中国のWechat利用事情 | リサーチ・市場調査・マーケティング

グローバルコラム
2015/10/27

中国のWechat利用事情

中国のWechat利用事情

Wechat、中国発のメッセージングコミュニティサービス

2015年7月には携帯電話の利用時間が一人一日平均158分(2時間38分)と発表された中国。今や、携帯の利用率、とくにスマホの需要はますます高まるばかりです。利用できるアプリも非常に充実しており、中でも、中国のIT最大手のテンセント(腾讯)が運営するWechat(微信)への利用依存度は非常に高いと言えるでしょう。

中国版LINEとも言うべき無料のメッセージングアプリWechat。その利用者数は膨大で、2015年2月時点で約11億人とされ(※1)、同年8月時点で月間アクティブユーザ数は6億人と発表されています(※2)。利用されている国の数は200カ国以上、言語については、20言語以上(※3)。発表された数値でみると、世界全体で見た場合のWechatの規模は圧倒的にLINEを凌駕していると言えるでしょう。既存のメッセージングサービスについては、同じくテンセントが運営するQQというサービスが非常に有名ですが、Wechatが現在の利用者数を獲得した最初のきっかけは、チャット機能の一貫として時間差で音声をやりとりする言わば「時間差電話機能」が無料で提供されたことでした。スマホ番号を初期のIDとして利用できる手軽な登録手順と、電話帳から友達を簡単に追加できることや友達検索機能があることで、年齢を問わずさらに多くの人に利用されるようになりました。また、Shake(摇一摇 スマホを同時に振っている人を探す)、People Nearby(附近的人 スマホ付近にいる人を探す)といった自分の知らない人との友達登録も簡単にできる機能もあります。日本では敬遠されがちないわゆる「出会い機能」については、利用者の嗜好は分かれる傾向にありますが、制限する明確な法律がないことや、老若男女問わず「ご縁」を非常に重視する中国人にとっては、若い女性にとってもあまり抵抗のない機能として受け入れられています。

(※1)…http://technode.com/2015/01/22/wechat-reaches-1-1b-registered-accounts-440m-mau/
(※2)…http://tencent.com/zh-cn/content/at/2015/attachments/20150812.pdf
(※3)…http://seechina365.com/2015/07/08/wechat_data/

注目すべきWechat Payment

Wechatのアプリ上から利用できる決済サービスにWechat Paymentというものがあります。利用者数は4億人と言われるWechat Paymentは、今後日本でも注目すべきサービスと言えるでしょう。とくに、仕組みや手順が煩雑と言われるLINE Payと違い、Wechat Paymentは利用手順が驚くほど簡単なのが特徴で、感動すら覚えるほどです。やりとりする金額の単位は中国元です。
2015年9月現在盛り込まれている機能は、
・Mobile Top Up(手机充值 携帯電話料金のチャージ)
・Wealth(理财通 投資機能。比較的リスクの低い商品が多いとされる)
・Rail&Flights(火车票机票 汽車と飛行機のチケット予約及び販売機能)
など、全部で15のサービスがあります。とくに多く利用されている機能はTransfer(转账お金を友達に転送する機能)とLucky Money(微信红包 中国のお正月である春節のときなどに多く利用されるお年玉機能)、Order Taxi、(滴滴出行 スマホで呼んだタクシーの料金の決済機能)です。
Transfer機能について説明します。2015年現在でも、中国では一部の富裕層を除き、クレジットカードを持つことができる中国人は少なく、銀聯を始めとするデビットカード機能がついた銀行のキャッシュカードを日常の買い物のときにも利用するのが一般的です。また、いまだに偽札が多く、家屋のセキュリティの問題から盗難への危険意識が高い中国では、人々は現金をやりとりすることや大量に持ち歩くこと、また家に置いておくことに抵抗があります。そのため、現金のやりとりなしに決済できる仕組みが大多数から支持されているのです。「システムがダウンしたらどうするの?」と疑問を持ってしまう日本人に比べ、Transferは、わざわざ会って現金を渡さなくてもよい手軽さと、Wechat Paymentの中にある自分のお金を簡単に自分の銀行口座に転送できる機能により、中国人にとってハードルが低く、むしろ多くの信頼を勝ち得ていると言えます。

WechatやWechat Paymentで顧客を増やせ

もちろん、ビジネスの分野でもWechatを利用する会社は増える一方です。レストラン、スーパー、ついには政府機関からの疫病情報などWechatで会員登録を促すQRコードを見ない日はありません。最近では、日本でも中国人観光客の「爆買い」を意識し、日本の店舗で購入者(銀聯デビットカードを利用できる中国人)がWechat Paymentを利用し簡単に商品を買うことができる決済サービスがスタートします。店舗側のiPad端末に決済金額を入力し、購入者が表示する決済用のQRコードをiPadで読み取ると決済が完了します。日本においてWechat Paymentを利用できる店舗を3年で1万店舗に増やす予定としていますが、中国人を最大の顧客と見据える日本の観光業にどのような影響があるか注目したいところです。

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