マーケティングコラム

潜在意識とは?マーケティングで重要な理由や潜在意識に訴求する戦略例を解説

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潜在意識は、私たちの選択や行動に大きな影響を与える「見えない心の領域」です。マーケティングにおいても、この潜在意識をどう活用するかが成果を大きく左右する重要なポイントになります。今回は、潜在意識とは何か、なぜ重要なのか、さらには具体的な戦略や効果測定の方法までをわかりやすく解説します。

 

潜在意識とは?

潜在意識とは、自分では気づいていない心の領域のことを指します。この領域には、過去の経験や価値観・習慣などが無意識のうちに蓄積されており、私たちの思考や感情・行動に影響を与えています。

例えば、商品を買うときに「なんとなくこっちが良い」と直感的に選択した場合、それは潜在意識の影響によるものです。

このように、潜在意識は顕在意識(自分で認識できる意識)とは異なり、日常のあらゆる判断において無意識のうちに作用しています。マーケティングの分野においても、潜在意識の理解は消費者の行動や意思決定プロセスを分析する手がかりとして活用されています。

潜在意識と顕在意識の違い

潜在意識と顕在意識の違いは、意識の自覚の有無にあります。

潜在意識は意識の裏側で働く無意識の力で、過去の経験や価値観をもとに直感的な判断に関係しています。一方、顕在意識は、自分で認識できる思考や判断の領域であり、例えば何を食べるか選ぶときなど、論理的に行動する場面で使われます。

また、潜在意識は言葉にしづらい感覚的な情報を多く含むのに対し、顕在意識は言語化が可能です。両者は密接に連動しており、無意識に選んだ行動に対して、後から顕在意識が理由を後づけするといったこともあります。

潜在意識と無意識の違い

潜在意識と無意識は、使う文脈や意図の違いはありますが、意味自体はほぼ同じです。

潜在意識は、普段は意識していないけれど頭の中に残っている情報や記憶、直感的な感覚に関わっています。一方、無意識はもっと反射的で、自分の意思とは関係なく体が動くようなとっさの反応に関係しています。

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潜在意識がマーケティングで重要な理由

私たちの行動や選択は、潜在意識の影響を大きく受けています。ここでは、潜在意識がマーケティングで重要な理由について解説します。

従来のマーケティング方法では限界であるため

現代のマーケティングには、潜在意識に訴えかけるアプローチが欠かせません。なぜなら、商品のスペックや価格・キャンペーン内容など事実だけを並べても、情報過多の時代においては消費者の印象に残りづらくなっているためです。

同じような製品であっても、パッと見た印象や広告などの音楽・色の雰囲気によって「なんとなく好き」と感じてもらえることがあります。論理だけでなく感性に訴える工夫が記憶に残る体験を生み出すため、今後のマーケティングでは潜在意識に着目した戦略がますます重要になります。

人間の意思決定に歪みがあるため

人間の意思決定は、必ずしも論理的とは限りません。私たちは感情や思い込み、周囲に左右され直感的に判断してしまうことがあります。例えば、「高いものは品質が良い」と感じたり、多くの人が選んでいる商品に安心感を覚えたりするのは、無意識のバイアスによるものです。

このように、人間の意思決定には歪みがあるため、潜在意識の働きを理解することがマーケティングにおいて重要なポイントとなっています。

潜在意識に訴えかけることで高い効果を得られるため

消費者の心に深く響かせるには、潜在意識に訴えかけるのが効果的です。なぜなら、潜在意識は感情や記憶・習慣とつながっており、表面的な説明以上の影響を与えるからです。

例えば、あるブランドのロゴや音楽に懐かしさや安心感を抱くといった感情は、潜在意識が関与しています。このような感情的な結びつきが、ブランドへの信頼や愛着、継続的な購入意欲につながるのです。

結果として、潜在意識を意識したアプローチは、実用的なメリットを超えた「記憶に残るブランド体験」を提供でき、顧客との長期的な関係構築に大きく貢献します。

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潜在意識に訴えかけるマーケティング戦略の例

消費者の心を動かすには、潜在意識へのアプローチが効果的です。ここでは、潜在意識に訴えかける代表的なマーケティング戦略の具体例を解説します。

五感を刺激する

人間の五感は、潜在意識に直接働きかける強力な手段です。視覚や聴覚など各感覚を通じた刺激は、記憶や感情と結びつきやすく、印象に残りやすい特徴があります。

下記は、感覚ごとの具体的なマーケティング施策の例です。

・視覚

色や形、レイアウトといった視覚的な要素は、感情や印象に強く働きかけます。例えば、赤は情熱・青は安心といった印象を与えやすい色です。ブランドカラーや広告デザインに活かすことで、潜在意識に訴求しやすくなります。

・聴覚

音楽や声のトーンは、記憶や感情に直結しやすい感覚です。落ち着いたBGMが安心感につながったり、耳に残る短いメロディがブランド認知に寄与したりします。聴覚への刺激は、ブランドに対する好印象や信頼感を育て、購買意欲を高める重要な働きを担います。

