ブランディングで最初に行う「ブランド・ポジショニング」とは | リサーチ・市場調査・マーケティング

マーケティングコラム
2017/3/30

ブランディングで最初に行う「ブランド・ポジショニング」とは

ブランディングで最初に行う「ブランド・ポジショニング」とは

ブランド・ポジショニングとは

 企業名やロゴ、商品シリーズ名称などのブランド・製品に対して、信頼や共感など一定のイメージを消費者に持たせること。これにより市場におけるブランド・製品の価値を高める、マーケティング戦略のひとつが「ブランディング」です。

 ブランディングは、以下の三つの要素で構成されています。

・そのブランド・製品が消費者に対して持つ強みや価値などを設定する「ブランド・コンセプト」
・そのブランド・製品を所有することが望ましい消費者像を仮定する「ターゲティング」
・市場におけるブランド・製品の価値や立場などを決める「ブランド・ポジショニング」

 この中で、ブランディングにおいて最も重要な要素とされるのが「ブランド・ポジショニング」です。ブランド・ポジショニングは、そのブランド・製品のターゲットとする顧客に対して、ブランド・製品の使われ方や使われる場面・状況など、そのブランド・製品特有のイメージを持ってもらうための活動と言い換えられます。

 ブランド・製品特有のイメージは、すなわちそのブランド・製品の特長であり、差別化を図れる部分です。競合他社ブランド・製品と比べて「このブランド・製品は〇〇である」の「〇〇」の部分に該当します。この「〇〇」は、消費者の視点と、競合ブランド・製品と比較した視点のどちらかで決めます。消費者にとってそのブランド・製品がどのような価値をもたらすか、あるいは、競合ブランド・製品と比較してどこが優位であるか、を決めるのです。

 そのためには、そのブランド・製品が市場でどの程度のシェアを占めているか(マーケット・シェア)という点だけでは足りません。競合他社ブランド・製品と比較して、持たれているイメージが市場でどの程度のシェアを占めているか(マインド・シェア)を把握または設定しておくことも欠かせません。

 

マーケット・シェア戦略

 「マーケティングの神様」と呼ばれるフィリップ・コトラー氏は、マーケット・シェアを4クラスに分けた上で、それぞれが採るべき戦略理論を提唱しています。

○マーケット・リーダー
 該当する市場で最大・トップのシェアを有するブランド・製品のこと。競合他社の標的にもなります。このクラスが採るべき経営戦略としては、価格戦略などで市場におけるトップの地位を維持すること。加えて、市場トップシェアであることによる最大限の恩恵を受けるために、大規模投資など十分な経営資材を投入して市場の規模そのものを拡大することを目指します。

○マーケット・チャレンジャー
 マーケット・リーダーに次ぐ売上高・シェアを有するブランド・製品のこと。市場で上位のシェアを誇りますが、マーケット・リーダーには劣ります。マーケット・リーダーのシェア・地位を奪うことが目標になるため、マーケット・リーダーにとっては脅威となる存在です。このクラスのブランド・製品が採るべき戦略としては、新製品の投入や低価格化などによるトップシェア奪還。または、ブランドイメージや画期的製品の開発・販売、サービス改革などによる差別化戦略が挙げられます。

○マーケット・フォロワー
 マーケット・チャレンジャーを追うブランド・製品が該当します。上位シェアを持ってはいますが、トップシェアを狙うことは得策ではありません。現状のシェアを維持して市場での生き残りを模索しながら、低コスト化やサービス向上などリーダーまたはチャレンジャーの戦略を模倣して、市場で一定のシェアを安定して獲得することを目指します。

○マーケット・ニッチャー
 市場でのシェアは高くないが、特定のセグメント(ニッチ)において一定の需要を確保して独自の地位を築いているブランド・製品が該当します。自動車メーカーの「光岡自動車」(参考URL: http://business-philosophy.seesaa.net/article/13788012.html)などがこれにあたります。このクラスでは、利益を確保できるだけの市場規模であるかを見極めた上で、特定の年齢層や地域など、絞り込まれたセグメントに経営資源を集中して独占する「集中型戦略」を採ります。

 ブランド・ポジショニングを行うときは、自社のブランド・製品が、この4クラスのどれに該当するかを特定した上で、それに合わせた経営戦略を展開していきましょう。

 

マインド・シェア戦略

 マーケット・シェアは該当するブランド・製品の市場における売上高や流通数など、貨幣価値で表せる占有率を指します。これに対してマインド・シェアは、該当するブランド・製品のイメージによる占有率、つまり消費者心理に占める割合を指します。
 

 マインド・シェアを測定するには、「〇〇と聞いて何のブランド・製品を思い浮かべますか?」という質問により、出てくるブランド・製品を聴取することで純粋想起率を調べる方法が多く用いられます。

 フィリップ・コトラーは、マインド・シェアについて次のように定義づけています。

 「顧客の心の中でどのようにポジショニング(存在価値の位置づけ)を獲得するかで全てが決まってしまう」

 つまり、「何のブランド・製品を思い浮かべますか?」と聞かれて一番に回答したブランド・製品が、マーケット・シェアでも1位を獲得するブランド・製品。逆に回答されなければ、マーケット・シェアでも上位になることはない、ということです。これを「マインド・シェアの法則」と呼びます。

 消費者の心(マインド)に占めるブランド・製品イメージの割合が高いと、現在は市場での位置づけが低くても、徐々に売上が向上する可能性があり、中長期的に影響が出ます。つまり、
マーケット・シェアは現在の市場シェアマインド・シェアは近未来の市場シェアとも言えます。マーケット・リーダーであれば、市場において想起率を維持するための戦略を、マーケット・ニッチャーであれば絞り込んだセグメントにおいて「オンリーワン」になるための戦略を採ることが重要です。
 

ポジショニングの決め方~ポジショニング・マップの作成~

 製品・ブランドのポジショニングを決めるための有効な方法が、ポジショニング・マップを作成することです。
 

 ポジショニング・マップとは、競合他社のブランド・製品と比較して差別化を図れる部分を交差する2軸で分析する二次元マップです。ポジショニング・マップで設定する軸は、ブランド・製品の特徴やイメージ、価格など、主に購入決定要因で設定します。

 軸同士はそれぞれが独立しており、かつ、相関性の薄いもの同士で設定することがポイントです。「価格」と「機能」は比例する、つまり相関性が高いので、軸に設定すると有効なマッピングをしにくくなります。軸を決めたら、二次元上で自社のブランド・製品と競合他社を位置づけしていけば、ポジショニング・マップが出来上がります。

 適切なポジショニング・マップの作成は、ブランド・ポジショニングを可視化するだけでなく、効果的なマーケティング戦略の立案にも役立ちます。集計データなどをもとに、より良いブランディングが可能になるポジショニング・マップを作成しましょう。


 

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