マーケティングコラム

アンケートの作り方:手順・質問例・回答率を上げるコツ

Facebook X
この記事でわかること
  • アンケート作成前の設計と手順

    品質の大部分を左右する事前設計のポイントや、設問・選択肢の重複や抜け漏れを防いだアンケートを作成する具体的な手順を理解できます。

  • 質問設計と回答しやすい順番

    目的に応じた設問タイプの選び方や、回答者のバイアスを防ぎスムーズに回答してもらうための設問の順序とその理由を把握できます。

  • 失敗事例から学ぶ対策とコツ

    目的の曖昧さや設問数の過多など、実務で陥りがちな特定の失敗を回避するための注意点が分かります。


アンケート調査は、顧客のリアルな声を施策に活かすための手法の1つですが、事前の設計が不十分なまま設問を作成してしまうと、データが活用できないといったリサーチの失敗に繋がります。確かなデータを回収するためには、作成前に目的・対象者・方法を明確にし、回答者視点に立った設計を行うことが不可欠です。本記事では、アンケートの作成手順から、回答率を高める工夫、目的別の具体的な設問例などを網羅的に解説します。

 

アンケート作成前に決めること

アンケートの品質は、設問を作成する前の設計でほぼ決まります。調査票を作成する前に、「目的(何を判断するか)」「対象者(誰に聞くか)」「方法(どう実施するか)」の3つの要素をあらかじめ明確にすることで、無駄な設問を減らし、意思決定に直結するデータを効率的に回収できるようになります。

まずは設問を作成する前に整理しておくべき3つの要素について詳しく見ていきましょう。

アンケートの目的を明確にする

アンケートの目的は「何を判断するための調査か」をプロジェクトの関係者全員で共通認識を持てるように言語化できている状態が理想です。ただ漠然とデータを集めるのではなく、以下のように「意思決定のゴール」から逆算して定義することが大切です。

・不適切な例:顧客満足度を調べる
・適切な例:購入後満足度の低い要因を特定し、翌四半期の改善優先順位を決定する
・適切な例:解約理由の主要因を特定し、オンボーディング施策の仮説を検証する

目的の明確化とあわせて、具体的なKPIもこの段階で決定します。満足度(5段階)、継続意向(次回も使いたいか)、推奨意向(NPS)など、経年変化や他社比較ができる指標をあらかじめ定義しておくことで、設問のブレを防ぎます。

さらに、明らかにしたい仮説と集計単位(分析軸)を設定します。全体傾向だけを見るのか、年代や利用頻度別に差を見るのかを事前に決めることで、必要な属性項目を最小限に抑えられます。目的が曖昧なまま設問を作成すると、論点がぶれてしまい、正確な検証が行えなくなります。

調査対象者(誰に聞くか)の条件を設計する

次に、アンケートに回答してもらう調査対象者の条件を設定します。対象者の選定を誤ると、どれだけ多くの回答数を確保できたとしても、得られたデータを意思決定に活かすことはできません。調査対象者を設計する際は、以下の3つのステップに沿って進めるとスムーズです。

1.母集団の決定
既存顧客、見込み客、未顧客、利用経験者、イベント参加者など、誰の声が意思決定に必要かを明確にします。

2.抽出条件の設定
「直近3か月以内に商品を購入した人」「無料トライアルを7日以上利用している人」など、利用経験から日が浅く、具体的な回答を想起しやすい条件を設定します。これにより、回答の精度が向上します。

3.属性項目の選定
比較分析したいセグメントに合わせて、年代・性別・居住地・利用頻度などを決定します。

属性項目は多すぎると回答者の離脱要因になりますが、不足していると集計結果の背景にある理由を深掘りすることが難しくなります。また、アンケートの回収方法によって回答者の属性に偏りが生じる点(例:SNSでの回収は若年層の比率が高くなりやすい等)も、あらかじめ想定して設計することが大切です。

