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消費者インサイトをマーケティングに活用するには?分析方法や活用事例を紹介

2024 / 08 / 30

#コミュニケーション,#消費者行動,#気づき

消費者インサイトをマーケティングに活用するには?分析方法や活用事例を紹介

マーケティング担当者やサービス販売者であれば、常に消費者ニーズに関して頭を悩ませているのではないでしょうか。マーケティングやブランディングにおいて消費者ニーズを把握することは大切です。 しかし、消費者ニーズは競合他社でも同じような情報を取得できるため、調査したからといって必ずしも差別化要素になるとは限りません。そこで重要になってくるのが、今回紹介する消費者インサイトです。 消費者インサイトを理解しておけば消費者の深層心理の解明に役立ち、プロモーション活動の最適化へとつながります。 今回はインサイトの仕組みや見つけ方、メリットとデメリット、ニーズとの違いなどから活用事例まで詳しく解説します。


消費者インサイトとは

インサイトには「洞察力」や「物事を見抜く力」という意味があります。そこから現在ではマーケティング分野にも派生し、「消費者インサイト」という言葉が生まれました。

消費者インサイトとは、消費者が自分自身でも気付いていない本音や動機のことで、サービス販売者やマーケティング担当者などが洞察力を働かして見つけるものです。

よく潜在ニーズの意味と混同されますが、潜在ニーズはある程度サービスや商品に欲求があるのに対し、消費者インサイトは自身が欲求すらも把握していません。よって消費者インサイトを探るには、消費者の考えや行動を調査した上でさらに洞察が必要なのです。

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インサイトとニーズの違い

インサイトと似ている言葉に「ニーズ」があります。どちらもマーケティングにおいて欠かすことはできません。2つの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。

ニーズは「欲求・需要・必要」などの意味をもち、しばしば「顕在的ニーズ」と「潜在的ニーズ」に分けられます。一方、インサイトはニーズよりも深く、本人の自覚がない部分にある購買行動の動機のことです。

ニーズは目で見える表面的な欲求を示しているもので、インサイトは深層心理や購買行動の動機を掘り下げて初めて理解することができます。インサイトを把握し分析することで、消費者がもつニーズの背景を深く理解し、マーケティングに活かすことができるのです。

ニーズに似たような言葉にウォンツがあります。ウォンツとニーズの違いについては、下記の記事で詳しく解説しています。

【具体例あり】ウォンツとニーズの違いと関連性を紹介

インサイトを把握するメリット・デメリット

インサイトを把握することには、メリット・デメリットの両方があります。ここでは、それぞれについて詳しく紹介します。

メリット

インサイトを分析すると、顧客が真に求めている商品やサービスの開発につながるヒントを得ることができます。商品やサービスの改良を重ねることで、より多くのファンを獲得でき、シェアの拡大や顧客満足度の向上も見込めます。

顧客が潜在的に求めているものを提供すれば、顧客側から好印象を抱いてもらえるようになり、企業のイメージアップにも役立つのです。

デメリット

インサイトの把握はさまざまなメリット面を享受できる一方、実践的な手法が確立されていない点がデメリットといえます。

消費者の購買行動は、合理的に説明がつくものばかりではないため、行動をパターン化して当てはめることが難しく、実践することは容易ではありません。

インサイトの分析結果を顧客へのアプローチに活かすには、手探りで施策を行う必要があります。そのため、インサイトだけでなく別の視点からの分析も併用し、商品やサービスの開発を行わなければなりません。

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インサイトの探り方

消費者インサイトにはサービス販売者やマーケティング担当者の洞察が必要とはいえ、何の手がかりもなしに消費者の本音や動機を見つけることはできません。そこで、リサーチが必要になってきます。

消費者インサイトを探るには、以下のようなリサーチ方法が活用できます。

・インタビュー調査:質問への回答を通じて購買行動や購買意識を調べる
・行動観察調査:消費者と同じ環境で話を聞く、あるいは定点観測で行動の傾向を調べる
・MROC:オンラインコミュニティ内の交流や意見交換から消費者の考え方を探る
・コラージュエクササイズ:数百枚の写真からグループでコラージュを作成して潜在心象を探る
・ソーシャルリスニング:SNS上の消費者の口コミを収集・分析する

