マーケティングコラム

就職氷河期世代の年齢とは?世代の特徴や背景、現状を解説

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バブル崩壊後の不況に直面しながら社会に出た「就職氷河期世代」。厳しい雇用環境により正社員になれず、現在もキャリアや生活に課題を抱える方が少なくありません。今回は、マーケティングに役立つ視点から、就職氷河期世代の年齢や背景、特徴、そして現状についてわかりやすく解説します。

 

就職氷河期世代の年齢

「就職氷河期世代」とは、バブル崩壊後の1990年代から2000年代にかけて就職活動を行った世代です。

1970年から1984年ごろに生まれた方たちが該当し、2025年時点での年齢は41歳~55歳です。就職市場が非常に厳しかった時期に社会へ出たので、キャリアや働き方にさまざまな影響を受けた世代として注目されています。

出典:厚生労働省「就職氷河期世代の方々への支援について」
https://www.mhlw.go.jp/shushoku_hyogaki_shien/about/

関連記事:「あの世代の呼び方は何?各世代へのマーケティング方法もご紹介

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就職氷河期の社会的な動き

就職氷河期世代が直面したのは、単なる就職難だけではありません。新卒採用の冷え込みをはじめ、非正規雇用の増加や無職状態の若者の増加など、社会全体に広がる問題が連鎖的に起きていました。

新卒学生の就職難

就職氷河期(1993年〜2004年)と呼ばれる時代は、バブル崩壊にともない雇用にも影響が生じ、新卒学生にとって特に厳しい就職環境でした。この時代の大学卒業者の就職率は69.7%であり、平年(その期間を除く 1985 年~2024 年)よりも10ポイント以上低い数値となっています。

十分な雇用の機会が得られなかったことは、多くの学生にとって長期的なキャリア形成に大きな影を落とす結果となりました。

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出典:
内閣府「日本経済2019-2020第2章 人口減少時代における働き方を巡る課題(第2節)」
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2019/0207nk/n19_2_2.html#n19_2_2_1

文部科学省「学校基本調査」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00400001&tstat=000001011528

リクルートワークス研究所「第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)」
https://www.works-i.com/surveys/item/240425_recruitment_saiyo_ratio.pdf

非正規雇用の増加と世代間格差の拡大

正社員としての就職が難しかった就職氷河期世代の多くは、やむを得ずフリーターや派遣社員などの非正規雇用に就いています。その結果、同じ世代の中でも正規と非正規で賃金や経験値、昇進の機会に大きな差が生じたのです。

こうした格差は、年齢を重ねても埋まりにくく、キャリアや生活基盤に長期的な影響を与える原因となりました。

無職の若者の増加

就職氷河期が長引いたことで、就業自体をあきらめる若者も増加しました。特に2000年の完全失業率は4.7%とその当時の過去最低水準となり、2002年には5.4%と過去最高を記録しています。

就職活動の困難さにより、多くの若者が挫折感や自己否定に陥り、ニートや引きこもりといった無職状態に追い込まれるケースも少なくありませんでした。

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出典:
厚生労働省「平成13年版労働経済の分析」
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/01/index.html

総務省「労働力調査」
https://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.htm?utm_source=chatgpt.com

就職氷河期になった時代背景

就職氷河期は、単に景気が悪化したというだけでなく、複数の要因が重なって生まれた社会現象です。バブル崩壊による企業の採用抑制、人口構造の変化、そして雇用制度の見直しなどが大きく影響を与えました。

バブルの崩壊

日本は長らく、高度経済成長とバブル景気の影響を受け、右肩上がりの経済成長を続けていました。平均4%という高い潜在成長率のもと、企業の採用意欲も旺盛で、1991年には大卒求人倍率が2.86倍という高水準を記録しています。

しかし、1990年代に入りバブル経済が崩壊すると、企業は業績悪化に直面し、人員整理を避けるため、正社員の解雇ではなく新卒採用の抑制に舵を切りました。バブル崩壊に伴う企業の採用縮小は、就職氷河期を生む大きな要因となったのです。

出典:
内閣府「日本経済2018-2019 第1章 日本経済の現状と課題(第3節)」
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2018/0125nk/n18_1_3.html

リクルートワークス研究所「第40回 ワークス大卒求人倍率調査(2024年卒) 【大卒求人倍率1.71倍】コロナ前水準へ 中小の採用意欲も回復」
https://www.works-i.com/surveys/item/230426_kyujin.pdf

極端に多い人口ボリューム

就職氷河期を迎えた世代は、そもそも人口が非常に多いという特徴がありました。就職氷河期世代は、1971年から1974年に生まれた団塊ジュニア世代と、1975年から1984年にかけて生まれたポスト団塊ジュニア世代に分けられます。団塊ジュニア世代だけでも毎年約200万人が生まれ、全体で約800万人にもおよぶため、他の世代と比べると圧倒的な人口ボリュームを誇るのです。

さらに、1990年代は大学の定員抑制が緩和され、進学率が上昇した時期です。その結果、大学の卒業者数も増加しました。

しかしこの時期、企業はバブル崩壊の影響で新卒採用を大幅に縮小しており、多くの若者が就職を希望するタイミングで、就職の門戸が極端に狭まっていたのです。人口の多さと採用抑制が重なったことで、就職氷河期の深刻さはさらに増す結果となりました。

