版「シリコンバレー」としてスタートした計画を「MSC計画」といい、「MSCステータス」とは、MSCに進出し情報通信技術事業を行う企業を対象に、マルチメディア開発公社を通じてマレーシア政府より与えられる資格です。

マレーシアのICT企業やマルチメディア企業は、この「MSCステータス」を取得する事により、テクノロジー開発のサポートや施設利用の便宜などさまざまなメリットを提供されます。
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MSCステータスのメリットとは?

MSCステータスを取得した企業には、以下の優遇措置があります。

1)最長10年間の法人税の免税
2)日本人を含む外国人知的労働者に無制限で就労ビザを発給
3)外資規制の撤廃
4)マルチメディア関連機器の輸入税免除

特に、2)の無制限就労ビザの発給は、たいへん大きなメリットとなります。というのも、現地での就労ビザ取得は海外ビジネス展開において欠かせないものだからです。

通常マレーシアでは、外国人が就労ビザを取得するためにはその法人の資本金が最低50万RM(約1400万円※)、業種によっては100万RM(約2800万円※)必要となり、取得できる人数も限られます。

しかし、このステータスを取得すれば無制限に発給できるのです。もちろん就労ビザ取得には一定の要件がありますが、要件を満たしていればマレーシア以外の国の人材へも就労ビザを出すことができるので、マレーシアの次の国へのビジネス展開の足がかりにすることも可能です。

ただ、以下のような取得後の義務もあります。

1)四半期ごとの進捗報告義務
2)指定された建物への事務所設立

指定されている建物は、IT環境に恵まれ、事務所の大きさも一定基準を満たす必要があるため、立地のよいオフィスビルは賃料が高い場合もあります。

※1RM=約28.0円(2015年11月現在のレート)で計算
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MSCステータスの注意点

注意点として、優遇措置の対象となるのは、MSCステータスを取得したビジネスモデルのみであることに気を付けなければなりません。

例えば、取得をした会社でITとは全く別のビジネスを展開した場合、別事業で得た利益は優遇措置の対象にはなりませんので、どのくらいのリソースをどちらの事業に使ったか、決算時に分けて申告する必要があります。そこで、新たに事業を展開する場合は、その都度そのビジネスモデルでのステータスの取得をするなど優遇措置対象にするための工夫が必要です。

このステータス取得までの期間ですが、以前は申請から取得まで約3カ月と言われていましたが、年々取得のハードルが高くなってきており、実際の取得までは3カ月以上かかっている企業が多いと聞きます。1年くらいかかるケースも少なくないようです。ステータスの申請は、マレーシアに法人がない状況でも可能ですので、IT企業で取得を検討されている場合は、先に申請されるのもよいでしょう。

このように取得後の義務や気を付けなくてはならない点もあるMSCステータスですが、そのメリットはたいへん魅力的なものです。IT企業やマルチメディア企業の方は、この魅力的な制度を利用してマレーシアでビジネス展開されてはいかがでしょうか。

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