2年間にわたるCRM伴走支援で実現した、データに基づく顧客ドリブンな組織への成長

弊社 外部パートナー 内野、データマーケティング部 データマーケティンググループ 峯俊、株式会社らしんばん マーケティング部 IT推進課 マーケティングチーム 森下 碧様、マーケティング部 IT推進課 データオペレーションチーム 竹内 遥平様、弊社 データマーケティング部 データマーケティンググループ 村岡
中古アニメショップ「らしんばん」を国内外に広く展開している株式会社らしんばん様。
2019年に設立された同社のマーケティング部は、当社の「ジャーニーデータ分析」を活用し、2年間のCRM伴走支援を通じて、組織的な成長を実現しました。
今回はその変革の過程と成果について、マーケティング部・IT推進課・マーケティングチームの森下様と、マーケティング部・IT推進課・データオペレーションチームの竹内様にお話をうかがいました。
ご相談企業様のご紹介

- 株式会社らしんばんは、中古アニメショップ「らしんばん」を運営し、アニメファンやコレクターを中心に支持を集める企業です。同社は「買取」と「販売」を基本サイクルとし、リユースを通じた持続可能な消費文化の促進に貢献してきました。近年はK-POPストアの新規オープンなど取扱商品のカテゴリ拡大も進めています。