適切なアンケート方法を選ぶ

アンケートの実査手法には、主に「紙(対面・郵送)」「Web(オンラインフォーム)」「アプリ内」があり、それぞれ特徴が異なります。調査目的やターゲットの利用環境、回収導線、予算、スケジュールなどを総合的に考慮して、自社の目的に合わせた最適な手法を選択することが、安定してデータ回収のポイントです。

各手法の特徴と、設計における注意点は以下の通りです。

実施手法 主なメリット デメリット・設計時の注意点

(店頭・イベント・郵送等)
店頭やイベント会場など、その場で直接回収しやすい。シニア層など、インターネットをあまり利用しない層にも届く。 回収後のデータ入力(データ化)と集計に工数がかかる。質問数が多いと記入漏れも増えるため、設問数を絞ったコンパクトな設計が必要。
Web
(オンラインフォーム)
配信から回収までのスピードが速く、集計が自動化できる。条件分岐や必須回答の制御が容易。 スマートフォンでの回答を想定し、入力負荷を軽減する設問設計とUI(画面表示)の確認が不可欠。
アプリ内 サービスや商品を利用した直後の意見や行動ログに紐づいた意見を収集しやすい。 回収の対象が自社アプリの利用者に限定される。回答を促す表示が多すぎると、アプリ本来の利用を妨げてしまう可能性がある。
紙 (店頭・イベント・郵送等)

主なメリット

店頭やイベント会場など、その場で直接回収しやすい。シニア層など、インターネットをあまり利用しない層にも届く。

デメリット・設計時の注意点

回収後のデータ入力(データ化)と集計に工数がかかる。質問数が多いと記入漏れも増えるため、設問数を絞ったコンパクトな設計が必要。
Web (オンラインフォーム)

主なメリット

配信から回収までのスピードが速く、集計が自動化できる。条件分岐や必須回答の制御が容易。

デメリット・設計時の注意点

スマートフォンでの回答を想定し、入力負荷を軽減する設問設計とUI(画面表示)の確認が不可欠。
アプリ内

主なメリット

サービスや商品を利用した直後の意見や行動ログに紐づいた意見を収集しやすい。

デメリット・設計時の注意点

回収の対象が自社アプリの利用者に限定される。回答を促す表示が多すぎると、アプリ本来の利用を妨げてしまう可能性がある。

このように、それぞれの長所と短所を理解した上で、対象者が最も回答しやすい環境(手法)を整えましょう。

アンケートの作り方

アンケートの作成〜実施までは、以下の5つのステップで進めることで、設問の重複や抜け漏れを防ぎ、目的に即した調査票を組み立てることができます。

Step 1:仮説を立てる
Step 2:質問項目を洗い出す
Step 3:調査票(質問内容)を作成する
Step 4:アンケート回答画面の作成・調査票のレイアウトを調整する
Step 5:配布・回収の計画を立てる

ここからは、各ステップの具体的な作業内容と、実務で失敗しないためのポイントを詳しく解説します。

Step1:仮説を立てる

仮説は、アンケート調査を「漠然とした発見の場」にするのではなく、「具体的な検証の場」にするための土台となります。既存の売上推移、顧客からの問い合わせ内容、口コミ、営業現場の声などから、「なぜそのような状況が起きているのか」という原因の仮説を言語化します。

仮説の例:
「直近で配送遅延に対する不満が増えているのではないか」
「初回設定の操作が難しいため、継続利用に至っていないのではないか」

あらかじめ仮説を設定しておくことで、設問数を必要最小限に絞り込むことができ、回答者の負担を軽減できます。さらに集計・分析の段階でも、どの切り口(セグメント)でデータを比較すべきかが明確になるため、次の施策につながる結論を導き出しやすくなります。

Step2:質問項目を洗い出す

設定した目的と仮説から逆算し、検証に必要な情報を項目としてすべて列挙します。この段階では文章の表現や体裁にこだわるよりも、漏れなく洗い出す作業を優先します。
次に洗い出した項目を「必須(意思決定に直結するもの)」「あると望ましいもの」「不要なもの」の3つに仕分けをしていきます。この際、以下のような基準で精査することがポイントです。

