マーケティングコラム

シニアとは何歳から?シニアの定義や種類、特徴を詳しく解説

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シニア市場向けの商品を検討する際、「シニアは何歳からか」という疑問をもたれる方もいるでしょう。現代では70代でも現役で働く方が多く、その定義は一律ではありません。そのため、年齢基準ではなく、ライフスタイルや価値観を基準にした戦略も重要です。そこで今回は、シニアマーケティングにおけるシニアの分類や特徴を解説します。

 

シニアとは何歳から?

健康志向の高まりや寿命の延伸などにより、年齢の捉え方は多様化しています。株式会社クロス・マーケティングの調査によると、シニアの年齢イメージは平均で62.7歳でした。そのほかの表現の違いによる、各年齢層が感じる年齢のイメージは下記の通りです。

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上記のグラフから、年代が上がるにつれて、全体的に年齢のイメージも緩やかに上昇する傾向があります。一方「おじさん」や「おばさん」という名称は、50代までは比較的安定した年齢のイメージですが、60代以降で上昇しています。

出典:株式会社クロス・マーケティング
健康に関する実態・意識調査(2024年11月定点ココロスタイルリサーチ)

シニア・高齢者の定義とは

シニアの定義は、時代や場所によって異なるため、厳密には定まっていません。ここでは、世界や日本での高齢者の定義を紹介します。

まず、WHO(世界保健機関)による高齢者の定義は、下記の通りです。
・高齢者:65歳以上

一方で、日本では行政上の目的によって、下記のようにその定義が変わります。

・道路交通法
70歳以上を高齢者とし、高齢者講習や高齢運転者標識の表示を義務づけている

・高齢者の医療の確保に関する法律(旧老人保健法:昭和57年法律第80号)
65歳以上を高齢者とし、さらに65~74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と区分している

また、日本老年学会や日本老齢医学による定義も下記のように異なります。なお、老人福祉法による対象者は、65歳以上を示します。

・准高齢者 :65~74歳
・高齢者  :75~89歳
・超高齢者 :90歳以上

このように、高齢者の定義は多岐にわたり、一律ではありません。社会の変化や医療の進歩などにより、高齢者の捉え方も今後変化していく可能性があります。

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シニア・高齢者の定義はどのように変わってきたか

シニアや高齢者の年齢の定義は、時代とともに変化しています。1940年代後半に日本で定年制度が導入された当初は、定年年齢は55歳が一般的でした。1998年以降になると、労働基準法の改正により、60歳未満の定年制が原則として違法・無効となり、60歳が定年として定着するようになったのです。

さらに、2006年の高年齢者雇用安定法の改正により、65歳までの定年延長や継続雇用制度を導入する企業も増えました。こうした状況の中、2017年1月には、日本老年学会と日本老年医学会は、高齢者の定義を見直す必要がある(「高齢者」の定義を75 歳以上に引き上げるべき)と提唱しました。

WHO(世界保健機関)は65歳以上を高齢者と定義していますが、日本では前期高齢者(65~74歳)と後期高齢者(75歳以上)に区分する法律もあります。しかし、医学の進歩にともない、現代の75歳は昔の65歳に相当するほど若返っているという見方もあります。

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シニアの種類と特徴

シニア層は、対象者の状態に合わせて、下記の4つに分類されます。

・アクティブシニア
・ディフェンシブシニア
・ギャップシニア
・ケアシニア

ここでは、シニア市場を理解するために、シニア層の種類(属性)や特徴、マーケティングのポイントをみていきましょう。

アクティブシニア

アクティブシニアとは、60歳を超えてもなお、年齢にとらわれず、趣味や仕事に意欲的で、健康意識も高く、活動的なライフスタイルを送る方々のことです。

【アクティブシニアの特徴】
・お金と時間に余裕がある
・健康志向の方が多い
・意欲的に行動する

アクティブシニアの中には、子どもの自立や定年退職などにより、自分のために使う時間が増えたことで、積極的に社会とのつながりを持とうとする方もいます。

また、情報収集は、テレビや新聞の折り込み広告の、従来型のメディアが中心ですが、スマートフォンを所有している方も多く、インターネットも活用しています。行動範囲が広いため、口コミも重要な情報源となるでしょう。

