Tableauの活用で報告書作成の工数を半減!調査結果のアウトプット作成ツールの構築支援
キリングループの持株会社として、グループ各社の経営戦略を統括するキリンホールディングス株式会社様。同社は安全最優先の組織風土の浸透と労働災害の撲滅を目指し、生産・物流現場の従業員を対象として、安全意識に関する調査を実施しています。しかし、この重要な調査における結果の集計と報告書の作成は、これまでExcelによる手作業で行われており、膨大な工数と属人化が大きな課題となっていました。今回はTableauを活用して、作業工数の大幅な削減と脱属人化を実現したプロジェクトについて、人財戦略部で安全チームを担当する篠崎様にお話を伺いました。
ご相談企業様のご紹介
キリンホールディングス株式会社は、1907年に創業したキリングループの持株会社です。ビール事業から始まり、飲料など食領域、医領域、ヘルスサイエンス領域へと事業領域を拡大してきました。現在はお客様のさまざまなステージにおいて、クオリティ・オブ・ライフの向上に貢献する商品・サービスを提供し、社会課題の解決に取り組んでいます。
企画・組織開発担当 安全チーム
キリングループ各社の労働安全衛生活動の統括・支援を担当。安全意識に関する調査の企画・実施から結果分析・フィードバックまで幅広く取り組んでいる。
プロジェクト概要
課題
・Excelスキルに依存した作業体制で、作業フローが属人的になっていた・スキルの高い担当者の退職により、業務遂行が困難な状況に直面した
取り組み
・ExcelからBIツール(Tableau)への全面的な移行・専門知識を問わない操作性を重視したユーザーインターフェースの設計
効果
・Excelスキルに依存しない作業体制への転換により、脱属人化を実現
・報告書の作成にかかっていた時間が、従来の半分以下に短縮
・作業時間の短縮により、調査結果の分析・活用に集中できる時間の創出
Interview
膨大な工数を要する集計作業が、迅速なフィードバックの障壁となっていた
――篠崎様の担当している業務について教えてください。
篠崎 公利様(以下、篠崎様) 私は現在、キリンホールディングスの人財戦略部に所属し、その中で労働安全を担当しています。グループ各社の労働安全衛生活動のレベル向上に向けた統括や支援を行い、安全最優先の組織風土を浸透させ、労働災害の撲滅を目指すのが安全チームの役割です。
安全意識に関する調査は、グループ各社の労働安全衛生活動のレベル向上に向けた支援の一環として、年に1回実施している重要な取り組みです。全国安全週間の準備期間である6月に実施しており、すでに5年ほど継続して取り組んでいます。2025年は約9,200名の方々にご協力いただき、従業員一人ひとりが安全について考える機会を持っていただきました。この調査が、各事業場での安全活動の改善を促し、労働災害を低減するきっかけになればという思いで実施しています。
――そうした調査を行う中で、どのような課題を抱えていたのでしょうか?
篠崎様 調査は早期のフィードバックが肝心で、結果を迅速に各事業場に展開することで安全活動の改善に繋げられます。しかし、当時はExcelで報告書の作成を行っており、グラフや表の作成に膨大な時間を費やしていました。また、マクロ処理などの専門的なスキルが必要で、作業が属人的になってしまっていたことも課題でした。
そうした状況に、スキルを持った担当者の退職が重なり、これまでの集計作業フローを維持することが困難になってしまったのです。そこでアウトソーシングを検討することになりましたが、せっかくお願いするのであれば、Tableauを始めとしたBIツールの活用による抜本的な改善も同時に実現したいと考えていました。
Tableauへの移行で作業工数を半分以下に短縮し、脱属人化を実現
――クロス・マーケティングを選んだ経緯と、提案内容への印象について教えてください。
篠崎様 Webで検索した際に、クロス・マーケティングを見つけ、サービスページにあった「Tableau」というキーワードが目に留まりました。社内でDXの推進が進む中、Tableauは記憶に残りやすいネーミングで、以前から気になっていたのです。加えて、サービスページから受けた印象が非常に良かったこともきっかけとなり、前向きな気持ちで問い合わせしました。
クロス・マーケティングの提案で特に印象的だったのは、相談してから迅速にTableauでデモ画面を作成していただいたことです。これまでExcelで作っていた報告書を忠実に再現できることを具体的に示していただき、さらに改善点についても契約前からさまざまな提案をいただきました。また、専門性の高いエンジニアの方もいらっしゃったため、安心してお任せできると判断し、クロス・マーケティングに依頼しました。
――プロジェクト進行において、クロス・マーケティングに対してどのような印象を持ちましたか?
篠崎様 親身な対応がとても印象的でした。ベンダーとの協業では、最初は営業の方がいて、その後はエンジニアとのコミュニケーションに切り替わっていくケースが多いのですが、クロス・マーケティングの場合は営業の方も同席してくれました。こちらの要望や抱えている課題についてもしっかりと整理していただき、相談しやすい環境を作っていただけたことにとても感謝しています。エンジニアの方からも、真の課題である「生産性の向上」まで意識したご提案を多数いただきました。営業とエンジニアが一体となって、私たちの要望を実現してくれる進め方が非常に良かったと思います。
――Tableauの活用を推進した結果、どのような効果や変化を実感されていますか?
篠崎様 最も大きな効果は、作業効率が飛躍的に向上したことです。ExcelからTableauに切り替えたことによって作業が簡単になり、工数をこれまでの半分以下に短縮することができました。また、リアルタイムでデータを確認できる点もありがたいポイントです。Excelでは全ての集計が完了してからしか結果を確認できませんでしたが、Tableauでは調査の結果がおおよそどんな傾向にあったのかを確認しながら作業できるため、スムーズに質の高い報告書を作成できるようになりました。
時間的な余裕が生まれたことで、他の業務に時間が使えるようになった点も大きな成果です。今後はこの調査結果を活かし、来年度の調査改善や、グループ各社との質の高いコミュニケーションといったより戦略的な業務に、さらに時間を割いていきたいと考えています。
▼マウス操作だけで年代別や事業所別等の傾向を瞬時に表示できるダッシュボードを構築

Tableauによる生産性向上を足がかりに、データ活用の次なる展開
――今後の展望について教えてください。
篠崎様 今後の展望としては、今回のTableau導入で得られた生産性の向上を活かし、データ活用の幅を広げていきたいと考えています。
具体的には、この安全意識に関する調査の結果と、社内で管理している労働災害データベースを融合させ、掛け合わせた分析を行うことを目指しています。
意識傾向と労災状況の相関関係を明らかにできれば、データは単なる意識の可視化にとどまらず、安全活動の改善に役立つ分析ができるのではと考えています。
また、AIを活用したデータ分析も、社内のAIを推進する部署と相談しながら検討していきたいと思っています。
このようにTableauを軸としつつ、AIなどの技術も組み合わせながら、データ活用のレベルを上げていくことで、グループ全体の安全文化の浸透と労働災害撲滅というミッションに、より大きく貢献できると期待しています。
――データ活用の効率化を検討している企業の方々に向けて、アドバイスをお願いします。
篠崎様 データの活用でお悩みの方には、現状の課題を整理した上で、クロス・マーケティングに相談されることをおすすめしたいと思います。調査の企画段階からお願いすることもできれば、すでに実施済みの調査結果を活用したいといったニーズにも対応していただけます。弊社のように、まずはTableauなどのBIツールの活用から始めて、徐々にデータの活用範囲を広げていくというアプローチも有効だと思いますので、同様の課題をお持ちの方はぜひ一度相談してみてください。






