共働き世帯の割合とは?共働きを選ぶ理由や社会的背景も解説
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ひと昔前の日本は、夫が働いて妻は家を守るために専業主婦になるというのが一般的でしたが、女性の社会進出にともない、共働きを選択する家庭が増えています。現在、共働き世帯は全体のどのくらいの割合を占めるのでしょうか。今回は、共働き世帯の割合や、共働きを選択する理由、社会的背景などを紹介します。
共働き世帯の割合
厚生労働省の令和5年度版の厚生労働白書によると、共働き世帯の割合は、年々増加傾向にあります。共働き世帯は、1980年には614万世帯ありましたが、2022年にはそのおよそ2倍にあたる1,262万世帯が共働きです。夫婦がいる世帯のおよそ7割を占めています。
1980年時点では、共働き世帯よりも専業主婦がいる世帯のほうが圧倒的に多く、1,114万世帯ありました。その差は年々縮まり、1991年~1996年の間は2つの世帯が拮抗した状態でした。しかし、1997年には完全に共働き世帯の方が多くなり、専業主婦がいる世帯との差は年々広がっています。
出典:厚生労働省「令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会-」
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/backdata/02-01-01-03.html
共働きが選ばれる理由
なぜ夫婦は共働きを選ぶのでしょうか。ここでは、共働きが選ばれる3つの理由を紹介します。
家計を安定させるため
共働きを選ぶ理由として最も大きいのは、経済的に安定した生活を送りたいという点です。一人が働くよりも、二人で働いたほうが当然収入は増えます。収入が増えると、生活水準が向上し、豊かな生活ができます。
また、自動車や住宅購入、老後の資金、子どもの学費など、人生の大きな出費にあらかじめ備えておくことも可能です。貯蓄や投資も含め、人生設計もしやすくなるため、共働きが選ばれています。
さらに、病気やケガで一人が働けない状況になっても、もう一人の収入で生活を維持することが可能です。どちらかが働けなくなった場合のリスクヘッジにもなります。
社会との関わりを持つため
家庭以外の居場所が欲しい、社会との接点を持ちたいことも共働きの動機となっています。出産や育児で仕事を離れ、家庭にとどまることで社会とのつながりが希薄になることを懸念する女性も少なくありません。
育児に一定の区切りがつき、時間的な余裕が生まれると、出産前と同様に社会との多様な関わりを持ちながら働きたいという思いから、共働きを選ぶ女性が増えています。
現代では働き方の自由度が高まっているため、フルタイムやパートタイム、在宅勤務など、家庭環境に応じた柔軟な働き方が実現できます。また、育児休業制度の拡充により、出産後も継続的なキャリア形成が可能な環境が整っています。
自分の能力を活かすため
自分のスキルを活かした仕事をするため、共働きを選択する夫婦が増えています。専門的なスキルを磨き、着実にキャリアを構築してきた人材が、ライフイベントを理由に職場を去ることは、個人にとっても社会にとっても大きな損失といえるでしょう。また、育児と仕事を両立し、専門的なキャリアを継続する女性も年々増加傾向にあります。
共働き世帯が増えている社会的背景
共働き世帯はなぜ増え続けているのでしょうか。ここでは、共働き世帯が増えている社会的背景を紹介します。
不況による世帯年収の減少
現在の日本は、長く不況が続いています。不況が続いていることが原因で、生活を安定させるために共働き世帯が増加しているのです。
厚生労働省の「2023年国民生活基礎調査の概況」によると、1世帯当たりの平均所得金額は2022年時点で524.2万円です。1994年の664.2万円がピークであり、それ以降は減少に転じています。
収入が減少しても物価高や消費増税などが影響して支出は増え続ける中、共働きでようやく収入を確保しているのが現状です。今後も物価高騰はさらに加速すると見込まれるため、可処分所得の減少が続き、生活の安定のために共働きを選択する夫婦は増えるでしょう。
出典:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa23/dl/03.pdf
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450061&tstat=000001219189&cycle=7&tclass1=000001219191&tclass2val=0