経済的にも安定している傾向があり、消費活動は旅行やレジャー、趣味、高品質な商品やサービス、健康に関するものなど、多岐にわたります。

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 ディフェンシブシニア

ディフェンシブシニアとは、活動意欲はあるものの、消費に対して慎重な姿勢をもつシニアの方々のことを指します。

【ディフェンシブシニアの特徴】
・健康であり時間にも余裕がある
・主な収入源が年金の場合が多い
・大きな出費は極力控える傾向がある

定年退職後の年金収入で生活する方が多く、消費は主に生活必需品や暮らしに関するものがメインです。4つのシニア層の中で、人口規模が最も大きい層だといわれています。スマートフォンを活用するシニアが増える一方で、ディフェンシブシニアの方の中には苦手意識を持つ方もいるようです。

また、ディフェンシブシニアは、将来への不安や経済的な理由から、さまざまな不安や不満を抱えています。これらに配慮した商品やサービスを提供することで、悩みに寄り添うことができ、より豊かな生活をサポートできるでしょう。

ギャップシニア

ギャップシニアとは、年齢を重ねることで「やりたいこと」と「できること」の間にギャップが生じ、我慢や諦めを強いられることが増えているシニアの方々のことです。体力や健康状態が若いころとは変化し、以前のように活動できなくなっているため、仕事や趣味に対してディフェンシブシニアよりもさらに消極的な方が多い傾向があります。

【ギャップシニアの特徴】
・現時点で介護の必要はないが、身体に老化現象にともなう不調がみられる(腰痛、関節痛など)
・無職のため、年金が収入源である
・75~84歳が多い

ギャップシニアは、健康面で不安があり、病院に通院している方が多い特徴があります。また、消費活動は食品や衛生用品などの生活必需品がメインです。

この層の情報収集源は、オールドメディア(テレビやラジオ、雑誌など)や新聞折り込みチラシ、ポスティング広告などです。ディフェンシブシニアの次に多い層であり、情報を提供することで消費行動につながる可能性があるため、アナログ媒体を積極的に活用すると良いでしょう。

ケアシニア

ケアシニアとは、ひとりで日常生活を送ることが困難な状況で、家族やヘルパーなどの介護や医療を必要とする、要支援または要介護状態のシニアの方々のことです。

【ケアシニアの特徴】
・製品やサービスを活用するが、購入や利用を最終的に決定する方が異なる場合が多い
・収入は年金のみ
・行政や制度の影響を受けやすい

ケアシニアは、日常生活において支援が必要となるため、自ら積極的に消費活動を行うことは多くありません。身の回りに必要なものなど、生活を維持するための消費が中心です。

マーケティング戦略において、ケアシニア層をターゲットとする場合、最終決裁者となる世代に響くよう、テレビCMやインターネット広告をメインに展開するのが効果的です。生活が楽になるもの、家でも楽しめるものなど、日常生活の質を向上させる製品やサービスに需要があります。

まとめ

「シニア」という言葉の定義は、時代や場所などにより変化するため、厳密に定めることは難しいのが現状です。一般的には、高齢者を指す言葉として用いられますが、年齢範囲やニュアンスはさまざまです。

また、シニア層の中でも、年齢だけでなく、健康状態や経済状況、価値観、ライフスタイルによってさまざまなニーズが存在します。シニアを対象とするビジネスやサービスを展開する場合は、年齢にとらわれず、個々のニーズやライフスタイルを考慮することが大切です。

シニア向けのマーケティング施策が気になる方は、こちらの記事をご覧ください。
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