マーケティングチーム

データオペレーションチーム
プロジェクト概要
団体(組織)名
株式会社らしんばん 様
課題
・マーケティング部が受動的な役割に留まっていた・情報が複数チャネルで個別に管理され、統合的な顧客理解ができていなかった
取り組み
・ジャーニーデータ分析独自メソッド「星取表」と「個票分析」による顧客データ分析とセグメント設計・自走化に向け、テストマーケティングの伴走による施策運用サイクルを構築
効果
・マーケティング部門の役割が明確化され、自律的に活動できるようになった・データに基づく意思決定文化が社内に醸成され、他部署からの分析依頼が増加した
・顧客理解の深化によって、効果的な施策の立案ができるようになった
Interview
点在する情報と経験の不足が、顧客理解を困難にしていた
――らしんばん様が直面していた課題について教えてください。
森下 碧様(以下、森下様) クロス・マーケティングとの取り組みを始める前は、社内にCRMという概念自体がほとんどなく、顧客のLTV(顧客生涯価値)を把握して活用するという発想もありませんでした。最も大きな課題は、店舗やイベント、ECサイトなど、それぞれの部署で顧客情報がバラバラに管理されており、「らしんばんのお客様」として統合的に捉える視点が欠けていたことです。そのため、アプローチもメールマガジンの一斉配信しかできていない状況でした。
竹内 遥平様(以下、竹内様) 弊社のマーケティング部は2019年ごろに設立されたのですが、当初はマーケティングの経験がある人材が少なく、店舗からの依頼に応じて施策を実行するという受動的な役割に留まっていました。データを活用して戦略的にマーケティングを展開するという段階には至っていなかったのが実情です。また、多くの商品を扱う中で、どの商品がどのような顧客に支持されているのかというデータを活用できていませんでした。
「星取表」と「個票分析」を駆使し、顧客の解像度を段階的に高めていった
――データ分析は、どのようなプロセスで進められたのでしょうか?
竹内様 自社で店舗のデータを見ることから始めました。その後、ECサイトのデータが紐づくようになり、さらにはポイントカードとの連携も開始され、データの種類と量が徐々に広がっていったのです。この過程で、より専門的なデータ分析の知見が必要となり、クロス・マーケティングとの本格的な取り組みが始まりました。
森下様 取り組みが始まった当初は、主にデータの見方や分析手法を学ぶフェーズでしたね。クロス・マーケティングには、まず弊社のデータからどのような層がLTVの高い顧客なのかを分析していただきました。その後、顧客セグメントごとにどのようなメッセージを送れば効果的かというテストマーケティングの設計と実施へと進み、その反応を基にセグメントの切り方を見直したり、次の施策を検討したりするというサイクルを確立していきました。
――取り組みを進めていく中で、印象に残っているエピソードや学びはありますか?
森下様 私自身、データを見て何かを考えるという経験があまりなかったので、最初は分析結果に対して「なぜこうなっているのだろう」と疑問を持っても、それを言語化できないことが多くありました。そんな時にクロス・マーケティングは、データ分析の知識だけでなく、豊富な経験に基づいた視点で説明や提案をしてくれました。
特に印象的だったのは、弊社のお客様は趣味に基づいて利用されている方が多く、最後の購入から期間が空いていてもメールの開封率が高いという特性を発見できたことです。こうした気づきは、私たちだけでは得られなかったもので、顧客とのコミュニケーション戦略を考える上で非常に重要な知見となりました。
竹内様 クロス・マーケティング独自の「星取表」や「個票分析」を通じて、マクロな視点での顧客セグメンテーションとミクロな視点での個人行動分析を繰り返し行うことで、顧客の解像度を高める手法を学びました。例えば、あるお客様が何日にどのような商品を購入したかという時系列データを詳細に分析することで、購買パターンや嗜好が見えてくるのです。このような分析プロセスは非常に勉強になり、現在ではこの知見を活かして社内の様々な部署からのデータ分析依頼に対応できるようになりました。
「ジャーニーデータ分析」がもたらした確かな成果と意識改革
――2年間の取り組みを通じて、どのような成果が得られましたか?
竹内様 具体的な成果としては、顧客のリピート率向上が挙げられます。弊社はこれまで、一回だけの購入で終わってしまう顧客が多いという傾向があったため、データを基に初回購入者をいかに二回目の購入に導くかという施策を重点的に展開しました。その結果、継続的な利用を促進することができています。
また、数値的な成果だけでなく、顧客に対する視点の変化も大きな成果だと感じています。例を挙げると、年末に新店舗の情報をメールで配信したところ、既存顧客から「メールで初めて知った」という反応が多数あり、SNSなどでは見逃していた情報が届いたことを喜ぶ声が聞かれました。これまで新規顧客の開拓に重点を置きがちでしたが、既存顧客へのコミュニケーションの重要性に気づき、その後の施策に活かせています。
加えて、データを基にした会話が社内で増え、特に店舗事業部からのデータ分析依頼が増加するなど、データドリブンな意思決定が浸透しつつあります。
――クロス・マーケティングのアプローチや取り組みの進め方について、評価している点を教えてください。
森下様 データ分析のプロフェッショナルとしてだけでなく、一般消費者の視点、そして業界全体を俯瞰する視点を持って助言してくれたことがありがたかったです。様々な知見を共有いただいたことで、弊社の強みと弱みを客観的に理解することができたと感じています。また、プロジェクトの進行管理も非常に丁寧で、定例会の前には必ず社内で準備すべき事項を明確にし、次回までの課題を設定してくださったので、着実に前進することができました。
竹内様 クロス・マーケティングの峯俊さんが、1ユーザーとしてのリアルな意見を聞かせてくださったのは非常に貴重でした。通常であれば顧客インタビューを実施しないと得られないような生の声を、日常的な会話の中で伺うことができたのです。また、データ分析においても新たな切り口を提案いただき、弊社だけでは気づかなかった視点を得られたことに大変感謝しています。
――今後の展望について教えてください。
森下様 今回の取り組みを通じて、LTVの高い顧客層の特性が明確になりましたので、今後はそこに既存顧客をどうやって引き上げていくかという施策を継続しつつ、新規会員の獲得も並行して進めていきます。特に重要なのは、お客様全体の構造をマーケティングチーム全体で把握し、最適なアプローチを設計することです。また、これまで学んだデータの見方や考え方を社内に広く展開し、データドリブンな文化をより浸透させていきたいと考えています。
竹内様 私自身は今後、より深くデータを扱う部署へ異動することになりました。これはデータ分析の取り組みを評価いただいた結果だといえるでしょう。今後はすべてがデータで捉えられる領域となるので、これまでの知見をさらに発展させていくつもりです。クロス・マーケティングとの2年間の取り組みで得た知識とスキルは、今後も様々な形で活かしていきたいと考えています。
データマーケティング部 データマーケティンググループ 峯俊
らしんばん様の1ユーザーとしての観点からも実感していたのが、中古かつアニメという商材を扱われているからこそのユーザー像の多さです。そういったユーザー像をデータから定義・整理し、効果的なCRM施策へと落とし込む過程について、できる限りらしんばん様にも自分事として実感いただけるようなプロジェクト進行を心掛けました。
データマーケティング部 データマーケティンググループ 村岡
弊社のジャーニーデータ分析は、分析結果を一方的に報告するのではなく、お客様にもデータを一緒に見てもらい、解釈してもらうことが特徴のひとつです。森下様・竹内様が、身に付けたデータの活用の仕方を組織内で展開させていくという展望があることに、大変嬉しく思っております。