セルフ型アンケートツールQiQUMOで実現した「働く力」を育む実践教育
教育現場では、理論の習得と実践的なスキルの育成という、二つの大きな課題が常に存在します。
特に、ビジネスの世界で求められる「働く力」をいかに学生に身につけさせるかは、多くの大学が模索するテーマです。
本記事では、この課題に対し、二松学舎大学 国際政治経済学部 小久保欣哉教授が、株式会社クロス・マーケティングが提供するセルフ型アンケートツール「QiQUMO」を活用して取り組んだ、産学連携プロジェクトの事例をご紹介します。
ご担当者様のご紹介
- 1877年(明治10年)に漢学者・三島中洲により創立された「漢学塾二松学舎」を前身とする歴史ある大学。創立以来148年にわたり培われてきた歴史と伝統を継承しつつ、時代に合わせた教育改革を積極的に推進。特に、少人数教育と実践的な学修を重視しており、学生一人ひとりの個性と能力を伸ばす教育を実践している。
これまで、野村総合研究所の戦略コンサルタントとして、数多くの企業の経営戦略策定やイノベーション実現を支援してきた。実務家としての豊富な経験を活かして現場のリアリティを重視した実践的な教育を志向している。
小久保ゼミナールが挑む実践的ビジネス教育
――二松学舎大学 小久保ゼミナールのご紹介
二松学舎大学の小久保欣哉教授が担当するゼミは、戦略の立案・策定・実行に関わる「経営戦略」の基礎理論を学び、その応用として企業経営がどのように行われているか実際に企業経営の現場に参画し「戦略」を実践することに重きを置いています。単に学術的な知識を深めるだけでなく、社会の第一線で通用するビジネススキルを養うことを目的としています。
――産学連携プロジェクトでのQiQUMO活用
今回、小久保ゼミでは大手通信キャリアと大手コンビニチェーンとの産学連携プロジェクトとして、学生が新しい事業アイデアを考案し、そのアイデアが市場で通用するかどうかを検証する授業が実施されました。
その授業の中で、学生たちが事業アイデアの仮説を検証するために、株式会社クロス・マーケティングが提供しているセルフ型アンケートツール「QiQUMO」をご活用いただきました。同社の学術調査担当グループのマネージャー 鴇巣が授業に登壇させていただき、実践的なマーケティングリサーチの方法や、ツールの使い方に関するレクチャーを実施しました。

QiQUMOに初めて触れた学生は、最初は少し難しそうだと感じていたようですが、実際に取り組んでみるとその直感的な操作性に「簡単」「使いやすい」といった声が上がりました。


※QiQUMO活用後の学生へのアンケート調査結果(QiQUMOにてアンケート実施)
また、今回の事業アイデアへの仮説検証やマーケティングリサーチの実践的な経験を今後の学生生活やキャリアに活かしていきたいという前向きな声も多く見られました。今回の学びを活かし、今後の卒業論文やビジネスコンテストなどでも、データに基づいた説得力のある提案に挑戦していくことが期待されます。

※QiQUMO活用後の学生へのアンケート調査結果(QiQUMOにてアンケート実施)
小久保教授が語る、データ活用が育む「働く力」

「机上の空論」から「現場のリアリティ」へ
小久保 欣哉様(以下、小久保様) QiQUMOを導入する前、学生たちの実践的なビジネス研究には課題を感じていました。
特に、座学だけでは得られない「現場のリアリティ」を知ることの難しさです。ビジネスの現場には、教科書には載っていない泥臭さや厳しさがあり、それを学生たちに知ってもらうことで、「働いてフィーを得ることの重み」を理解してほしかったのです。
また、ビジネスアイデアを仮説検証する難しさも大きな課題でした。学生ならではの自由な発想は尊重しつつも、単なる「思いつき」を「仮説検証に値する問い」にまで昇華させるには、論理的な思考プロセスが必要です。徹底的なデスクリサーチや下調べを通じて、アンケート調査実施後に後悔しないように練りに練った仮説検証のための質問を捻り出す。このプロセスを学生たちに体感してもらうことこそが、実践的な教育だと考えています。
「直感的な操作性」と「コストパフォーマンス」が決め手に
小久保様 数あるツールの中から実践的教材としてQiQUMOを選んだ決め手は、その「直感的な操作性」と「コストと機能のバランスの良さ」です。
学生でもすぐに使いこなせる操作性の高さは、授業にツールを導入する上で不可欠な要素でした。また、大学での利用を考えると、機能が充実しているだけでなく、費用対効果が高いことも重要なポイントでした。
今回のプロジェクト以外にも、QiQUMOは学生たちの卒業論文や修士論文のデータ収集にも活用されています。特に、修士研究では仮説検証に必要な独自データの収集が不可欠です。消費者行動やマーケティングを専門とする研究者の方々にとっても、非常にニーズの高いツールではないかと感じています。
QiQUMOを活用した実践型教育の展開

小久保様 今回のプロジェクトでは、大手通信キャリアと大手コンビニチェーンの協力のもと、学生たちが新事業のアイデアを練るという、まさに実践の場を設けました。そして、その事業が本当に市場で受け入れられるのか、その仮説を検証するためにセルフ型アンケートツール「QiQUMO」を活用しました。
学生たちは、自分たちで仮説を立て、アンケートを設計するという一連のプロセスを実践しました。クロス・マーケティングの鴇巣さんからは、目的別のマーケティングリサーチの活用イメージや、セルフアンケートを行う際に留意しておくべき点など専門家ならではの視点や、QiQUMOの操作方法をレクチャーしていただき、学生たちはスムーズにツールを使いこなせるように鴇巣さんから泥臭い現場の話もあり、学生たちは非常に関心を持って聴いていたなっていました。特に、企業のリサーチ現場で実際にあった泥臭い話に、非常に関心を持って聴いている姿がとても印象的でした。

その後、QiQUMOで得られたデータを基に仮説を検証し、新規事業の具体的な提案までやり遂げました。
この一連の経験を通じて、「自分で考え、仮説を検証する」という、ビジネスにおいて最も大切な姿勢を身につけてくれたと感じています。単なる知識の習得ではなく、独自のデータに実際に触れられたことで、実践的なスキルが格段に向上したと思います。
QiQUMOがもたらした学生の変化と教育効果
小久保様 QiQUMOの導入は、学生たちに大きな変化をもたらしました。何より、働く力の土台となる「仮説検証の重要性」を肌で感じてくれたことが大きいと感じています。
もちろん、すぐに完璧な分析ができるようになるわけではありません。しかし、自分たちの頭で考え、独自データを扱い、主張したいことを表現しようとする姿勢を身につけてくれたことは大きな一歩です。
私自身の授業運営においても、QiQUMOは新たな可能性を開いてくれました。従来の座学だけでは伝えきることが難しかった「仮説検証の重要性」を、ツールを通して学生に体験させることができるようになりました。
ゼミ単位での導入を標準化し、大学全体の実践教育を底上げしたい
小久保様 今後、大学全体でのQiQUMO導入にはまだ課題がありますが、私のゼミでは引き続き積極的に活用していきたいと考えています。
クロス・マーケティングには、今後も継続的な専門サポートを期待しています。そして、今回の事例を広く共有していただくことで、他大学も含めて実践教育の底上げにつながれば、これほど素晴らしいことはありません。本事例が、多くの大学の先生方にとって、学生の学びを深めるヒントになることを願っています。






