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- グローバルコラム
シリーズ アジアを知る(8)香港 ~港湾都市から世界有数の金融センターに変貌した旧イギリス植民地~
2016 / 08 / 09
#コミュニケーション,#経済成長,#消費者行動,#消費市場,#SNS,#携帯 スマートフォン,#メディア
イントロダクション
香港は中国等南部に位置する中国(中華人民共和国)の特別行政区です。1842年、中国(清王朝)がイギリスに敗北し、香港島が割譲、1860年に九竜半島が割譲され、イギリスの植民地となりました。香港は珠江デルタや南シナ海といった、地理的な優位性もあり、国際貿易の中心地として発展。1997年にはイギリスから中国に返還。「一国二制度」という原則のもと、特別行政区となっています。現在も国際的な金融・貿易の中心地として重要な役割を担っています。
経済
イギリスの植民地となって以降、香港はアジアにおける自由貿易港として発展しました。他国から原材料を輸入し、保管や加工を行い他国に輸出する中継貿易が盛んに行われました。第二次世界大戦以降は、隣接する中国本土の豊富な労働力を背景に繊維や電機製品・時計産業などの製造業が発展しました。1970年以降は製造業の拠点は近隣の中国本土(広州や深セン)への移転が進んだことから、産業の軸足を製造業から金融や貿易、不動産、観光などのサービス業に転換し、現在に至っています。メディアとコミュニケーション
貿易経済発展局(CEDB)は域内情報通信基盤の整備を目指し、2007年に「2008年 デジタル21戦略」を発表しています。2014年に発表された「2014年 デジタル21戦略」では、公共Wi-Fiアクセスポイントのさらなる増加と無料で利用できる公共Wi-Fiサービスの拡充が図られています。スマートフォンの普及率も高く、若い世代を中心にモバイルインターネットが盛んに行われています。日本で人気のメッセンジャーアプリである「LINE」は香港でも人気が高く、シェア率は中国企業が開発したアプリ「WeChat」に次いで二番目に人気のアプリとなっています。
また、中国本土で実施されているネット検閲は香港では適用されないため、TwitterやFacebook、YouTubeなど、世界的に利用されている代表的なサービスも他国と同じように利用可能となっています。 香港での民放地上波テレビ局は長らくTVB(電視廣播)とATV(亜洲電視)の2局体制でしたが、ATVは経営不振によって2016年3月に放送を終了しました。
新聞メディアは近年インターネットへの移行が進んでいます。大衆紙 蘋果日報(アップルデイリー)は香港においてFacebookで最もフォローの多いページとなっています。
消費者動向
面積が小さく、店舗数も多い都市型の街である香港では、今までインターネットを使ったオンラインショッピングよりも実店舗でのショッピングの方がより重視されてきました。しかし、調査会社Nielsenが発表した最新のeコマースについての調査では、過去一年間でオンラインショッピングを行った消費者は88%にのぼり、そのうち、25歳~29歳の若い世代では、96%あまりがオンラインショッピングを行っており、オンラインショッピングは香港の人々にとって非常に一般的なものとなってきています。
また、香港のインターネット放送局HKTV(香港電視網絡)は、香港域内外の百貨店やスーパーマーケットと提携して、電子商取引モール「HKTV Mall」を開始するなど、今後もオンラインショッピングの拡大が期待できます。
出典:
・ http://www.itu.int/en/ITU-D/Statistics/Pages/stat/default.aspx
・ http://www.jnto.go.jp/jpn/inbound_market/index.html
・ http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hongkong/data.html
・ http://www.jamco.or.jp/jp/symposium/24/7/
・ http://www.soumu.go.jp/g-ict/country/hong-kong/detail.html
・ http://www.nielsen.com/hk/en/insights/news/2016/things-you-must-know-about-hong-kong-online-shoppers.html
・ http://www.toyo-sec.co.jp/china/column/letter/150331_7428.html
・ http://www.censtatd.gov.hk/hkstat/sub/sp250.jsp?tableID=036&ID=0&productType=8
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