・必須項目: 設定した仮説の検証や、次の施策の判断に直接必要となる項目
・不要な項目: 「念のため知っておきたい」といった、社内の関心や好奇心ベースで追加された、意思決定に直結しない項目

項目数を絞り込む基準は、「この回答がなくても、次のアクションを決定できるかどうか」です。もし、そのデータがなくても判断に影響がないのであれば、思い切って項目から除外します。質問項目を厳選することが、最終的な回答率の向上と、データの信頼性を高めることにつながります。

Step3:調査票(質問内容)を作成する

洗い出した項目をベースに、具体的な設問文や選択肢へと落とし込んでいきます。文章の表現や体裁を整えるだけでなく、回答者が迷わず正確に答えられるかという「回答者目線」の設計が不可欠です。

例えば、1つの設問に複数の要素を含める「二重質問(ダブルバーレル質問)」を避けることや、「よく」「たまに」といった人によって基準が異なる曖昧な言葉を使わずに期間や場面を明確に指定することが、回答のブレを減らす基本となります。

また、設問の並び順(ストーリー)も重要です。前の設問が後の回答に影響を与える「順序効果」に配慮し、回答者の自然な思考プロセスに沿った構成を意識します。

Step4:アンケート回答画面の作成・調査票のレイアウトを調整する

作成した調査票を、実際の回答画面や配布用紙のレイアウトに落とし込み、回答者の操作ミスや途中離脱を防ぐため、回答画面やレイアウトの最適化を行います。選択した実施手法(Web・紙)に応じて、以下の内容を確認しながら進めます。

■Web調査(アンケート作成ツール等を使用する場合)

    • 回答形式の適切な選択: 単一選択(ラジオボタン)や複数選択(チェックボックス)、数値入力など、設問の意図に合わせた最適な形式を設定します。形式に迷いがあると回答者の負担になり、離脱の原因になります。
    • 必須項目と任意項目の仕分け: 意思決定に直結する項目には必ず入力制限(必須設定)をかけ、自由記述などは任意とするなど明確に区別します。
    • 条件分岐(ロジック)の設定: 「特定の選択肢を選んだ人にだけ追加質問を表示する」といった分岐を正確に設定し、対象外の回答者に無駄な設問を表示させないようにします。スマートフォンの画面で表示が崩れていないか、エラーメッセージは分かりやすいかなど、公開前にテスト環境で確認しておくことが大切です。

■紙調査(店頭・イベント配布・郵送などの場合)

    • 判読性と記入しやすさの担保: 文字サイズや行間にゆとりを持たせ、回答者が読みやすく記入しやすいフォント・レイアウトに調整をします。
    • 記入欄と選択肢の構造化: チェックボックスの配置を揃え、自由記述欄の大きさを適切に確保するなど、視覚的な迷いをなくす工夫が必要です。記入漏れを防ぐための注意書きも分かりやすい位置に配置します。

Step5:配布・回収の計画を立てる

調査票の完成後、実査スケジュールや目標回収数を策定します。アンケートを実施した後に「目標の回答数に届かない」「データに偏りがあって比較できない」といった問題が発生するのを防ぐため、事前に以下の内容を確定させておく必要があります。

・目標回収数(サンプルサイズ)の設計
全体の傾向を把握するだけでなく、属性(年代や利用頻度など)ごとにクロス集計して比較分析したい場合は、各セグメントで統計的に耐えうる最低限のサンプル数を確保できるよう、目標数を設計します。

・スケジュールと回収期間の設定
アンケートの開始日・終了日を決定します。あわせて、未回答者へのリマインド(督促)のタイミングや回数、回収後のデータ入力(パンチング)・集計にかかる実務工数までを想定した上で、現実的なスケジュールを組みます。

・インセンティブ(謝礼)の有無
ターゲット層や設問のボリューム(回答負担)に応じて、協力率を高めるための謝礼(ポイント、割引クーポン、ノベルティなど)を用意するかどうかを検討します。

