友達がいない社会人は多い?データから社会人の友達付き合いを紐解く
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近年、「社会人になってから友達ができない」「誰にも会わずに休日が終わる」といった声が目立つようになりました。ビジネスでも、こうした孤独感を抱える層をターゲットにした商品やサービスへの関心が高まっています。今回は、社会人の友人関係や孤独の実態にフォーカスし、マーケティングに生かせる視点も紹介します。
社会人の友達付き合いの現状
社会人になると、学生時代のように気軽に人と会う機会が減り、友人関係が希薄になりやすいといわれています。では実際に、社会人の友達付き合いはどのような状況なのでしょうか。各種データをもとに、その実態を紐解いていきましょう。
3割超の社会人が「友人はいない」と回答
株式会社クロス・マーケティングが2025年1月に実施した「人間関係に関する調査(2025年)」によると、「友人がいない」と回答した有職者は全体の30%にのぼり、さらに「親友がいない」と答えた方は53%と、半数を超える結果となりました。
年代別にみると、30代の「友人がいない」割合は36%ともっとも高く、親友がいない割合も58%と最多です。性別では、男性の34%が友人を持たず、女性よりやや高めの傾向にあります。

出典:株式会社クロス・マーケティング「人間関係に関する調査(2025年)」
孤独を感じている社会人は多い
内閣府が実施した「人々のつながりに関する基礎調査(令和5年)」によると、孤独感が「しばしばある・常にある」「時々ある」「たまにある」と回答した方の合計の割合は、20代から50代にかけて特に高い傾向がみられました。なかでも20~29歳の層では、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答している方の割合が7.1%ともっとも高く、若年層ほど孤独を感じやすい状況が浮き彫りになっています。

また、BIGLOBEが20代~50代の男女を対象に行った調査でも、「人とのつながりを増やしたい」との回答は全体の37.1%で、特に20代では48.4%と半数近くにのぼりました。「会社以外の人とのつながりがまったくない」にあてはまるかについては、20代は「あてはまる/ややあてはまる」が48.2%(全体37.8%)で、他の年代より10ポイント以上も高いスコアとなりました。
ただ、「人付き合いは面倒」という回答は全体の66.7%を占めており、7割以上の男女が「お一人様で行動するのが好き(気にならない)」としていました。
出典:内閣府「人々のつながりに関する基礎調査(令和5年)調査結果の概要」
https://www.cao.go.jp/kodoku_koritsu/torikumi/zenkokuchousa/r5/pdf/tyosakekka_gaiyo.pdf
出典:BIGLOBE「コロナ禍を経て、人とのつながりに関する意識調査」
https://www.biglobe.co.jp/pressroom/info/2024/01/240104-1
コミュニケーションの頻度と孤独感の相関性
内閣府の調査によると、同居していない家族や友人とのコミュニケーション頻度と孤独感には、一定の関係性があることがわかっています。やり取りの手段としては、「直接会う」「電話する」「SNSや電子メールを使う」の3つがあげられ、それぞれの頻度が減少するにつれ、孤独感を抱く方の割合が増加する傾向にありました。
例えば「直接会って話す」頻度が少ない方ほど、孤独感を「しばしばある・常にある」と感じやすくなっています。

出典:内閣府「人々のつながりに関する基礎調査(令和5年)調査結果の概要」
https://www.cao.go.jp/kodoku_koritsu/torikumi/zenkokuchousa/r5/pdf/tyosakekka_gaiyo.pdf
友達との交流は充実感にもつながる
内閣府が実施した「国民生活に関する世論調査(令和6年8月調査)」では、日々の生活のなかでどのような場面に充実感を覚えるかを尋ねたところ、「友人や知人と会合、雑談しているとき」という回答は42.1%で4位でした。
ちなみにトップ3は、「ゆったりと休養している時」(54.8%)、「家族団らんの時」(47.3%)、「趣味やスポーツに熱中している時」(47.2%)でした。
出典:内閣府「国民生活に関する世論調査(令和6年8月調査)」
https://survey.gov-online.go.jp/living/202412/r06/r06-life/

