中小企業こそ重要といわれる「ブランディング」 | リサーチ・市場調査・マーケティング

マーケティングコラム
2017/3/16

中小企業こそ重要といわれる「ブランディング」

中小企業こそ重要といわれる「ブランディング」

ブランディングを正しく理解する

 「ブランディング?ブランドを作ること?大きい企業のものだから、我々のような中小企業には関係のない話だよね」などと、考えている中小企業の経営者は多いようです。しかし、その認識は大きな間違い。現代の社会状況はすでに、「ドッグイヤー」とまで呼ばれるほど変化のスピードが速く、ネット社会化しています。中小企業こそブランディングを重要視すべきなのです。

 なぜ、ブランディングを中小企業は重要視すべきなのでしょうか。そもそもブランディングとは、自社の商品・サービスまたは自社の存在そのものについて、消費者が一定のイメージを持ち、市場での価値を高めるためのマーケティング戦略のことです。自社の商品・サービスに対する良いイメージが市場に浸透し、多くの人にそのイメージによって自社の商品・サービスを想起してもらえるようになれば、その商品・サービスは「ブランド」になります。

 ブランドの持つ力は、いわゆる「ブランド品」のような高級品だけに限りません。地元の人を相手にした小さなレストランも、近所の商店街で販売される食品も、戦略次第で「ブランド」になり、「ブランド力(りょく)」を持つようになります。ブランド力がある商品・サービスは、多くの人に支持されていることの表れであると見なされ、信頼性の向上にもつながります。

 ブランディングには、会社の規模や資本金の多少、CMの多さなどは関係ありません。ブランディングが中小企業ほど重要かつ必須項目である理由はそこにあります。広告宣伝費用にあまり経費をかけられず、大規模な商品開発能力もそう持てない中小企業がブランディングに成功すれば、大企業に比肩するブランド力を持つことも不可能ではないのです。

 

中小企業こそ大切なブランディングのメリット

 ただし、大手企業のようなブランディングを、中小企業が手掛けても、効果はあまり見込めません。中小企業には中小企業ならではのブランディングが必要であり、規模に合わせたブランディングにこそメリットを見出すことができます。大手企業と中小企業のブランディングの違いは、対象と規模の違いです。多くの大手企業が採る基本的な戦略は、老若男女、年齢も興味の対象も入り混じる一般大衆をターゲットにします。そして、製品の差別化を図る余地が少ない商品・サービスを、多額の費用をかけて「マス広告(TVCMや新聞広告など)」を利用し、広範囲かつ大量に露出させることが多いです。ここでは、薄利多売に向く、いわば「質より量」の商品・サービスが適しています。

 一方で、広告宣伝費にそう多くの額をかけられない中小企業は、業界によっては上位にいる大手企業の力が強大であるがゆえに、同等の企業と競い合っていかなければならず、「質より量」のような戦略は採れません。中小企業のブランディングに必要なものは、マス広告でも「量」でもありません。商品・サービスの「質」が問われます。商品・サービスが他社とは違う点を洗い出して、販売先や用途、販売方法などを分析・細分化し、それぞれに付加価値を付けることで他社との差別化を図ります。いわば「勝ちやすい場を自分で作り出して勝つ」こと、これが中小企業ならではのブランディング手法です。

 この手法は、マス広告も「量」も必要としないので、コストを抑えられます。また、デフレなどで市場が縮小する現代において、自分たちで市場を作り出して付加価値を付けることは、新規需要の開拓という面でも効果があります。企業規模に合わせたブランディングには、コスト面でのメリットも、将来性を広げるというメリットもあるのです。

 

商品で差別化できないときは「人」で差別化

 中には、大手企業の商品・サービスとあまり変わらない仕様であるために、どうしても商品で差別化が図れない、ということもあるでしょう。そんなときは、社内の「人」で差別化を図る手もあります。例えば、取引先に営業担当者が行ったとして、覇気があって元気よく返事をし、聞かれたことにハキハキ・スラスラと答える人と、おどおどとして覇気がなく、商品について聞いても要領を得ない回答ばかりする人とでは、どちらから商品を買いたいと思うでしょうか。「人」で差別化し、ブランディングを図ることは、すなわち社内の人材をパワーアップさせることです。人材育成によって「人材」を「人財」に変え、ターゲットになる層との信頼関係を構築しましょう。商品・サービス個別のブランド力よりも、企業全体の信頼性を上げ、企業全体をブランド化して価値向上を図るのです。

 社員は企業の顔です。取引先と顔を合わせる機会の多い外勤社員ならなおさらです。社員の立ち居振る舞いは、企業本体のブランド力を社外に伝えるための最も有効なメディアです。取引先から信頼され、多くの人から良いイメージを持たれる社員の育成、つまり人材ブランディングにより、企業の価値向上と市場での差別化につなげることが可能になるのです。

 

ポイントは経営者のビジョン

 「人財」の育成に欠かせない、重要な要素として挙げられるものがあります。それは、会社経営における「ビジョン」です。
 

 ビジョンとは、会社の経営者が思い描く、会社の近未来像であり、「(会社が)なりたい姿」「目標」「やりたいこと」と言い換えられます。経営者ひとりのものにせず、会社全体で共有することで、社内が一丸となって動く体制が作られ、会社が苦境に陥ったときなどに効果を発揮するでしょう。会社として目指す道、これから歩む道筋を社内に示すビジョンは、社内全員での共有と浸透が何よりも重要です。会社の運営形態にもよりますが、ビジョンはおおむね上に立つ人、中小企業では主に経営者が作るものです。社内の人財をチームとすれば、このチームを山の頂まで率いていく存在が経営者です。経営者が道を誤れば、全員が遭難してしまいます。

 また、道筋が合っていても、山の高さや経路、時間などが分からなければ、社員は動きにくさを感じてしまい、山頂に行くのを躊躇ってしまいます。ビジョンは、会社の市場における価値を世間に認識させる「ブランディング」の大前提にもなります。会社がどこへ行くことを目指しているのか、そこへ行くまでにどのような道筋を辿ろうとしているのか、今いちど振り返ってみることをオススメします。


 

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