出典:参議院常任委員会調査室・特別調査室「団塊ジュニアとポスト団塊ジュニアの実像」
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/r05pdf/202322201.pdf

雇用の規制緩和

バブル崩壊後、経営環境が悪化した多くの企業は、コスト削減を目的に正社員の採用を控える一方で、非正規雇用の拡大に舵を切りました。特に、これまで一部の業種に限られていた派遣労働は、制度の規制緩和によって対象業種が徐々に広がり、より一般的な雇用形態として定着していきます。

企業側にとって非正規雇用は、賃金や社会保険の負担を抑えられるうえ、雇用期間を限定できるなど柔軟な人員調整が可能になり、経営リスクを軽減する手段として活用されました。

その結果、派遣社員や契約社員といった非正規労働者は、企業にとって都合の良い調整弁となり、就職氷河期世代の多くがその影響を受けることになったのです。

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就職氷河期世代が直面している現状と課題

就職氷河期を経験した世代は、現在もなお雇用や収入、将来設計にさまざまな課題を抱えています。マーケティングの対象として捉える際には、こうした背景を踏まえたアプローチが欠かせません。

ここからは、就職氷河期を経験した世代の現状と注目すべきポイントを解説します。

希望に沿わない雇用形態で働き続けている

就職氷河期世代の多くは、望まない雇用形態でキャリアをスタートせざるを得ませんでした。厚生労働省が2003年に実施した調査によれば、契約社員や派遣社員、パートなどの非正規労働者は、非正社員である理由として「正社員として働ける会社がなかった」と回答した方は25.8%にのぼります。また非正社員の今後の希望する働き方として「他の就業形態に変わりたい」は2割で、そのうち8割以上が「正社員として働きたい」と考えていることがわかります。

このように不本意な形で就業を開始したことは、その後のキャリアにも影響を与えています。マイナビの調査では、2018年時点でも氷河期世代は他の世代と比べて大企業に勤める人の数が明らかに少なく、正規雇用への移行やキャリアの再構築に対する関心は高いのです。

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出典:
厚生労働省「―平成15年就業形態の多様化に関する総合実態調査結果の概況―」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keitai/03/kekka4.html

マイナビ「就職氷河期世代の実情と就労意識」
https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2021/06/hyogaki-rep.pdf

スキルアップ・キャリアアップが難しい

就職氷河期世代のなかには、当時の厳しい雇用状況から非正規雇用に就かざるを得なかった方が多くいます。正社員経験がないことで転職市場での評価が低く、賃金も抑えられるため、キャリアアップのための自己投資が難しいという悪循環に陥りがちです。

その結果、スキルや経験を活かせる職への転職が困難となり、現在も非正規で働き続けるケースが少なくありません。実際に、氷河期世代が30代を迎えた時期の正規雇用比率は、他の世代に比べて10ポイントほど低く、中途採用で正社員になることすら難しい状況でした。

こうした背景から、今もなお自己成長や自己実現などへの関心が高く、「今からでも遅くない」と感じさせる前向きな提案が重要といえるでしょう。

出典:内閣府「日本経済2019-2020第2章 人口減少時代における働き方を巡る課題(第2節)」
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2019/0207nk/n19_2_2.html#n19_2_2_1

勤続年数が長くても賃金が上がらない

近年、物価上昇やデフレ脱却の流れを受けて、国内では賃上げの動きが広がっています。しかし、その恩恵がすべての世代に均等に行き渡っているわけではありません。

特に若手人材の確保や離職防止を目的に、企業は20〜30代の従業員への賃上げを優先する傾向です。40~50代の就職氷河期世代は、後回しにされているケースもあります。

また、氷河期世代のなかには、正社員としてキャリアを積んできた方も多くいますが、上の世代がすでに管理職についているため、昇進の機会に恵まれず、結果として昇給も進みにくい状況もあるでしょう。

さらに、非正規雇用で長年働いてきた方は、転職によって賃金アップを図ろうとしても、これまでの経験が評価されにくく、思うような待遇改善に結びつかないという課題を抱えています。

こうした背景から、氷河期世代は、副業や複業による収入の補完、またはコストパフォーマンスを重視した商品やサービスに対して関心を寄せやすい傾向があります。

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将来への不安がある

就職氷河期世代の中には、希望する雇用形態に就けなかったまま、現在も不安定な働き方を続けている方が少なくありません。非正規雇用で働く場合、正社員と比べて収入が少なく、社会保険や福利厚生の面でも不十分であることが多いため、日々の生活費すら厳しいという状況に置かれるケースもみられます。

将来に備える余裕が持てず、老後資金の準備が進んでいない方も一定数存在するでしょう。生活基盤が脆弱であることから、病気やけがのような突発的なリスクにも対応しづらく、不安を抱えながら日々を過ごしている実態もあります。

こうした背景を踏まえると、今からでも始められる資産形成や生活の安定を支援するサービスに対するニーズは高いと考えられます。マーケティングにおいては、信頼感や安心感を重視した訴求が効果的でしょう。

まとめ

就職氷河期世代は、厳しい経済状況のなかでキャリアをスタートさせ、多くの課題を抱えたまま現在に至っています。雇用や収入、将来への不安といった背景を理解することは、心に響くマーケティング戦略を立てる上で欠かせません。ニーズを正しく捉えたアプローチをしていきましょう。

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