実査を開始する前に、こうした「目標数・期間・運用のフロー」をチーム内で共有し、無理のないスケジュールから逆算して実施へと進めましょう。

20260626_01

質問設計の基本(設問タイプと順番)

調査票を形にする際、それぞれの質問にどの「設問タイプ(回答形式)」を適用するかによって、回収できるデータの性質や集計・分析方法が変わります。ここでは、アンケート作成において知っておくべき、質問設計の基礎知識を整理します。

設問タイプの選び方

アンケートで用いられる代表的な設問タイプには、「単一選択」「複数選択」「マトリクス形式」「自由記述」の4つがあり、それぞれに適した集計・分析方法があります。

単一選択SA:シングルアンサー / ラジオボタン)
複数の選択肢から「1つだけ」を選んでもらう形式です。回答の合計が必ず100%になるため、「構成比(シェア)」の算出に適しています。集計時は円グラフや帯グラフ(100%累積横棒グラフ)で表現し、優先順位をはっきりさせたい場合に有効です。

複数選択MA:マルチアンサー / チェックボックス)
当てはまるものを「いくつでも(または制限数内で)」選んでもらう形式です。ブランドの認知度や、購入時の検討理由など、「選択率のランキング」の作成に適しています。集計時は棒グラフ(複数回答の割合を示すもの)で表現するのが一般的です。必要に応じて「最大3つまで」のように制限すると、回答の分散を防ぐことができ、結果の傾向が明確になります。

マトリクス形式(表形式の質問)
複数の項目に対して、「大変満足」「やや満足」「不満」などの同一の評価基準(スケール)で一括して答えてもらう形式です。複数の要素(価格・デザイン・機能など)の満足度や重要度を並列で比較分析したい場合に適しています。

自由記述FA:フリーアンサー / テキスト入力)
選択肢では把握しきれない、ユーザーの生の声(具体的なエピソードや不満の理由)を収集する形式です。課題の深掘りや定性的な気づきを得るために使用し、テキストマイニング等でキーワードを定量化することもあります。白紙や「特になし」を防ぐには質問文の工夫が重要で、「〇〇について最も使いやすいと感じた点」のように聴く視点を絞ったり、「些細なことでも構いませんので」と一言添えたりすると、回答者の心理的抵抗が下がり、具体的で質の高い回答を引き出しやすくなります。

選択肢の作り方

選択肢を作成する際の鉄則は、MECE(ミーシー:漏れなくダブりなく)を徹底し、選択肢の粒度(レベル)を揃えることです。

・「漏れ」を防ぐ(その他・わからない の活用):
想定外の回答を拾うための保険として「その他」を配置することは有効ですが、多すぎると回収後の分類工数が増えます。事前のリサーチや想定が十分にできている場合は、あえて外す判断も大切です。また、記憶に頼る質問では無理に選ばせないよう「わからない」「該当なし」を入れることで、データのノイズを減らせます。

・「ダブり」を防ぐ(選択肢の重複をなくす)
「1万円以下」「1万円〜3万円」のように選択肢の範囲が重複していると、ちょうど1万円の回答者がどちらを選べばよいか迷う原因になるため、「1万円未満」「1万円〜3万円未満」のように境界線を明確に分けます。

回答しやすい設問の順番

アンケートの設問順は、回答者の記憶の呼び起こしやすさや、前の質問に引っ張られるバイアス(順序効果)に深く影響します。回答の負担が重い設問ほど後ろにするなど、以下のような順番で構成するのが標準的なパターンです。

1.導入・スクリーニング(事実確認の質問)
まずは「直近1か月以内に商品を購入しましたか?」といった、利用経験や事実を問う簡単な質問から始めます。回答者がスムーズに記憶をたどれるようにするためです。

2.全体的な評価(総合満足度など)
個別の具体的な質問(価格や機能など)を先に聞いてしまうと、「価格が不満だから、総合評価も低くつけよう」といった影響(順序効果)を受け、純粋な総合評価が測れなくなるため、個別の細かい要素を聞く前に、まずは全体としての評価(満足度や推奨度など)を尋ねます。

