富裕層の生活レベルは?マーケティングのポイントや事例を解説
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富裕層向けのビジネスを展開するには、富裕層の生活レベルを把握することが重要です。今回は、富裕層の生活レベルとマーケティングのポイントを、具体的な事例とともに紹介します。
富裕層の定義
富裕層の定義は「一定以上の経済力がある」といった意味合いが一般的ですが、明確には定められていません。なお野村総合研究所は、富裕層を次のように定義しています。
・超富裕層:純金融資産保有額5億円以上
・富裕層:純金融資産保有額1億円以上5億円未満
・準富裕層:純金融資産保有額5,000万円以上1億円未満
純金融資産とは、世帯が保有している「金融資産合計額」から、不動産購入のための借入金額などの「負債」を引いたものを指します。ちなみに日本国内における、超富裕層・富裕層・準富裕層の世帯数は以下の通りです。
・超富裕層:11.8万世帯
・富裕層:153.5万世帯
・準富裕層:403.9万世帯

出典:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/20250213_1.html
富裕層の生活レベル
富裕層向けビジネスを展開するには、富裕層がどのような生活を送っているのかを理解することが大切です。そこで、金銭感覚・人間関係・価値観の3つの切り口から、富裕層の生活の特徴を紹介します。
金銭感覚
富裕層は金銭面において、次の2点を意識する方が多いといわれています。
・費用対効果(ROI)を重視
富裕層は消費活動を行う際に、費用対効果(ROI)を重視する傾向にあります。良いといわれているものや流行りのものであっても、自分にとって金額以上の価値があると判断しなければ、なかなか購入に至りません。
・リセールバリューを意識
富裕層はリセールバリューを意識した買い物をすることが多いのも特徴です。高級時計や高級ブランドのバッグ、高級車、不動産など、時間が経過しても大幅に価値が下がらないと思われるもの、あるいは価値が上がる可能性があるものを選びます。

人間関係
富裕層は人間関係においても、特徴的な考えを持つ場合があります。
・クローズドなコミュニティへの所属
人間は価値観や金銭感覚などが似た者同士で集まるものです。富裕層も同様で、そのほかの層とはどうしても価値観や金銭感覚などに違いが出るため、富裕層同士のクローズドなコミュニティに属する傾向にあります。
・初対面の人への警戒
初対面の人を警戒する気持ちは多くの人が持つものですが、富裕層のほうがより警戒心が強いといわれています。富裕層は、資産家や経営者などとして個人情報が表に出ていることも多いためです。執拗な営業や詐欺などに狙われやすいため、初対面の人を簡単に信用しない傾向があります。
・専門家への信頼
富裕層の多くは「餅は餅屋」を理解しています。勉強すればある程度理解できることは多いですが、その道を長く歩んできた専門家のほうが、当然深い知識や経験を持っているものです。
また、さまざまなことを一から勉強していては、どれだけ時間があっても足りません。自分がやるべきことの時間が消費されてしまうため、信頼性の高い専門家を頼ります。

価値観
金銭感覚や人間関係以外にも、多くの富裕層が持つ価値観があります。
・健康と美容への投資
富裕層は健康と美容に投資する方が多いのが特徴です。健康を害してしまうと、仕事上のパフォーマンスが下がるほか、その治療のために時間や収入が削られるリスクがあります。また、身なりは人に与える印象を大きく左右するため、健康的で美しくあることを重視します。
・時間価値の高さへの理解
富裕層は責任の重い立場にあることが多く多忙です。自分の時間価値の高さを理解しているため、職場の近くに住む、秘書を雇うなど、時間を短縮できる商品やサービスを積極的に利用する傾向にあります。
・人生を豊かにする趣味の充実
富裕層は人生や心を満たし、豊かにする趣味を充実させる方が多いという特徴もあります。美術品やワインの収集など、投資も兼ねた趣味を持つ方もいます。
富裕層に効果的なマーケティング施策
次に、富裕層の生活上の特徴を踏まえ、具体的なマーケティング施策を紹介します。
オフライン広告の活用
最近はインターネット広告が主流になってきていますが、富裕層向けマーケティングにおいてはオフライン広告も有効です。
・タクシー広告
富裕層はタクシー利用率が高く、長時間乗ることも多いため、タクシー広告が効果的です。タクシーは個室的な空間なので、広告に集中しやすいというメリットもあります。
・ゴルフ広告
趣味のひとつとしてゴルフを楽しむ富裕層が多いので、ゴルフ広告も選択肢のひとつに入ります。ゴルフカートやクラブハウスで広告を流すだけでなく、試供品を配布するのも良いでしょう。
・マンションサイネージ広告
マンションに出入りするたびに目に入るマンションサイネージ広告は、印象に残りやすいのがメリットです。富裕層向けの高級マンションはポスティング不可のケースが多いため、紙媒体よりもサイネージ広告が向いています。
・トイレサイネージ広告
トイレは非常にプライベートな空間であり広告が目に入りやすいため、富裕層向けのマーケティングにも有効です。