社会人になると友達がいなくなる理由
社会人になってから、友達が減ったと感じる方は少なくありません。その主な理由としてあげられるのが「会う頻度の減少」です。学生時代は同じ時間・場所で過ごすことが多く、自然と関係が深まりやすい環境にありました。しかし、社会人になると状況が一変します。
例えば、仕事の休みが限られていたり、勤務時間がバラバラで予定を合わせづらくなったりと、物理的に会うことが難しくなる要因が増えます。さらに、結婚や出産といったライフイベントを経て家族との時間を優先するようになる方も多く、交友関係が後回しになりがちです。
また、就職や転勤によって地元を離れることも、旧友との距離を広げる一因です。こうした変化の積み重ねが、社会人の友人関係を希薄にする大きな背景といえるでしょう。

友達がいない社会人の特徴
友達が少ない、あるいはいない社会人には、いくつか共通する傾向がみられます。ここでは、その代表的な特徴を掘り下げていきます。
1.休日は家でゆっくりしたいと思っている
休日は誰にも会わず、予定を立てずに自宅でゆっくり過ごしたい方は少なくありません。仕事で人と関わる機会が多い社会人にとって、休みの日くらい1人の時間を大切にしたいと感じるのは、自然なことです。
とはいえ、「せっかくの休みにわざわざ外出したくない」「誘われても気が進まない」と感じることが続くと、友人との交流の機会は少なくなります。無理に人と会わずに心身をリセットするスタイルが定着すると、結果的に友達付き合いが希薄になる傾向です。
2.家族や大事な人と過ごしたいと思っている
休日やプライベートの時間を、恋人や家族と過ごしたいと考える方も少なくありません。大切な方との時間を優先するあまり、友人との交流が後回しになるケースが多くみられます。「また今度会えばいい」と思って誘いを断っているうちに、疎遠になっていくこともあるでしょう。
3.人付き合いに苦手意識がある
社会人として働き始めて数年が経つと、仕事以外でのコミュニケーションに苦手意識を持つようになる方もいます。表面的な会話にとどまり、なかなか深い関係へ発展するのが難しくなる場合もあります。
せっかく知り合っても、同僚止まり・知人止まりで終わってしまうことが多く、人間関係が広がりにくくなります。さらに社会人は忙しいため、付き合う相手を自然と絞るようになりがちです。
4.単独行動に慣れている
流行のレストランに行くのも、新作映画を観るのも、海外旅行へ出かけることさえも、1人でも苦にならないという方は、友達を作りにくい傾向があります。
1人で自由に行動できるため、誰かを誘う必要性を感じにくくなりがちです。加えて、友達の都合に合わせて予定を調整することが面倒に思えてしまうと、自然と他人との関わりが減っていきます。
5.没頭したい趣味がある
休日は誰かと過ごすより、自分の趣味に集中したい方も多いでしょう。例えば、模型作りやアクアリウム育成、庭仕事など、自宅で完結する趣味に打ち込んでいると、外出の必要がなくなり、人と会う機会も自然と減ってしまいがちです。このような趣味は、1人で十分に楽しめるため、交友関係を広げようとする意欲が薄れやすくなります。

友達がいない社会人が主要なターゲットになる「おひとりさま消費」とは
社会人の友達がいない傾向は、「おひとりさま消費」と呼ばれる消費活動につながっている側面もあります。おひとりさま消費とは、自分1人の時間で趣味や旅行などを楽しむ行動を指し、一定規模の市場を生んでいます。先述のように、友達がいない理由は必ずしもネガティブなものではありません。1人での行動に慣れた層は、「おひとりさま消費」の重要なターゲットになる可能性があります。
また、おひとりさまを獲得することで、企業にとってもいくつかのメリットがあるのです。例えば、飲食店の場合、おひとりさまは飲食を終えるとすぐに退店する方が多いため、回転率アップにつながります。また、基本的に会話せず静かに過ごすことから、店内の落ち着いた雰囲気を維持しやすくなるでしょう。
おひとりさまを集客するには、下記のようなポイントを考慮することが大切です。
・おひとりさまを歓迎する姿勢をアピールする
・1人で過ごすことの不安要素を解消する
・ユニークなおひとりさま限定プランを設計する
おひとりさまが心地良く過ごせるサービスを提供することで、ビジネスチャンスを広げましょう。
まとめ
社会人の友人関係や孤独感には、ライフステージや価値観の変化が大きく影響しています。交流の減少や1人の時間を重視する傾向がみられる一方で、つながりや充実感を求める声も根強く存在します。「おひとりさま消費」といったニーズを生んでいる側面もあり、特徴を把握した上でターゲティングすれば、新たなビジネスのきっかけにもなるでしょう。