- マーケティングコラム
カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?顧客体験向上のために欠かせないポイント3つ
2020 / 10 / 02
#コミュニケーション,#ブランディング,#差別化,#消費市場
近年、多くの企業がカスタマーエクスペリエンス(CX)を重視したビジネス戦略を立てています。なぜ重視されるようになったのかという背景を分析し、どうすれば消費者の体験評価を高めて、企業としての競争力をつけていけるかを考察します。
カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?
人が消費行動をする際の感情や評価として、物やサービス自体に対する満足度以外に、企業のスタンスやアフターフォローの誠実さといった、数値化できない満足度もあります。このように、顧客の視点で、顧客が感じた商品やサービスにまつわるすべての体験や評価をカスタマーエクスペリエンス(CX)と言います。例えば同じ分量、同じレベルの味で、同一価格のコーヒーを提供するカフェが2店舗あるとします。店の居心地が片方は良くて、もう片方はそれなりであれば、ほとんどの人は前者の満足度は高いという評価を持ちます。
このように、物質的、金銭的価値だけでなく、商品を提供する場の雰囲気、購入までの過程など、総合的、包括的な顧客視点での体験や、それに伴う評価がCXです。
良質な顧客体験が求められる理由
第1に、同じレベルの商品やサービスで競合他社との差別化を図り、自社の立場を優位に保つのは容易ではありません。リピーターは、新商品や新サービスを購入したり利用してくれたりと、企業にとって長期的な売上をもたらしてくれる優良顧客です。ユーザーの期待を超え、ライバルのどこにも負けない良質な顧客体験を提供すれば、利用者がリピーターになる確率も上がります。第3に、個々の商品やサービスに対して良い体験をしたという消費者の評価を積み重ねていけば、消費者にとって良い商品やサービスを生み出す企業として企業やブランドイメージの向上にもつながります。売上増という販売実績にとどまらず、企業価値を高める効果が期待できるでしょう。
CX向上のための3ポイント
ミッション・ステートメントを明確に定義する
ミッション・ステートメントとは、経営陣から従業員に至るまで、全員が一丸となって取り組む企業の指針や方針を具体化したものです。経営者の夢とか企業理念といったスローガンのようなレベルではなく、誰に、どのような価値や商品・サービスを提供していくのか、そのために取り組むことは何かといった具体的な行動プランでなければなりません。ネット社会の進展で、消費者は昔よりはるかに膨大な情報を得られるようになっており、さまざまな角度から類似商品やサービスを比較検討し、さらには企業そのものを評価します。不明確なステートメントは消費者の信用を得られません。どのような理念に基づいて、どういった価値を、どういう製品やサービスで提供していくのかといった具体的で明確な情報を発信すれば、顧客にとっては企業哲学を知ることができ、企業に対する体験評価はより好意的で包括的になるメリットがあります。カスタマージャーニーを活用する
カスタマージャーニーはマーケティング手法の一つで、直訳すると、顧客の旅行です。本物の旅行をする時は、だれもが情報を集め、内容や旅費などを検討し、どういう旅行にするかを決めます。場合によっては予定を変更することもあるでしょう。カスタマージャーニーでは、消費者の心理や行動の変化を旅行になぞらえ、消費の段階ごとに変わる消費者の思考や行動を図表化し、それぞれの段階で効果的な対応策を組んだ行動マップを策定します。消費者は、商品やサービスの情報を広告で得たら、さらに詳しい情報を得るためにサイトを調べたり、類似商品と性能を比較したり、実際にショップに行って確認したりします。企業はカスタマージャーニーの各ステージで消費者の気持ちをくみ、企業が行っているマーケティングの問題点や、その解決策を導き出します。顧客のネックになる可能性を解消することで、良質な顧客経験を提供できるようになり、最終的にCXが向上します。数値目標を設定する
CXは向上率を決定したとしても、年間売上や純利益のように絶対的な数値として把握するのは難しい評価です。そのため、CXに関わる購入率やリピート購入率、客単価などといった指標をピックアップし、それぞれの目標数値とCX向上率の配分を設定します。そうすれば、実際の達成率に応じて最終的なCXの向上率を出すことが可能です。CXは目に見える数値ではありませんが、このように可視化させることで、現状把握しやすくなります。明確な数値がわかるため、企業が一丸となって目標に取り組みやすくなり、結果としてCX向上につながります。まとめ
カスタマーエクスペリエンス(CX)戦略を推進することは、顧客の総合的な視点での支持を得たり、顧客ロイヤリティを高めたりする期待が持てます。しかし、あくまで企業目線ではなく、消費者目線でプランを設計することが重要です。かつては商品やサービスを提供する側に主導権がありましたが、情報化社会では、個人が多くの情報を集めて比較検討や他のユーザーの評価を知ることができるようになっており、ユーザー側に選択の主導権があるケースは少なくありません。したがって、ユーザーの声をできるだけ多く取り入れながら、どのような商品をどのような形やホスピタリティで提供すればよいかというふうに、顧客の立場を尊重した戦略の構築と展開を心がけることが大切です。