ただし、上記のリサーチによって消費者インサイトが明らかになるわけではありません。必ずしも消費者が本音を語るわけではないからです。例えばインタビュー調査などで特定の商品を購入した理由を尋ねたとしても、「パッケージを見て感覚的に選んだ」「なんとなく気になったから」と回答するケースも珍しくありません。

一方で、ソーシャルリスニングは消費者が自分のアカウントで自由に口コミを投稿するため、本音が得られやすいといわれています。選択式の回答などが必要ないことから、消費者の率直な意見が反映されるので、分析もしやすくなるのです。

投稿から商品やサービスの良い面も悪い面も知ることができるため、実際にSNSの口コミを見て商品の購入を決めるユーザーも増えています。そのため、最近ではソーシャルリスニングが重要視されつつあります。

上記のリサーチはあくまで情報を得るきっかけであり、そこから消費者インサイトを見つけるには、サービス販売者やマーケティング担当者などが自分自身で消費者の動機を推察する必要があります。

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インサイトを見つける方法

インサイトを自社のマーケティング戦略に組み込むことで、より成果を最大化することが可能になります。インサイトを見つけるためには、消費者の購買動機を合理的に分析することが必要です。ここではインサイトの分析に必要なことを3つ紹介します。

データを収集する

インサイトを把握するには、定量的な情報と定性的な情報を収集する必要があります。

定量的な情報は、主に統計データや数値で表すことができるデータです。アンケートの結果や自社サイトへのアクセス履歴などが当てはまります。数値データを分析することで、消費者の購買行動や動向など、自社の商品やサービスを取り巻く環境全体の傾向を把握することが可能です。

一方、定性的な情報は感情や思いなど数値で表すことのできない心情のデータを指します。インタビューを通して消費者の声を集めたものや、SNSでの口コミ投稿などが定性データです。定性データを分析すると、消費者の深層心理を読み解くことにつながります。

定性データは対象のユーザーによって内容が大きく異なるため、複数人のサンプルを集めることが大切です。グループインタビューで一度に複数人のデータを集めるといった工夫をし、データが偏らないように注意しましょう。

定量的なデータと定積的なデータを集めて組み合わせて分析することで、全体の傾向を把握しつつ、消費者の深層心理や購買動機などを知ることができます。そうすると、より詳細な消費者データをマーケティングに活かすことができるのです。

収集したデータを分析する

定量データと定性データを収集した後は分析が必要です。収集データは情報量が膨大になるため、それぞれを見比べて分析するのは大変です。

また、正しく分析できないと、適切な戦略を打ち出すことができないので、慎重に分析しなければなりません。より効率的かつ正確に分析するためには、必要に応じて各種分析ツールを使用することがおすすめです。

アクセス解析ツールやCDP/プライベートDMPを使うと、データの整理を効率的に行うことができます。テキストマイニングツールやワードクラウド作成ツールを使うと、消費者の心情などの分析に役立つため、集めたデータの種類に合わせて適切なツールを活用しましょう。

AIを活用した分析ツールを使えば、従来の分析ツールよりも高度な分析が可能です。AIツールなら、SNS上の口コミを解析して商品への評価を導き出すこともできます。分析ツールを使うことで、効率良く分析できるだけでなく、自分で考えるだけでは辿り着けなかった深い分析結果を得ることにもつながるのです。

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フレームワークを活用して見える化する

分析した結果インサイトを見つけたとしても、そのまま活用するのは難しいため、わかりやすいよう見える化する必要があります。インサイトを見える化するためには、ペルソナの設定・共感マップの作成がおすすめです。

ペルソナは商品やサービスのターゲットとなる人物像をできるだけ具体的に設定します。属性や年齢、性別、職業、行動パターンなど、人物像を仮定して設定すると解像度が上がります。

共感マップはターゲットの心情や気持ちを設定する手法です。考えていることやストレスを感じていること、見えているもの、聞いているものなど、ターゲットの内面を洗い出しましょう。

ペルソナ設定と共感マップを合わせて考えることで、商品・サービスに対する消費者のニーズや心情、欲求を明確にすることができます。そのため、より現実的かつ具体的に設定することが重要です。

