スリランカでの“デザイナーズ・ティー”作り

グローバルコラム
2015/12/22

スリランカでの“デザイナーズ・ティー”作り

スリランカでの“デザイナーズ・ティー”作り

紅茶民宿で生産される手作りのお茶

 セイロン紅茶の故郷スリランカで、希少な手作りのお茶を製造している生産者がいる。それは、スリランカ中央山岳地帯のギニガッテーナという小さな町で、紅茶民宿「エボニー・スプリングス」を営むバーナード・ホルシンガーさんだ。バーナードさんは、自身が手がける独特なお茶類を「デザイナーズ・ティー」と呼んでいる。
 紅茶生産国での特殊なお茶というと、まず、茶葉の芯芽だけを集めてつくるシルバーチップスやゴールデンチップスが挙げられ、アラブの富豪が好む高価なお茶として知られている。バーナードさんはそれらに加えて、中国の工芸茶などを参考に、茶葉を糸で縛って球状に成形し、お湯を注ぐとウニのような形に開くウニ茶(Tea Urchin)や、柔らかい茎の部分をストローに縛りつけて成形するノッティド・ティー(Knotted Tea)など、全9種のデザイナーズ・ティーを生産している。

バーナードさん、ポーリンさん夫妻

ウニ茶の完成品

完成したノッティド・ティーをストローから外す

2種類の紅茶品種を栽培

 バーナードさんは1946年生まれで、2003年までは大規模な紅茶プランテーションの敏腕マネージャーとして活躍していた。在職中にこの場所の5エーカーの空き地が売りに出ているのを知り、1999年に購入した。うち3エーカーを茶畑にし、2エーカーには大きな芯芽をもち、紫がかった葉の色をした特殊な品種のTRI2043号を植え、1エーカーに紅茶用の優良改良種であるノーウッド・クローン(NC)を植えている。TRI2043号は、シルバーチップスやゴールデンチップス用の品種として、茶園の一角で栽培している大規模プランテーションも少なくない。けれども、個人が所有する茶畑で、TRI2043号を主体に植えているのは、製茶も手がけるエボニー・スプリングスならではのことだ。また、当初はバーナードさん、ポーリンさん夫妻が住む小さな家を建てて暮らし始めたが、少しずつ増築し、今は3室最大8人が泊まれる民宿としても営業している。

自身の経験と工夫から製茶方法を確立

 バーナードさんは、プランテーション会社退職後もコンサルタントとして茶園を巡回したり、2007年~2009年には、トルコの新設の紅茶工場の指導者として赴任したりしていた。その間もデザイナーズ・ティー生産の構想を膨らませ、少しずつ具現化していった。
 デザイナーズ・ティーの製法は、バーナードさん自身の経験に加え、インターネット上から得たさまざまな中国の工芸茶の特徴を参照し、製茶器具等も工夫しながら確立していった。まずは、栽培しているTRI2043号の特徴を生かす製茶法であること。さらには、芯芽だけではなく、その下の2~3番目の葉、これから芯芽が出てくるつぼみの部分、茎の柔らかいところなど、お茶の葉のいろいろな部位を余さずに使う方法を考案した。またトルコ滞在時には、現地の銅職人に希望を伝え、数カ所に突起をつけた銅製のボウルを手作りしてもらった。スリランカ西部地区で紅茶の品質が向上する1~3月には、この銅製ボウルとNCの茶葉を使い、香り高い手揉み紅茶を作る。

 バーナードさんは敷地内に小さな製茶工場を建て、近所に住むベテラン茶摘み婦に茶葉を摘んでもらい、手先が器用な女性たちを集めて製茶方法を教え、平日はほぼ毎日、朝9時~夕方5時まで製茶作業に従事してもらっている。それでも月間生産量は15~20kgに過ぎない。最近では、これらの特別なお茶に価値を見出した海外の輸入業者から、定期的に注文が入るようになってきている。

近所に住む手先が器用な女性たちが毎日製茶作業に従事

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