3.個別要素の評価(理由・詳細の質問)
総合評価の後に、機能、価格、サポート体制など、具体的な個別要素の満足度やその理由を深掘りしていきます。

4.デモグラフィック属性(個人情報に近い質問)
年代、性別、職業、居住地などの属性質問は、調査内容に応じて配置を変えます。自社リストやSNS等で広く配信する場合は、回答者の警戒・離脱を防ぐために最後に配置するのが基本です。一方、あらかじめ属性ごとに回収数を割り付ける調査や、特定の条件で対象者を抽出する場合は、調査の冒頭で聴取して条件に合致するかを判定します。

スクリーニング質問の作り方

スクリーニング調査とは、本調査に回答してもらう条件に合致する人を絞り込むための質問です。アンケートの最序盤(15問目)に配置します。回答者を特定の回答へ誘導しないよう、調査の条件を直接提示するような聞き方は避けるのが基本となります。

    • 不適切な例: 「直近3か月以内に当社の〇〇(商品名)を購入しましたか?」
    • 適切な例: 「次の中から、あなたが直近3か月以内に購入したことのあるブランドをすべてお選びください」(ダミーとして競合ブランドを交えて提示する)

属性質問の作り方

属性質問(デモグラフィック項目)とは、年代や性別、居住地、職業、利用頻度など、回答者の基本情報を取得するための設問です。これらは分析の切り口(クロス集計の軸)として使用するものだけに絞り込むことが重要です。

またセンシティブになりやすい項目は任意にし、どうしても聴取する場合は「答えたくない(回答しない)」という選択肢を用意します。質問の意図や取得理由を短く書き添えるだけでも、回答者の心理的抵抗を下げることができます。

さらに、特にBtoB調査などで「部署名・役職・年齢」のように、単体では匿名であっても、組み合わせることで個人が特定されてしまうケースには注意が必要です。回収後の集計単位や、社内・社外への公開範囲までをあらかじめ想定した上で、慎重に項目を設計しましょう。

回答率の高いアンケートを作るコツ

アンケートの回答率は、設問数だけでなく文章の平易さ・UI・心理的安全性によって左右されます。「短く・迷わず・不安なく」回答できる状態を作ることが、回答率とデータの品質を両立させるポイントです。ここでは、回答者の負担を減らし、かつ精度の高いデータを集めるための工夫を整理します。

選択肢はシンプルにする

選択肢が長かったり、数が多かったりすると、回答者の負担が増え、途中離脱や中立回答の増加に繋がります。似た選択肢は統合し、細かな違いは短い補足説明(注釈)を付けましょう。
尺度の段階数は、大まかな傾向把握なら4〜5段階、細かな意識変化を追うなら7段階が目安ですが、段階が増えるほど迷いやすい点には注意が必要です。複数回答の設問では、必要に応じて「最大3つまで」のように制限すると、回答の分散を防ぐことができ、結果の傾向が明確になります。

回答時間を短くする(設問数・必須設定)

目安の回答時間を先に決め、そこから逆算して設問数を調整します。一般的には3〜5分程度が回答しやすいラインですが、従業員調査など目的によっては長めでも成立します。
必須回答は最小限にし、理由などの深掘りは任意回答にします。必須が多いほど、途中離脱や適当な回答が増える原因になります。冒頭に所要時間の目安と回答締切を明記するだけでも、回答率は向上します。

回答しやすい文章にする(専門用語・二重質問を避ける)

専門用語や社内用語は平易な言葉に置き換え、理解のズレによる離脱を防ぎます。
また、1つの設問で2つの事柄を聞く「二重質問(ダブルバーレル)」は避け、適切に分割して改善点を明確にしましょう。「満足していないわけではない」といった否定形の多用も誤回答を招くため、できるだけ肯定文で作成します。「過去1ヶ月間で」など期間や場面を具体的に指定することも、回答のブレを抑えるために有効です。