労働に対する価値観の変化
かつての日本では、女性は結婚や出産をしたら退職して家庭に入るのが一般的でした。しかし、近年は育児休暇の制度も充実し、育児休暇を経て職場に復帰するのが当たり前という価値観が広まってきています。
結婚や出産を経ても、同じ職場でキャリアや能力を活かして働くことができるため、結婚や出産を機に退職する女性は減少しています。そのため、女性側も共働きを前提に結婚や出産に踏み切るのが一般的です。
また、性別による固定的な役割分担が見直されていることも、共働きの増加につながっています。昔は、育児や家事は女性の仕事と思われがちでしたが、最近では家事や育児を分担する夫婦も増えています。
労働に関する制度の拡充
労働に関わる法律や制度が拡充されていることも、共働きを選択する追い風になります。これまで政府は、夫婦が仕事と子育てを両立できるようにさまざまな施策を打ち出してきました。
不況と少子化の双方を改善するには、労働環境の改善や制度の拡充が必須です。そのため、政府は男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などを改正し、労働環境の見直しに着手してきました。
2015年には女性活躍推進法が成立し、働くことを望む女性がスキルを活かして自分らしく働くことができる社会の実現を企業に要請しています。そうした社会の流れを受けて、女性が男性と同様に社会の一員として働く環境が整ってきています。
共働き世帯の収入
2024年11月の総務省統計局の家計調査によると、勤労者世帯の収入は月平均514,409円でした。年収に換算するとおよそ617万円です。なお、内訳としては、世帯主収入が390,141円、配偶者の収入が92,905円、他の世帯員収入が11,535円でした。
前年同月比では0.7%増額していますが、物価高騰のあおりを受けて、今後の大幅な所得アップは期待できないと考えている方もいるかもしれません。
出典:総務省統計局「家計調査報-2024年(令和6年)11月分-」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=1&tclass1=000000330001&tclass2=000000330004&tclass3=000001034794&tclass4val=0
共働き世帯の働き方や家事・育児事情
共働き世帯はどのような働き方をしているのでしょうか。ここでは、共働き世帯の働き方や家事と育児の事業について解説します。
末子が未就学児の場合
末子が小学校に上がる前の家庭では、妻が時短勤務などを利用して育児に時間を割いている家庭が多くあります。未就学児は決まった時間での送迎が必須となるため、早めに退社して保育施設などへ迎えに行く必要がある家庭が多く見受けられます。
夫においても、妻よりは少ない時間ながら家事・育児に携わり、協力して生活を営む様子がわかります。なお、パートタイムで働いている妻は、フルタイムで働く妻よりも家事にかける時間が多く、その分夫が家事にかける時間は少なくなります。
出典:内閣府「令和元年度 家事等と仕事のバランスに関する調査 報告書」
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/balance_research_202003/07.pdf
末子が小学生の場合
末子が小学校に上がると、多くの場合、登下校を自分でできるようになるため、子育ての負担が軽減されます。子どもの帰宅時間は就学前より遅くなるものの、学童保育などの制度を利用することで子どもを預けてもらうことが可能です。
また、フルタイムで働く妻は勤務時間を延ばせるようになり、育児にかける時間は減少する一方、家事に充てる時間は増える傾向にあります。そのため、家電やミールキットなどを活用して家事を効率化する家庭もあります。
まとめ
末子が小学校に上がると、多くの場合、登下校を自分でできるようになるため、子育ての負担が軽減されます。子どもの帰宅時間は就学前より遅くなるものの、学童保育などの制度を利用することで子どもを預けてもらうことが可能です。
また、フルタイムで働く妻は勤務時間を延ばせるようになり、育児にかける時間は減少する一方、家事に充てる時間は増える傾向にあります。そのため、家電やミールキットなどを活用して家事を効率化する家庭もあります。
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