市場調査とは?目的・手法と進め方のコツを解説
勘や経験に頼らない意思決定の基盤となる「市場調査」。本記事では、市場調査の目的から定量・定性調査などの具体的な手法、成功を導くための進め方や活用事例まで、ビジネスの成長に不可欠な実践的ノウハウをわかりやすく解説します。
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市場調査の目的と役割
数字に基づいて市場の実態を把握し、意思決定のリスクを減らす仕組みがわかります。
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定量調査・定性調査の違いと使い分け
ネットリサーチ(Webアンケート調査)とインタビュー、それぞれの向き・不向きが整理できます。
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調査を成果につなげる7つのステップ
目的設定から施策への落とし込みまで、失敗しない進め方がわかります。
市場調査とは
市場調査とは、数字や数値をもとに現在の市場を把握し、マーケティング施策(製品を売るための具体的な作戦)を立てるための活動です。
企業はこの調査を通じて、新製品開発やマーケティング戦略の立案に必要な情報を得ています。
調査手法にはネットリサーチやインタビュー調査、覆面調査などがあり、目的に応じて使い分けられます。市場調査は、企業の意思決定を支える土台と言えます。
市場調査の目的・役割
市場調査の主な目的は、市場規模や消費者の購買行動、競合の動向といった「マーケットの実態」を客観的なデータで正確に把握することです。消費者ニーズの多様化や競合の変化スピードが増す中、勘や経験だけに頼った経営判断はリスクを高めます。市場調査によって課題の所在が明確になり、効果的なマーケティング戦略や戦術の策定に直結します。以下では、市場調査が果たす4つの具体的な役割を紹介します。
市場調査が果たす役割は、商品開発から経営判断まで多岐にわたります。
第一に、新商品・サービスの開発と改善です。潜在的な顧客ニーズや競合製品の動向を把握することで、コンセプト策定の精度が上がり、開発の失敗コストを抑えられます。例えば、既存商品のリニューアル前に顧客アンケートを行えば、改善すべき点を的確に絞り込めます。
第二に、戦略的ポジショニングと差別化です。自社の強み・弱み、競合のシェアや戦略を客観的に分析することで、市場における自社の立ち位置を見直し、独自の差別化戦略を見出せます。
第三に、マーケティング施策の最適化です。ターゲット層の関心や行動を可視化することで、広告メッセージの設計や媒体選定、価格設定、販売チャネルの選択がしやすくなります。
第四に、意思決定とリスク軽減です。新規市場への参入可否から事業戦略の見直しまで、重要な経営判断に客観的な根拠を与え、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善を繰り返す業務改善の手法)を迅速に回す基盤となります。このように市場調査は、企画・戦略・実行のあらゆる場面で意思決定の精度を高める役割を担っています。
市場調査とマーケティングリサーチの違い
市場調査とマーケティングリサーチは混同されやすいですが、厳密には意味合いが異なります。市場調査は「過去から現在までの数値的な市場動向を捉えること」を指し、市場全体の規模や競合の存在といった外部環境の把握に重点を置きます。BtoBの産業調査やデスクリサーチ(既存の文献・データを収集して分析する調査手法)を中心に行われるのが一般的です。
一方、マーケティングリサーチは「現在の動向を踏まえて未来の市場動向を予測・考察すること」を含む概念です。特定の商品やサービスに関する戦略・戦術の策定を目的とし、BtoCの生活者調査が中心になる傾向があります。ただし実務上は明確な線引きがなく、両者が同じ意味で使われるケースも少なくありません。用語の違いよりも、自社が「何を明らかにしたいか」を軸に調査設計を考えることが実務では役立ちます。
市場調査の手法・種類
市場調査の手法は、大きく「定量調査」と「定性調査」の2種類に分けられます。定量調査は数値で全体傾向を捉える調査、定性調査は数値化しにくい感情や背景を深掘りする調査です。両者は得意分野が異なるため、目的に応じて組み合わせて使うと効果的です。
定量調査
定量調査は、数値や割合として表せるデータを収集・分析する手法です。ネットリサーチがその代表例にあたります。大人数を対象に実施することで、全体の傾向や属性別の違いを統計的かつ客観的に把握でき、仮説の検証や市場規模の推定に役立ちます。結果をグラフや表で可視化しやすいため、社内の意思決定資料としても説得力を持たせやすい点がメリットです。一方で、回答者がなぜその選択をしたのかという深い理由までは掴みにくいという限界もあります。
| 調査手法 | 概要・特徴 |
|---|---|
| ネットリサーチ(インターネットリサーチ、Webアンケート調査) | インターネット上で行うアンケート調査です。対象条件に合うパネルにWeb上で回答してもらい、認知度や利用実態を把握します。低コストかつスピーディに大量のデータを収集できるのが特徴です。 |
| 会場調査 | 特定の会場に対象者を集めて行う調査です。売り場を再現したり、テレビCMを視聴してもらったりできます。商品を実際に試飲・試食してもらい、感想やCMの評価を調査します。 |
定性調査
定性調査は、数値では捉えきれない対象者の感情や思考、行動の背景を深掘りする調査手法です。グループインタビューや1対1のデプスインタビューなどが用いられます。表面には現れにくい潜在的なニーズ(インサイト)を発見しやすく、新商品開発の初期段階で新たな仮説を構築する際に活用されます。ただし、サンプル数が少ないため統計的な裏付けには向かず、回答の分析には担当者の経験やスキルが求められます。
| 調査手法 | 概要・特徴 |
|---|---|
| グループインタビュー(FGI:Focus Group Interview) | 6~8人を1グループとし、モデレーターの進行のもとディスカッション形式で行う調査です。参加者同士の発言が刺激となって議論が活発化しやすく、表情や声色から消費者の本音を引き出しやすいのが特徴です。 |
| デプスインタビュー(IDI:In-Depth Interview) | モデレーターと調査対象者が1対1で行う面接形式の調査です。他の参加者がいないため、人前で話しづらいセンシティブな内容にも踏み込みやすく、個人の行動動機や心理を深く掘り下げられるのが特徴です。 |
定量調査と定性調査は、いわば「森を見る調査」と「木を見る調査」の関係にあります。全体の傾向という森を定量調査で捉え、個々の顧客心理という木を定性調査で掘り下げることで、より解像度の高い顧客理解につながります。
市場調査の流れ・進め方
市場調査を成果につなげるには、目的設定から施策への落とし込みまでの一連の流れを押さえておくことが欠かせません。ここでは、実務で使える7つのステップを順番に解説します。
1.目的・ゴールを明確に定める
調査を始める第一歩は、「この調査を通じて何を明らかにし、どのような意思決定に役立てたいのか」という目的を明確に設定することです。目的が曖昧なまま調査を始めると、収集したデータが実務で活用されず、時間とコストが無駄になるリスクがあります。例えば「新商品の価格帯を決めたい」など、後続の意思決定に直結する形で目的を言語化しておくと、調査全体の精度が上がります。
2.期間・予算・調査ターゲットを決定する
調査の目的に合わせて、実施時期や規模、予算を計画します。あわせて、どのような情報を誰から収集するか、対象者の属性(年齢、性別など)を具体的に絞り込むことで、精度の高いデータを取得しやすくなります。予算の制約がある場合は、ネットリサーチなど比較的低コストな手法から検討すると、無理のない範囲で調査を始められます。
3.過去の調査情報を収集する
新たに調査を実施する前に、官公庁の統計資料や業界団体のレポート、企業のIR情報など、既存の情報を収集するデスクリサーチを行います。事前情報を整理しておくことで、より効果的な仮説構築や予備調査に役立ちます。すでに公開されているデータで説明できる部分は新規調査から省けるため、調査コストの削減にもつながります。
4.調査の手法を決める
目的に応じて、ネットリサーチなどの定量調査やインタビューなどの定性調査を選択します。両者を組み合わせ、全体の傾向を把握したうえで深層心理を深掘りするハイブリッド型の調査も有効です。例えば、まず定量調査で「利用者が離脱するタイミング」を特定し、その後デプスインタビューで離脱理由を深掘りする、という進め方が考えられます。
5.調査を設計する
5W1H(誰に、何を、いつ、どこで、なぜ、どのように)のフレームワークを活用し、質問項目に抜け漏れがないように調査票を構成します。回答者が意図を誤解しないよう、平易で答えやすい質問設計を心がけることが大切です。専門用語を多用した設問は回答の質を下げる原因になるため、社内の非専門部署にも読んでもらい、わかりやすさを確認しておくと安心です。
6.調査を実施する
設計通りに調査が進行するよう体制を整え、実査を行います。オンライン調査の場合は回答期限の設定やリマインドを実施し、無効データや途中離脱の状況を把握しながら、質の高いデータを確保します。実査中に想定外の離脱率が見られた場合は、設問数や質問の言い回しを見直す判断も必要になります。
7.結果の集計・アクションを検討する
収集したデータを集計し、当初の目的や仮説に沿って分析を行います。単に結果を報告書にまとめるだけでなく、「次に何をすべきか」という具体的なマーケティング施策や商品開発のアクションへつなげることが、調査を成功させる最大のポイントです。分析結果を関係部署に共有する際は、数値だけでなく「この数値から何をすべきか」まで添えて報告すると、施策への反映がスムーズになります。
市場調査のコツ・ポイントと注意点
市場調査を成功に導くには、目的の明確化、対象者・設問の設計、施策への接続という3つのポイントを押さえておくことが有効です。ここでは、それぞれの具体的な注意点を解説します。
調査の目的と仮説を明確にする
市場調査を成功させる最大のポイントは、調査前に「何を知りたくて、どのような意思決定に役立てたいのか」という目的を明確にすることです。目的が曖昧なまま「とりあえず広く聞いてみよう」と調査を行うと、収集したデータが抽象的になり、実務で活用されないまま終わるリスクがあります。あわせて具体的な「仮説」を立てることも重要なコツです。事前の仮説があることで検証すべき情報が明確になり、より効率的かつ的確に調査結果を得られます。
適切な対象者の選定と回答者目線での設問設計
特定の属性に偏った対象者を選定してしまうと「選択バイアス」が発生し、結果に歪みが生じる点に注意が必要です。誰の声が最も価値を持つかを考え、条件を具体的に絞り込んで適切な対象者を設定することが欠かせません。あわせて、調査票を作成する際は調査対象者の目線に立つ工夫も必要です。1つの設問に複数の要素を含めると回答者が混乱し、正しいデータが得られなくなります。「どちらともいえない」など中立的な立場を選べる選択肢を用意し、回答へのバイアスを防ぐ設計を心がけましょう。さらに、設問数が多すぎると回答の質が低下するため、コンパクトにまとめることも意識してください。
分析結果を具体的なアクション(施策)へつなげる
データを集計しただけで報告書にまとめ、次のアクションにつながらないケースはよくある失敗例です。得られた情報が意思決定を支える「使えるデータ」となるよう、分析結果を具体的な施策に反映させる体制を事前に整えておく必要があります。数値をまとめるだけでなく、調査結果から「何がわかり、次に何をすべきか」という具体的なマーケティング施策や商品開発のアクションへと落とし込む姿勢が求められます。調査の企画段階で「この結果が出たらどう動くか」を仮に決めておくと、集計後の意思決定がスムーズになります。
市場調査の活用事例
三菱食品株式会社様では、コロナ禍による生活様式の変化を具体的に捉えるため、「生活全般」「食卓調理」「購買行動」の3領域を中心に市場調査を実施しています。定量調査(ネットリサーチ)で仮説を検証した後、回答者に対して定性調査(インタビュー)で深掘りする手法を年2〜3回継続し、包括的な生活者の理解を進めています。この調査データを活用した展示会のパネル展示は来場者から好評を得ており、資料配信依頼で全コーナー中1位を獲得するなどの成果を上げています。定量調査と定性調査を継続的に組み合わせる姿勢は、他社が調査設計を検討する際の参考になります。
詳細:4年間の定量・定性調査を掛け合わせて見えた生活者の本質
市場調査会社の比較ポイント
市場調査を外部に委託する場合は、得意領域・提案の柔軟性・レポートの質・費用対効果の4点で比較・検討することが実務上のポイントになります。以下、それぞれの観点を解説します。
得意領域と専門性
調査会社には「ネットリサーチ特化型」「BtoB特化型」「海外調査に強い」など様々なタイプがあります。自社の目的や業界に合った実績と専門性を持っているかを確認しておくと、依頼後のミスマッチを防げます。
提案の柔軟性
決まったフォーマットでの対応にとどまらず、自社の目的や課題に応じて調査手法や設問設計を柔軟に提案してくれる調査会社を選ぶと、より実践的な調査が可能になります。
レポートの質と活用提案
調査結果を単なるグラフや数値の報告で終わらせず、そこから導かれる示唆やビジネスの意思決定に踏み込んだ提案まで行ってくれるかどうかが、調査の価値を大きく左右します。
費用対効果と見積もりの内訳
見積もりを確認する際は総額だけでなく、調査設計の有無、対象者数、配信手段、クロス集計などの高度な分析が含まれているかなど、内訳を細かく確認し、費用と内容のバランスを見極めることが大切です。
市場調査に対応しているおすすめのリサーチ会社は下記をご覧ください。
詳細:アンケート調査会社とは?:調査会社おすすめ比較7選!失敗しない選び方と強みを徹底解説
まとめ
市場調査は、変化の激しい市場の実態を正確に捉え、データに基づく的確な意思決定を行うために欠かせないプロセスです。
定量調査で全体傾向を掴み、定性調査で深層心理を探るなど、目的に応じた手法の選択と組み合わせが重要になります。事前に目的と仮説を明確にし、得られたデータを具体的な施策へ落とし込むことで、調査をビジネスの成長へ確実につなげられるはずです。