入力しやすいUIにする(スマホ最適化)

多くのアンケートはスマートフォンから回答されます。長文入力を減らし、画面をタップするだけで完結する選択式の設問を中心にすると、回答完了率が向上します。
プルダウン形式は手間が増えて回答者を疲れさせるため、多用は控えましょう。選択肢が少ない場合は「ラジオボタン」、複数選択なら「チェックボックス」を基本にします。進捗バーの表示や適度なページ分割も有効な離脱対策です。

バイアスを減らす(誘導質問・順序効果)

特定の回答へ誘導する質問文(例:○○は便利なサービスですが満足ですか?)は、データの正確性を損なうため、中立な文章で問いかけます。また、設問の並び順が回答を左右するため、順序効果にも注意が必要です。必要に応じて選択肢をランダム表示したり、テーマごとにブロック化したりして文脈のブレを減らします。丁寧な言葉の選び方(ワーディング)でバイアスを防ぐことが、アンケートの信頼性を高め、質の高いデータを集めるための基本です。

個人情報保護の基本(取得目的・同意・匿名化)

冒頭や末尾に、データの取得目的、利用範囲、問い合わせ先を必ず明示します。情報の扱いを透明にすることで回答者の不安が下がり、回答率が向上します。匿名か非匿名かを明確にし、個人特定につながる情報は最小限にとどめます。特に従業員調査では本音を引き出すために匿名性の担保が必須です。データ共有や外部委託がある場合は、社内での閲覧権限や管理方法といった運用ルールまで明確に定めておきましょう。

20260626_02

アンケート例文・項目サンプル(目的別)

アンケートの目的に応じて、具体的にどのような設問をどのような順番で並べればよいか、よく使われる3つの代表的なサンプルをご紹介します。

商品開発・ブランド認知調査の設問例

新商品の企画や、自社・競合の市場における立ち位置(認知・購入経験)を調べるための構成です。

Q1:次の中から、あなたが知っているブランドをすべてお選びください。(複数回答:MA)
(選択肢例:自社ブランド、競合A社、競合B社、競合C社 ※認知度を測定)
Q2:Q1で選んだブランドのうち、実際に購入(利用)したことがあるものをすべてお選びください。(複数回答:MA)
Q3:あなたが〇〇(商品ジャンル)を購入する際、特に重視するポイントは何ですか?(複数回答:MA ※最大3つまで)
(選択肢例:価格、品質、デザイン、口コミ、信頼性 等)
Q4:これまでにない「〇〇な機能を持った新商品」が発売された場合、購入してみたいと思いますか?(単一回答:SA ※コンセプト受容性)

顧客満足度調査(CS調査)の設問例

既存の商品やサービスに対する評価を把握し、改善点を洗い出すための構成です。

Q1:普段、当社のサービスをどのくらいの頻度で利用していますか?(単一回答:SA)
(選択肢例:毎日、週に2〜3回、月に1回、数ヶ月に1回 など)
Q2:当社のサービスに対する、全体の満足度を教えてください。(単一回答:SA)
(選択肢例:満足、やや満足、どちらともいえない、やや不満、不満 ※総合評価)
Q3:次の各項目について、それぞれの満足度を教えてください。(マトリクス形式 各単一回答:SA)
(項目例:価格、機能・品質、サポート体制)
Q4:その評価をつけた具体的な理由を教えてください。(自由記述:FA)

イベント・セミナー参加者アンケートの設問例

イベント・セミナーの開催直後、参加者の熱量が高いうちに回答してもらい、次回に向けた改善やその後の営業アプローチ(リード育成)につなげるための構成です。

Q1:本日のセミナーに参加された目的を教えてください。(複数回答:MA)
(選択肢例:業務の課題解決のため、最新のトレンドを把握するため、講師に興味があったため 等)
Q2:本日のセミナー全体の満足度はいかがでしたか?(単一回答:SA)
(選択肢例:満足、やや満足、どちらともいえない、やや不満、不満)
Q3:本日の内容で、特に参考になったプログラムを教えてください。(複数回答:MA)
Q4:今後、どのようなテーマのセミナーがあれば参加したいですか?(自由記述:FA※任意回答)