消費者インサイトを活用したマーケティング施策

先述した通り、消費者インサイトを見つけるには適切な情報収集と洞察が必要です。ただ、消費者インサイトを見つけるのに不慣れな人にとって、いきなり消費者の本音や動機を考えるのは簡単ではありません。

そこで、消費者インサイトを活用したマーケティング施策を考えるため、複数の企業の事例を紹介します。

【事例1】カリフォルニア牛乳協会

カリフォルニア牛乳協会では、牛乳の消費量の落ち込みをカバーするため、消費者インサイトを調べた上で販売拡大キャンペーンを実施しました。消費者インサイトが必要になった理由としては、「脂肪分の多い牛乳を嫌う人が多いから低脂肪牛乳のキャンペーンを行う」といった表層的なイメージをもとにした施策を行ったものの成果があまり得られなかったからです。

そこで同社では、アンケート調査とともに行動観察調査を実施。実際に牛乳を飲んでいる消費者を調査・分析した結果、クッキーと一緒に牛乳が飲まれていることが分かりました。そのインサイトをもとに「クッキーを食べるときに必要な牛乳」としてキャンペーンを打ち出した結果、キャンペーンは全米に広がり大成功をおさめています。

【事例2】日清食品

日本でも消費者インサイトを活用してマーケティングを実施する企業があります。それは「カップヌードル」でお馴染みの日清食品です。主にシニア層に向けたプロモーションで消費者インサイトが活用されました。

カップヌードルはすべての世代に人気のある商品のようにも思えますが、実は60歳以上の高齢者層への販売は低迷していました。もともとシニア層には「塩分控えめ」「低カロリー」の商品が合うイメージがあり、そのニーズに適った製品を販売していましたが、SNSの投稿を調査した結果、意外にもシニア層は豪華な食事を好んでいることが分かります。

そこで、カロリーや塩分よりもプレミアム感を前面に押し出した「カップヌードルリッチ」を開発。贅沢な味覚や香りが味わえる強みがシニア層に受け、発売7か月で1,400万食を突破するほどのヒット作が生まれました。

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【事例3】大戸屋ごはん処

大戸屋ごはん処は定食がメインの飲食店です。定食屋といえば男性客が多く利用するイメージがあるものの、大戸屋では女性客のインサイトを押さえた戦略を打ち出しています。

インサイトを分析したところ、多くの女性客はひとりで定食屋に入店することを恥ずかしいと思っていたことがわかりました。

そこで、大戸屋は入るところを人に見られにくい2階以上または地下に店舗を構えました。また、女性客の関心を惹き付けられるよう、明るくきれいな内装や野菜を使ったヘルシーなメニューを取り入れたのです。その結果、多くの女性客を集客することに成功しました。

【事例4】フォルクスワーゲン(Volkswagen)

自動車メーカーのフォルクスワーゲンは、同社の看板ともいえる「ビートル」という小型車を売り出す際に顧客インサイトを活用しています。

当時のアメリカでは、「大きいほど良い」という価値観に基づいて、自動車も大型車が圧倒的な人気を誇っていました。しかし、アメリカの家族構成をみると、実際に大型車が必要な家庭ばかりではありません。

そこで、フォルクスワーゲンは小型車を求めている消費者もいるに違いないという仮説を立てました。ビートルは「小さい車も良い」という価値観で「Think small」といったキャッチコピーのもと売り出され、小型車を求めていた消費者のニーズと合致したことで大ヒットを記録しています。

まとめ

消費者インサイトとは、消費者自身が気付いていない本音や動機を指します。同じような言葉にニーズがありますが、ニーズの場合は情報収集を行えば他社でも容易に取得することができるため、差別化にはつながりません。よって収集した情報をもとにサービス販売者やマーケティング担当者が洞察を行い、消費者インサイトへと醸成することが重要です。

今回は、消費者インサイトを見つける方法としてインタビュー調査や行動観察調査などを紹介しましたが、調査すること自体が目的化しないよう注意してください。今回紹介した事例を参考に、消費者インサイトを活用したマーケティング施策を考えましょう。

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