・触覚

触覚を通じて得られる質感や重みは、無意識に商品の価値を判断する手がかりになります。例えば、高級感のある素材や心地良い肌ざわりは、「良いもの」と実感できるひとつの要素です。
実際に触れる体験を通じて、ブランドに対する信頼や満足感が生まれ、所有したいという気持ちを引き出す効果が期待できます。

・味覚

味覚を通じた体験は、記憶や感情に残りやすい特徴があります。試食やテイスティングイベントは、商品の魅力をダイレクトに伝えるマーケティング手法として有効です。懐かしい味や香りがポジティブな感情を呼び起こし、ブランドとの印象的なつながりを生み出すことができます。

 ・嗅覚 

嗅覚は、脳の記憶や感情と直結しやすい感覚のひとつです。店舗やイベントでのアロマ演出は、空間全体の印象を高め、ブランドイメージの記憶定着を促します。香りによってリラックスや高揚感を引き出し、無意識のうちに購買意欲を刺激するといった目的でも活用できるでしょう。

感情を揺さぶる

感情を揺さぶる表現は、消費者の印象に強く残ります。中でもストーリーテリングは、理屈よりも感情に訴える力があり、ブランドへの共感を生み出す手法として効果的です。

商品の開発秘話やユーザーの体験談を物語として伝えることで、ブランドに対して親近感を抱いてもらい、記憶に残るきっかけになります。こうした感情に訴えることが、潜在意識に深く入り込み、購買行動に影響を与えます。

無意識バイアスを利用する

無意識の思い込みを活用する「無意識バイアス」を利用した戦略も、消費者心理に働きかける方法のひとつです。

下記では、代表例として知られる効果について、具体的に解説します。

・アンカリング効果

アンカリング効果とは、最初に目にした情報が基準となり、その後の判断に大きく影響を与える心理現象です。

例えば、10万円の商品を最初に見せた後に5万円の商品を提示すると、「安い」という印象を与えられます。この順番で見せることで、実際の価格よりもお得に見え、購入したくなる気持ちを引き出せます。

セールの場面などでよく使われるテクニックで、価格の見せ方を工夫するだけでも効果が期待できる手法です。

・ハロー効果

ハロー効果とは、目立った特徴や第一印象が、その人や商品の別の要素の印象にも影響してしまう心理現象です。人気の芸能人が愛用している商品は、それだけで「品質が良さそう」「センスが良い」といった印象を与えやすくなります。

このように、知名度や見た目といった一部の要素が他の価値判断にも波及するため、ブランドイメージの向上や広告でのイメージ戦略に活用できるでしょう。

・社会的証明

社会的証明とは、多くの人が選んでいるものに安心感を覚え、自分の判断基準とする心理のことです。例えば、「1万個売れています」「利用者の9割が満足」といった言い回しは、他の人が選んでいることを示すことで安心感を与え、購入や申し込みのハードルを下げる効果が期待できます。

社会的証明を活用することで、商品の信頼性や選ばれる確率を高められる可能性があるのです。

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潜在意識マーケティングの効果を測定する方法

潜在意識を刺激するマーケティングの効果を正しく把握するには、感覚だけで判断せず、定量的・定性的な指標の両面から検証することが大切です。

ここでは、効果を測定する方法を具体的に解説します。

定量的・定性的な指標で測定する

潜在意識マーケティングの効果は、定量的・定性的な指標を活用し、数値で見える成果と顧客の感情的評価の両面から確認します。

定量的な指標では、下記のような数値データをもとに成果を分析します。

・売上や成約数の変化
・Webサイトのアクセス数やコンバージョン率
・SNSでのシェア数やクリック数

定性的な指標では、ユーザーの内面にある心理や価値観に踏み込んで分析します。

・アンケートやインタビューで得られる顧客の本音
・SNSやレビューでの感情的な反応
・ブランドに対するイメージや印象の変化

定量的な数値と定性的な反応の両方を確認することで、潜在意識にどのような影響があったかをより正確に測定できます。

A/Bテストで検証する

A/Bテストは、潜在意識マーケティングの影響を具体的に比較・検証するための有効な方法です。2つのバージョンの広告やWEBコンテンツを同時に運用することで、どちらがより反応を得られるかを判断しやすくなります。

効果測定時には、下記の項目を中心に数値をチェックします。

・クリック数
・クリック率
・コンバージョン率
・CTA(行動喚起ボタン)付近での滞在時間

コストを抑えつつも精度の高い検証が可能なA/Bテストは、PDCAサイクルを素早く回す上でも有効な手段です。

まとめ

潜在意識は消費者の行動に深く影響するため、マーケティングでは欠かせない視点です。五感や感情に働きかけるアプローチを実践し、定量的・定性的の両面から効果を見極めることで、より印象に残るマーケティング展開が可能になります。

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