インサイトスコープ

機能・価格競争から抜け出す~自社らしい「次の顧客体験」を定義する方法~

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堀 好伸
株式会社クロス・マーケティング
コンサルティング本部 シニアコンサルタント

堀 好伸

生活者のインサイトを得るための共創コミュニティのデザイン・運営を主たる領域とする生活者と企業を結ぶファシリテーターとして活動。
生活者からのインサイトを活用したアイディエーションを行い様々な企業の戦略マーケティング業務に携わる。
「若者」や「シミュレーション消費」を主なテーマに社内外でセミナー講演の他、TV、新聞などメディアでも解説する。
著書に「若者はなぜモノを買わないのか」(青春出版社)、最近のメディア出演「首都圏情報 ネタドリ!」(NNK総合)、「プロのプロセスーアンケートの作り方」(Eテレ:https://www.nhk.or.jp/school/sougou/active10_process

競合が新機能を追加すれば、自社も機能を増やす。
他社が値下げをすれば、価格の見直しを迫られる。
改善を重ねているはずなのに、違いはすぐに縮まり、また次の打ち手を考えなければならない。


新商品・新サービスの企画現場では、このような消耗戦が起こりがちです。
機能や価格は、商品を選ぶうえで重要です。しかし、競合が追随しやすい要素でもあるため、それだけでは長く選ばれ続ける理由になりにくいという限界があります。

機能・価格競争から抜け出すには、「商品に何を追加するか」ではなく、「生活者にどのような体験を届けるか」へ、企画の起点を切り替える必要があります。

1.機能ではなく、「使った先の状態」を考える

例えば「操作が簡単」という機能を考えたとき、そこで検討を終えると、ボタン数や画面数といった仕様の話にとどまります。

一方で、その機能が使われる場面まで考えると、意味は変わります。

「忙しい移動中に使うのか」
「仕事と家事の合間に使うのか」
「判断に迷っているときに使うのか」

さらに、その先で生活者が求めている状態を考えます。

「短い時間でも迷わず使える」
「自分のペースを崩さずに済む」
「自分に合った選択ができる」

このように、機能を利用場面と結びつけ、そこで得られる気持ちや状態まで捉えることで、機能は顧客体験へと翻訳されます。

concept_discovery_20

2.現在の不満ではなく、「次の変化」を起点にする

顧客の不満を解消することは大切ですが、現在の不満だけを追うと、企画は既存商品の改善に寄りやすくなります。
次の商品を考えるときに必要なのは、現在の生活者に表れている変化が、3〜5年後にどのような新習慣や新常識につながるのかを捉えることです。

時間の使い方、人との関わり方、商品が使われる場面、選択の基準。こうした変化を読み解き、その未来において生活者が「どうありたいのか」を考えます。
未来を正確に当てるのではなく、複数の根拠から実現可能な変化の仮説を描くことが、「次の顧客体験」を定義する出発点になります。

concept_discovery_21

3.顧客体験に「自社らしさ」を掛け合わせる

顧客体験を考えるだけでは、まだ十分ではありません。
「便利に使える」「安心できる」「自分らしく過ごせる」といった価値は、多くの企業が掲げられるためです。
そこで必要になるのが、自社の技術、ブランド、データ、顧客接点、販売網、パートナーなどとの掛け合わせです。

生活者の次のニーズ
×
自社の強み・資産

自社らしい顧客体験

この順序で整理すると、「生活者が求めているから」だけでも、「自社に技術があるから」だけでもない、双方が接続したコンセプトになります。

重要なのは、「自社だから何をつくれるか」ではなく、「自社だから、生活者にどのような体験を届けられるか」と問い直すことです。

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4.「なぜ今、この体験なのか」を説明できる状態へ

新しいコンセプトを社内で前に進めるには、魅力的なアイデアだけでなく、根拠も必要です。

「生活者の価値観がどのように変化しているのか」
「新しい行動がなぜ広がる可能性があるのか」
「その行動の奥に、どのような理想の体験があるのか」
「そして、その体験を自社がどう実現できるのか」

これらを一つの流れとして整理することで、「なぜ今、この顧客体験を提供するのか」を説明しやすくなります。

Concept Discoveryでは、生活者を取り巻く変化の仮説構築から、提供すべき顧客体験の定義、自社の技術・資産との統合、コンセプト案の策定までを伴走しながら支援します。

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機能・価格競争から抜け出す第一歩は、今の商品に何を足すかではありません。
これからの生活者にどのような時間や気持ちを届けたいのかを定め、その体験を自社の強みで実現することです。

 

 

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