配布・回収方法の選び方

アンケートの実施方法は、対象者の属性や、かけられる予算・期間によって最適なものが異なります。代表的な3つのアプローチについて、それぞれの特徴と選び方の基準を解説します。

Web調査(自社顧客リスト・SNSの活用)

自社で保有している顧客のメールアドレスやLINE公式アカウント、公式SNSのフォロワーに向けてWebアンケートのURLを配信する手法です。
システム利用料のみで実施できることが多く、コストを低く抑えられ、かつ数日〜1週間程度とスピーディーに回収できるのが最大のメリットです。「既存顧客の満足度」や「自社ブランドのファンからの意見」を集めたい場合に最適です。

Web調査(リサーチ会社のアンケートモニター活用)

自社で顧客リストを持っていない場合や、自社を知らない「非顧客(競合のユーザーなど)」のリアルな声を聞きたい場合に、専門のリサーチ会社に委託して実施する手法です。
リサーチ会社が保有する大規模なモニター(パネル)に対して配信を行うため一定の費用はかかりますが、「20代の単身世帯」「特定のアプリを利用している人」など、条件を細かく絞り込んで、短期間で狙い通りの回答数を集めることができるのが強みです。

紙調査・郵送調査

店舗のレジ横やイベント会場での手渡し、あるいは顧客の自宅へ調査票を郵送する手法です。
Webアンケートでは調査しにくいシニア層や、インターネットをあまり利用しない層からも広く意見を集めることができます。また、来店直後の熱量が高い状態で回答してもらいやすいのも強みです。ただし、印刷・郵送コストに加え、回収した用紙のデータを手作業で入力・データ化(パンチング)する時間と費用がかかる点には注意が必要です。

プレテスト(事前テスト)の実施

プレテスト(事前テスト)とは、アンケートの本番実査を開始する前に、実際の調査対象者に近い人や、社内の第三者に対して試験的に回答してもらい、設問の不備や検証漏れをブラッシュアップする工程のことです。プレテストを実施することで、主に以下の2点を確認します。

誤解される設問を見つける

設問文が意図通りに解釈されているかを確認します。特に、業界用語、略語、抽象的な表現、否定形を用いた質問は、回答者によって受け取り方がズレやすいポイントです。プレテストで回答してもらう際、「この質問を読んだとき、どういう意味だと理解したか」をフィードバックしてもらうことで、本番環境での回答エラーを未然に防ぎます。また、「その他」の選択肢が多発する場合は、よく出る回答を選択肢として採用することで、本番の集計が楽になります。

回答時間と離脱ポイントを確認する

実測の回答にかかる時間を計測し、事前に想定していた時間を超過している場合は設問を削減します。特に自由記述が多いと回答時間が延び、回答の質も低下しやすいため、任意回答にするか、選択肢形式への置換を検討します。またスマートフォンの画面での操作性(タップしやすさ、スクロールの長さ)も実機で確認し、ストレスを感じる箇所(離脱ポイント)を本番前に徹底的に排除します。

20260626_03

アンケート作成でよくある失敗事例と対策

アンケートの失敗の多くは、設問のワーディング(言葉の選び方)よりも根本的な設計ミスに起因します。特によくある3つの失敗事例と、その具体的な回避策をご紹介します。

目的が曖昧で集計ができない

・問題点
「とりあえず顧客の声を聞いてみよう」とスタートした結果、設問があちこちに散らばり、集計しても「次に何の施策を打てばいいのか」が何も決められない状態に陥る。

・改善策
調査票の作成前に、調査目的が「何を判断するための調査か」まで具体的にし、評価する指標(KPI)や比較したいデータ、検証したい仮説をあらかじめ明確にしておきます。その後、すべての設問案を作り終えた段階で、「本当にこの設問がなければ判断できないか?」を1つずつ見直し、不要な設問はすべて削ります。

