マーケティングコラム

大卒の平均初任給は?学歴による違いや過去5年の金額の推移も紹介

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近年、大卒者の初任給は、徐々に上昇しています。若年層をターゲットにしたマーケティング戦略を立てる上で、こうした収入データの把握は欠かせません。今回は、大卒の平均初任給やその推移、学歴による違いをわかりやすく解説します。

 

大卒の平均初任給と推移

若年層の経済状況を把握する上で、大卒初任給の水準は欠かせない指標です。企業の採用活動や経済情勢の影響を受けやすい初任給は、近年どのように変化しているのでしょうか。まずは、東京都内のハローワークが行った調査や、民間の賃金調査を参考に、最新の初任給水準とその推移をみていきます。

大卒の平均初任給

東京労働局職種安定部が実施した調査によると、2024年の大学卒業者の平均初任給は21万6,500円です。これは、前年に比べて約2.4%の増加(※)であり、物価の上昇や人材確保への対応が背景にあると考えられます。大卒者の初任給が上昇傾向にあることは、若年層の購買力にも影響を及ぼす要素として注目すべきポイントでしょう。

※2024年の前年比は、2022年4月14日の厚生労働省職業分類改訂に伴い、改めてデータを取得した2023年の数値との比較によるもの

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大卒の平均初任給の推移

東京労働局職種安定部の調査によると、大学卒の初任給は2020年から2022年までの3年間は21万円で推移していましたが、直近の2年間は上昇傾向がみられます。下記は、2015年から2024年にかけての初任給の推移を学歴別にまとめたものです。

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特に大学卒については、2023年から金額が上がり始め、2024年には一段と増加しました。その他の学歴においても、過去5年間で毎年少しずつ初任給が引き上げられています。

また、産労総合研究所の調査によれば、企業が初任給を引き上げた理由として「人材を確保するため」が73.5%ともっとも多く、「在籍者のベースアップがあったため」(43.4%)や「初任給の据置きが長く続いていたため」(7.5%)などの要因も影響しています。

出典:
東京労働局職種安定部「学卒者の初任賃金」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/001864159.pdf

産労総合研究所「2024年度 決定初任給調査」
https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/chinginseido/shoninkyu/pr2407.html

学歴による平均初任給の比較

初任給は、学歴によって差があり、大学卒がもっとも高い水準になっています。下記に、2024年時点の平均初任給を学歴別にまとめました。

学歴 平均初任給(2024年)
大学卒 216,500円
短大卒 202,400円
専修卒 201,000円
高校卒 189,200円

学歴

大学卒

平均初任給(2024年)

216,500円

学歴

短大卒

平均初任給(2024年)

202,400円

学歴

専修卒

平均初任給(2024年)

201,000円

学歴

高校卒

平均初任給(2024年)

189,200円

この表からもわかる通り、大学卒の初任給は他の学歴に比べて2万円以上高く設定されており、企業が求めるスキルや期待値の違いが反映されていると考えられます。

また、同じ学歴であっても、企業規模や業種・職種によって初任給には差が生じる傾向があります。ここからは、学歴による平均年収の違いを企業規模別、産業・職種別に紹介します。

出典:東京労働局職種安定部「学卒者の初任賃金」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/001864159.pdf

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【企業規模別】学歴による平均初任給の違い

同じ学歴であっても、勤務する企業の規模によって初任給には違いがみられます。2024年の東京労働局による調査では、大学・短大・専修・高校卒のそれぞれについて、企業規模別の平均初任給が公表されています。下記は、その金額をまとめたものです。

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大学卒では企業規模が大きいほど、初任給が高くなる傾向がみられます。特に1,000人以上の企業では223,000円と、29人以下の企業と比べて8,000円の差がみられました。また、短大・専修卒も中小企業と大企業で数千円の開きがある一方で、高校卒では比較的水準が安定しており、規模による差が小さいのが特徴です。

出典:東京労働局職種安定部「学卒者の初任賃金」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/001864159.pdf

【産業・職種別】学歴による平均初任給の違い

学歴別の初任給は、企業規模だけでなく、業種や職種によっても差が生まれます。2024年の東京労働局による調査では、大学・短大・専修・高校卒それぞれの学歴において、産業・職種ごとの初任給が公表されています。下記の表に、業種別の平均初任給をまとめました。

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建設業や金融・保険業、教育関連などでは、大学卒の初任給が高い傾向です。特に建設業では227,500円と、他業種よりも高い水準といえます。一方で、宿泊・飲食業や医療・福祉分野では、比較的初任給が控えめです。

また、短大卒や専修卒でも業種によって2万円以上の差が出るケースがあり、業界ごとの処遇方針が初任給に大きく反映されていることがわかります。

出典:東京労働局職種安定部「学卒者の初任賃金」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/001864159.pdf

大卒の初任給引上げから考えるマーケティング戦略

大卒の初任給が上昇傾向にある今、若者の自由に使えるお金にも変化が生まれつつあります。このような動きを捉え、若年層の消費意欲や価値観に合わせたマーケティング施策を検討することが、今後の戦略立案において重要です。

「少し良いものを買いたい」ニーズへの対応

2024年に大和総研が発表した調査によると、若年層の収入には、わずかながら上昇傾向がみられました。初任給の引き上げが進めば、趣味や外食、旅行など「少し贅沢な消費」への意欲も高まると考えられます。

しかし、実際に初任給の上昇が顕著なのは、主に大手企業に限られるという現状もあります。さらに、同調査では所得が増加しているにもかかわらず、貯蓄にまわす若者も多く、個人消費は全体として停滞していることが明らかになっています。

こうした背景を踏まえると、単に高品質な商品を提供するだけでは不十分です。「価格に見合った価値」をわかりやすく伝えたり、自分へのちょっとしたご褒美として購入しやすい工夫を施したりすることが、消費行動を後押しするポイントになるでしょう。

出典:大和総研「年齢別に見る消費停滞の背景と回復の鍵」
https://www.dir.co.jp/report/research/economics/japan/20240813_024550.pdf

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若年層の消費行動の特徴を理解する

消費者庁の調査によると、若年層は「食」に対して積極的にお金を使う傾向があるようです。さらに、参加型のイベントやファッション、有名人・キャラクターを応援する「推し活」などにも支出を惜しまない層が目立ち、「モノ」ではなく「コト」に価値を見出す「トキ消費」が広がっています。

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また、商品やサービスを選ぶ際には、「SNSでの口コミ・評価」や「知人・友人からの情報」、「公式サイトの情報」を重視する傾向が強く、従来の「新聞・雑誌広告」などの影響力は他の世代よりも小さいのが特徴です。

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検討時に重視されるポイントとしては、「品質や性能の良さ」「価格の手頃さ」「デザイン性」などがあげられます。一方で、「環境問題や社会課題への貢献」といった要素は一部の関心層を除き、選択基準としてはさほど優先されていないという結果も出ています。

このような消費行動の特徴を踏まえ、若年層に響くメッセージ設計や販売戦略を構築することが、マーケティングにおいて重要です。

出典:
消費者庁「令和4年版消費者白書」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/assets/2022_whitepaper_0003.pdf

消費者庁「令和3年度実施消費者意識基本調査」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/research_report/survey_002

まとめ

大卒の初任給は近年上昇傾向にあり、学歴や企業規模、業種によっても差がみられます。若年層の収入増加は、消費行動にも少なからず影響を与えており、マーケティング戦略を立てる上では、収入面の変化や価値観の特徴を的確に捉え、ニーズに合ったアプローチが求められるでしょう。

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