今流行りの「平成レトロ」とは?コンテンツとマーケティング事例を解説
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若年層向けの商品・サービス開発において、「懐かしさ」を切り口にしたマーケティングは、近年ますます重要性を増しています。中でも注目されているのが「平成レトロ」です。今回は、平成レトロの本質的な魅力や流行の背景を整理し、企業のマーケティング・商品企画にどのように活かせるのかを解説します。
今話題の「平成レトロ」とは?
平成レトロとは、平成時代(1989年〜2019年)の初期から中期にかけて流行したカルチャーやプロダクトを、懐かしさや新鮮さとともに楽しむ文化を指します。当時のポップでカラフルなファッション、デジタル機器、アニメ、音楽、文房具や雑貨などが再評価され、現代的な文脈で楽しまれています。
特にプリクラ、ガラケー、ルーズソックス、ギャル文字、ラメ入り小物、ガチャガチャといった1990年代〜2000年代前半のティーンズカルチャーは、Z世代を中心に再び注目を集めています。
「平成レトロ」が流行り始めた理由
平成レトロがここまで広がった背景には、世代特性や消費価値観の変化が深く関係しています。
Z世代の「懐かしさ」と「新しさ」
「懐かしさ」と「新しさ」の共存が、平成レトロが流行った大きな理由です。平成初期~中期生まれのZ世代にとって、家族と過ごした時間、友達と遊んだ記憶と結びついたアイテムやデザインは、「懐かしい」という感情を自然に喚起します。
一方で、平成をほとんど体験していない10代前半層にとっては、平成レトロは完全に「未知のカルチャー」です。スマートフォンやSNSが当たり前の時代に育った彼らにとって、ガラケーや初期プリクラは新鮮で、逆に強い魅力として映ります。
この「懐かしいのに新しい」という二面性を持つ点が、若年層の消費行動と非常に相性が良いと考えられます。

アナログの魅力
現代はタイムパフォーマンスや効率が重視される時代です。しかし、その反動として「あえて手間のかかるもの」に価値を見出す動きも強まっています。
フィルムカメラや写ルンですのように、撮ってすぐ確認できない不便さや、失敗も含めて楽しむ体験は、デジタル全盛の今だからこそ新鮮に感じます。また、すでに生産終了しているアイテムの希少性や、物理ボタンの操作感といった触覚的な体験も、アナログならではの魅力として支持されています。
「エモ消費」とSNS映え
Z世代を中心に広がっているのが、「エモい」と感じる体験にお金を使う“エモ消費”です。平成レトロは、色遣いやデザインが派手で視覚的インパクトが強く、SNSとの相性が非常に良い特徴があります。
プリクラ風デザインのフォトスポットや、レトロ感のあるパッケージは、自然と写真に撮られ、拡散されやすくなります。広告費をかけずとも、ユーザー自身が情報発信してくれる点は、マーケティング施策として大きなメリットです。
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幅広い世代の共感
平成レトロは平成を青春時代として過ごした30〜40代にとっても、「あの頃」を思い出すきっかけとなり、共感を呼ぶトレンドになっています。親世代と子ども世代が同じテーマで会話できる点も特徴で、ファミリー層を巻き込んだ消費につながる可能性もあります。このことが、ブームを一過性に終わらせず、継続・拡大させています。
特に流行っている平成レトロのコンテンツ
実際に市場で支持されている、平成レトロの代表的なジャンルを紹介します。
ファッション・スタイル
平成レトロのファッションは、2000年頃のY2K(※)スタイルと密接に結びついています。厚底シューズやブーツにルーズソックスを合わせたスタイルは象徴的です。
ミニスカートやショート丈トップスなど、肌見せを前提としたスタイルも「健康的で可愛い」と再評価されています。また、ビーズアクセサリーや小さめバッグ、バケットハットなどのカラフルな小物も人気です。
さらに、平成初期〜中期のギャル文化が、現代風にアップデートされて再登場しています。商品開発においては、「当時そのまま」ではなく、今の価値観に合わせた調整が重要です。
※Y2K:Year 2000(西暦2000年)の略

アイテム・グッズ
写ルンですは、画質の粗さや偶然性が「エモい」として再評価されています。ガラケーも、折りたたみ式デザインや物理ボタンの操作感が新鮮に映ります。
プリクラでは、初期の写りや落書き機能が「今の盛れすぎない感じが良い」と支持されています。たまごっちも、初代のシンプルな育成要素が、複雑化した現代ゲームとの差別化ポイントとなっています。今にはない「不完全さ」や「制限」が価値になる好例です。
エンターテイメント・カルチャー
アニメや音楽、ドラマも平成レトロの流行を支える重要な要素です。『おジャ魔女どれみ』『セーラームーン』などのアニメは、デザイン性や世界観が再注目されています。
音楽では、宇多田ヒカルや安室奈美恵、モーニング娘。の楽曲がTikTokなどでBGMとして使われ、若年層に再発見されています。『池袋ウエストゲートパーク』『ごくせん』といったドラマも、当時の空気感ごと楽しまれています。
平成レトロを活用したマーケティング戦略の事例
平成レトロブームを受けて、多くの企業が懐かしさをマーケティング戦略に取り入れています。
当時を知る世代へのノスタルジー訴求と、Z世代にとっての「新しいレトロ」という二重の価値を提供することで、幅広い層の共感を獲得しています。ここでは、平成レトロを効果的に活用した代表的な企業事例を紹介します。
味の素
味の素は「思い出の味」をコンセプトに、昭和から平成初期にかけてのパッケージデザインを復刻した商品展開を実施しました。この施策の優れている点は、親世代には懐かしさによる感情的なつながりを生み出し、Z世代には見慣れないレトロなビジュアルが逆に新鮮に映るという、世代を超えた訴求を実現したことです。
特にSNSでは「子どもの頃に見た!」「親が喜んでた」といった投稿が拡散され、家族間のコミュニケーションツールとしても機能しました。パッケージの写真をシェアする行動が自然発生的に広がり、企業側が仕掛けた以上の波及効果を生んでいます。
日本マクドナルド
日本マクドナルドは平成時代を象徴する文化要素を取り入れた「平成バーガー」や「平成シェイク」などの期間限定商品を展開しました。平成ギャル文化や当時のトレンドをビジュアルや販促物に反映させた点が特徴です。
ルーズソックス、ガングロメイク、プリクラといった平成文化のアイコンを現代的にアレンジすることで、「懐かしいけど古臭くない」絶妙なバランスを実現しています。
コカ・コーラ
コカ・コーラは過去に販売していた「New Coke」の限定復刻など、歴史的な商品を現代に蘇らせる戦略を展開しています。ブランドの歴史そのものをマーケティング資産として活用した好例です。
当時「New Coke」を実際に飲んだ世代にはノスタルジーを、その歴史を知らない若年層には「幻の商品」としての希少価値を訴求することで、異なる動機で同じ商品への関心を喚起しています。
まとめ
平成レトロは、世代間の共感や価値観の変化を背景に流行しています。懐かしさと新しさ、アナログとデジタル、不便さと楽しさといった対立軸を内包している点が、多くの消費者を惹きつけています。
企業のマーケティングや商品企画においては、「そのまま復刻する」のではなく、「なぜ今刺さるのか」を理解した上で再構築することが重要です。平成レトロを正しく活用できれば、Z世代からミレニアル世代までを横断する強い訴求ポイントとなるでしょう。
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