選択肢が偏っていて比較できない

・問題点
選択肢に「その他」や「わからない」がなく、回答者が強制的にどれかを選ばざるを得ない設計になっていたり、自社に都合の良い選択肢ばかりが並んでいたりして、実態を反映していない歪んだデータが仕上がる。

・改善策
選択肢は客観的かつMECE(漏れなく・ダブりなく)に設計し、回答者の選択肢を狭めないよう「その他(具体的に:)」「該当なし」「わからない」を適切に配置します。事前のプレテストで「適切な選択肢がない」というフィードバックが出た場合は、選択肢の網羅性を徹底的に再点検してください。

設問数が多すぎて回答が集まらない

・問題点
社内の各部署からの要望をすべて詰め込んだ結果、設問数が多いアンケートになり、回答者の離脱(未完了)が多発する。最後まで回答したデータも、後半部分が雑な回答になり信頼性が下がる。

・改善策
必須回答項目は「仮説検証にどうしても必要な最小限」に絞り込み、深掘りしたい内容は任意回答にするか、別調査に切り分けます。スマートフォンでの回答を前提とし、実測での想定回答時間が長い場合は、設問を統合・削除してボリュームを調整します。

まとめ

マーケティングリサーチにおいて成果の出るアンケートとは、単に設問を羅列したものではなく、リサーチを企画する側と回答する側の双方において認識のズレがないよう緻密に設計されたものです。 まずは調査目的やターゲットを明確に定義し、設問項目を意思決定に必要な最小限に厳選すること。その上で、回答者の途中離脱を防ぎ、負担を軽減するために、平易なワーディング(言葉選び)や直感的に操作できる画面UIを徹底することが、最終的な回答率とデータ品質の向上に繋がります。

おすすめのコラム

マーケティングコラム

アンケート調査とは?種類やポイント・注意点をわかりやすく解説

「アンケート」とは、そもそもフランス語で「実査活動を伴う調査」という意味ですが、日本では、調査票を使った調査全般を「アンケート」と呼ぶようになり、それが浸透しています。今回は、アンケート調査の種類や進め方など、アンケート調査を実施するための基礎情報を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

回答率が上がる調査票の作り方

インターネット調査でも対面調査でも、アンケート調査を行う際には、必ず調査票を作成します。調査票は、いわば設問リスト。聞きたいことだけをただ何とはなしに羅列したり、それらしい回答を得られそうな設問をただ並べたりしただけでは、「調査票」とは言えません。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

調査票作成で大切なポイントとは?オンライン調査と紙の調査での違い

調査プロジェクトにおいて調査企画から調査票作成までが実は最も重要な段階となります。今回は、調査票作成における基本ポイント、オンライン調査ならではの作成時注意点、紙の調査票に適している調査シーン、紙の調査票作成における注意点を解説しながら、調査票作成の基本についてお話していきたいと思います。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

リッカート尺度とは?メリット・デメリットとアンケートでの分析例

リッカート尺度とは、アンケート調査で広く用いられる測定手法の一つです。「非常に満足」から「全く不満」といった段階的な選択肢を設けることで、回答者の意見や態度を数値化し、定量的な分析を可能にします。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

アンケートの統計・分析|成功に導くためのポイントや分析方法をご紹介!

サービスや商品の問題点を発見し、改善や新たな施策に活かす際に役立つ「アンケート調査」。しかしアンケート調査は、統計の考え方を理解した上で実施・分析しないと、ムダになってしまう恐れがあることをご存知ですか。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

的確なアンケート結果のまとめ方とは?目的別のまとめ方とポイントを解説

社内外で施策に関するアンケート調査を実施しようと考えているものの、アンケート結果をどのようにまとめたら良いか不明な方もいるのではないでしょうか。アンケートの集計・分析は適切な方法を選択して、わかりやすく報告できるよう図表化することが重要です。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード