作業時間が半分以下に!Excel集計から脱却し、データを「活かす」観光戦略へ
秋田県北部エリアの観光地域づくり法人(DMO)として、データに基づく戦略的な誘客促進や、地域の魅力発信を行う秋田犬ツーリズム様。同団体では、来訪者向けアンケートで集めたデータをExcelで集計していましたが、データ加工やグラフ作成に膨大な時間を要し、更新のたびに発生する手作業が大きな負担となっていました。
こうした状況を改善すべく、導入に踏み切ったのが膨大なデータを収集・分析・可視化できるBIツール「Power BI」です。今回は、導入の背景や成果について、事務局長の櫻井様にお話をうかがいました。
ご相談企業様のご紹介
- 一般社団法人秋田犬ツーリズムは、秋田県北部の4市町村(大館市、北秋田市、小坂町、上小阿仁村)にて観光による地域づくりを担うDMOです。
データに基づく戦略・マーケティングを基に「自然」「文化」「食」などの多様な観光資源を磨き上げ、国内外にその魅力を発信することで持続可能な観光地域づくりを推進しています。
プロジェクト概要
課題
・GoogleフォームのアンケートデータをExcelで手作業集計しており、工数が膨大だった・BIツールを独学で試したが、データモデルの構築ができず動作が重くなり、運用に行き詰まった
取り組み
・2年分のアンケートデータのクリーニングおよびPower BIによるレポート構築・自社で更新・運用ができるよう、マニュアル作成を含めた段階的なレクチャーを実施
効果
・集計・レポート作成にかかる工数を従来の半分以下に削減・単純作業から解放され、分析や戦略立案といった本来の業務に時間を割けるようになった
・地域事業者へ、より多角的で詳細なフィードバックが可能になった
Interview
独学でのBI構築で直面したアンケートデータの「壁」
――BIツールの導入を検討された背景についてお聞かせください。
櫻井 謙介様(以下、櫻井様) 私たちは、秋田県北部地域を訪れた観光客を対象に、属性や満足度、消費動向などを探るWebアンケート(Googleフォーム)を実施しています。このアンケートデータは、私たちの戦略立案の基礎となるだけでなく、協力いただいた観光施設や事業者様へのフィードバック、さらにはWeb広告の訴求内容の選定などにも活用できる重要な資産です。
しかし、これまでは集計作業をすべてExcelで行っていました。設問ごとに集計し、グラフを作成して……という作業を繰り返すのですが、これに膨大な時間がかかっていました。「条件を少し変えて見たい」と考えるたびに、最初から作業をやり直さなければなりません。本来時間を割くべき「分析」よりも「集計作業」に追われている状態でした。
――ご自身でもBIツールの導入を試みられたそうですね。
櫻井様 はい。なんとか効率化をしたくて、独学でBIツールを触ってみました。最初は「Googleフォームのデータに繋げれば、すぐに動くだろう」と簡単に考えていたのですが、うまくいきませんでした。
表面的な可視化はできましたが、データモデル設計が適切でなかったことから非常に動作が重くなってしまったのです。YouTubeや海外のサイトまで調べて解決策を探しましたが、アンケート集計に特化した情報はほとんど見つからず、「これはプロに頼まないと無理だ」と痛感しました。
決め手は「調査データへの深い理解」。伴走型支援で実現した“自走”への道
――数あるベンダーの中で、クロス・マーケティングにご相談いただいた理由は何だったのでしょうか。
櫻井様 「調査データのBI化実績」と「内製化支援」の2つの点に魅力を感じたからです。
ツールの導入支援だけでなく、「アンケート調査」そのものを深く理解しているかどうかが重要でした。クロス・マーケティングはリサーチ会社としての実績があり、アンケート特有のデータの扱い方まで含めて相談できる点が、他のベンダーにはない安心感につながりました。
また、私たちは単にレポートを作ってほしいわけではなく、将来的に自分たちで運用できるようになりたいと考えていました。最初の提案段階で、私たちの課題を的確に汲み取り、内製化までのサポートを明確に示していただいたことが決定打でした。
――実際のプロジェクト進行において、印象に残っている工程はありますか。
櫻井様 特に「加工処理フロー」や「データモデル構築」の工程が印象に残っています。
動作のスピードや分析の効率化のための基礎設計の大切さを痛感しました。学生時代に少しSPSS(統計解析ソフト)を使用したことがあり、データの基礎知識はありました。
しかし、BIでのデータモデル構築はそれとは全く別物で、プロによる精緻で「マニアック」とも言えるほどの基礎設計を目の当たりにし、動作の軽快さや分析のしやすさはここから生まれるのかと、まさに目から鱗が落ちる思いでした。
――「データクリーニング」についても、以前から課題を感じていたとお聞きしました。
櫻井様 はい。以前はアンケート集計を外部委託していた時期もありましたが、データのクリーニングが不十分なまま納品されることもあり、結局自分たちで修正作業を行うなど、根本的な解決に至らないもどかしさがありました。
今回は2年分の膨大なアンケートデータをお渡ししましたが、クロス・マーケティングには非常に綺麗な加工処理フローを構築していただきました。
「このフローに沿えば、来年以降のデータも自分たちでスムーズに整えられる」という明確な仕組みを提示していただけたことで、独学で感じていた運用への不安が一気に解消されました。
――内製化に向けた「レクチャー」はいかがでしたか?
櫻井様 非常に丁寧でした。ツールの基本的な使い方から始まり、今回構築したレポートの修正方法、そして来年度のデータ更新手順まで、段階を追って教えていただけました。
特に、顧客満足度を分析するためのCSポートフォリオのグラフも、Power BIの基本機能では難しいところを工夫して再現いただき、大変感謝しています。テーマカラーの設定など、細かい部分まで修正して対応してくださるなど、終始親身に伴走していただきました。詳細なマニュアルもいただいたので、「これなら自分たちでも回していける」という安心感を持って進められています。
集計工数を半分以下に削減。「作業」から解放され、本来すべき「分析」へ
――Power BI導入によって、どのような効果が得られましたか。
櫻井様 集計・レポート作成にかかる工数は従来の半分以下になったと感じています。これまでExcelに費やしていた時間が削減されたことで、より深い分析や戦略立案といった本来の業務に集中できるようになりました。
また、これまでは時間の制約上、協力いただいた事業者様へのフィードバックが「全体の結果報告」にとどまってしまい、「これだけしか出せず、申し訳ない」という悔しい思いがありました。しかし今後は、事業者様それぞれの細かいニーズに対応し、より多角的な分析を加えたレポートを提供できるかと思います。
ビッグデータ連携で「根拠ある」観光戦略へ。信頼できる伴走者との出会い
――今後のデータの活用方針についてお聞かせください。
櫻井様 今後は、来訪者アンケートデータに加え、人流データや宿泊統計などのビッグデータも組み合わせた分析を行っていきたいと考えています。DMOとして、根拠のあるデータに基づいて地域の観光戦略を推進していきたいですね。
そのためにも、クロス・マーケティングには、新たな調査設計や分析視点についても、引き続き相談させていただきたいと思っています。
――最後に、同じような課題を抱えている企業担当者様へメッセージをお願いします。
櫻井様 「データ活用」や「プラットフォーム構築」と聞くと、つい大規模な予算や労力が必要なものと身構えてしまうかもしれません。しかし、まずはBIツールを導入するだけでも、業務の効率と分析の質は驚くほど向上します。
特に、私たちと同じように「根拠に基づいた意思決定をしたい」「自社の手でデータを動かしたい」という想いがある方にこそ、実はこれほど手軽に第一歩を踏み出せるのだということを知っていただきたいですね。
単にツールを導入するだけでなく、データの整え方から運用まで、隣で並走してくれるプロのパートナーがいれば、内製化は決して高い壁ではないと感じました。手始めにBIツールの導入・活用からスタートすることで、大きな変化に繋がっていくはずです。