富裕層向けメディアへの露出
雑誌やWebメディアなど、富裕層をターゲットとしたメディアが存在します。購読者や閲覧者が富裕層に絞られているため、富裕層向けメディアに広告を出稿すれば、効果的な情報伝達を実現できます。
富裕層向けサービスとのコラボレーション
富裕層の信頼を得ている企業やブランドとのコラボレーションは、自社の製品やサービスの信頼性を高め、新たな顧客層へのリーチを可能にします。
高級レストラン・ホテルでのコラボイベントや、高級腕時計・高級車とのコラボレーション販売などさまざまな方法があるため、自社の製品やサービスと合う方法を考えましょう。
富裕層マーケティングのポイント
ここでは、富裕層向けのマーケティング施策を実行する上で、押さえておきたいポイントを解説します。
長期的な信頼関係の構築
富裕層は信頼できる友人・知人の口コミや紹介、専門家の意見などを重んじる傾向にあります。そのため積極的な営業よりも、信頼性の高い情報源や口コミを活かしたマーケティング施策が有効です。
また、長期的な信頼関係を築くことで選ばれやすくなるため、購入前はもちろん購入後もこまめにフォローアップし、信頼関係を築くことが重要です。
パーソナライズされた体験
富裕層はありふれたサービスではなく、個別のニーズや好みに合わせたサービスを求めています。広く浅く情報提供するよりも、ターゲットを限定して特別感のある情報や体験を提供し、顧客満足度を高めましょう。専任担当者を付け、コンシェルジュのように対応するのも有効です。
ブランドストーリーの発信
富裕層は、製品やサービスが誕生するまでの歴史や生産者のこだわりなどに注目します。製品やサービスの背景にあるストーリーを伝え、どのような価値や魅力があるのかを知ってもらうことも大切です。
関連記事:「ストーリーマーケティングとは?成功の秘訣や事例をご紹介」
富裕層向けビジネスモデル・マーケティング事例
続いて、富裕層向けビジネスモデル・マーケティング事例を4つ紹介します。
事例1|高級外車のサービス
高級車メーカーは、富裕層向けに限定モデルやカスタマイズサービスを提供しています。また、サーキットイベントや試乗会といった特別な体験を提供することで、顧客のロイヤリティを高めています。
事例2|百貨店の外商サービス
富裕層向けのサービスとして、百貨店の外商サービスを思い浮かべる方は多いでしょう。外商サービスでは、顧客ごとに専任担当者が付くのが特徴です。そして、顧客の要望に合った商品を提案したり特別なイベントに招待したりと、きめ細やかに対応します。
事例3|会員制の宿泊サービス
高級旅館・ホテルでは、富裕層向けの会員限定サービスが用意されていることがあります。希望したときにいつでも宿泊できる権利のほか、コンシェルジュや特別なイベントへの招待などのサービスがあり、富裕層が求める体験にマッチしたサービスといえます。
事例4|金融機関の限定サービス
プライベートバンクも、富裕層向けサービスとして聞いたことがある方が多いでしょう。ただ単に資産を管理するだけでなく、資産運用や保険、不動産などの金融商品全般を取り扱い、お金のコンサルタントやパートナーとして働きます。
まとめ
富裕層は富裕層ならではの価値観や金銭感覚を持っています。富裕層向けのビジネスを展開するなら、そうした富裕層の生活レベルや求めるものを理解することが重要です。
また、富裕層は信頼関係を重視しており、見知らぬ企業の担当者がいきなり営業に行っても、なかなか対応してもらえません。まずは自社の製品やサービスの信頼度を高めることも意識しましょう。
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