SD法とリッカート法の違いと使い分け
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SD法とリッカート法の違いと使い分け
対立する形容詞対で評価するSD法と設問への同意度で捉えるリッカート法の定義の違いや、評価対象・目的に応じた適切な手法の選び方を理解できます。
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SD法のアンケート設計手順とポイント
形容詞対の選定基準から、一般的な5〜7段階の尺度設計、10〜30項目を目安とする設問数の決め方まで、回答負荷を抑える設計手順を把握できます。
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集計データの基本分析手法と活用事例
プロフィール分析や因子分析などのデータ解析方法と、UX調査やマーケティング施策へ応用する際の具体的な役割が分かります。
【あわせて読みたい】リッカート尺度についてさらに詳しく知りたい方は「リッカート尺度とは?メリット・デメリットとアンケートでの分析例」をご覧ください。また、収集したデータの集計や具体的な分析アプローチについて確認したい方は「アンケートの統計・分析|成功に導くためのポイントや分析方法をご紹介!」もおすすめです。
SD法(意味差尺度)とリッカート法(リッカート尺度)は、アンケートで回答者の印象や態度を定量的に把握する代表的な評価手法です。どちらも多段階尺度を用いますが、質問形式や測定できる内容、適した調査目的が異なります。本記事では、SD法とリッカート法の定義や違い、それぞれの特徴を整理した上で、目的に応じた使い分けや、SD法の設計手順、基本的な分析方法について、UX調査やマーケティングリサーチの実務を踏まえて解説します。
SD法(意味差尺度)とは
SD法(意味差尺度)とは、対立する形容詞対のどちらに近い印象を持つかを多段階で評価し、対象に対する印象やイメージを測定する調査手法です。
例えば、「信頼できる―信頼できない」「親しみやすい―親しみにくい」のように、反対の意味を持つ形容詞を両端に配置し、その間を5~7段階程度で評価してもらいます。ブランドや商品、広告、UI、店舗体験など幅広い対象に活用されており、言葉だけでは表現しにくい印象を数値化して比較できることが特徴です。
SD法で把握できるのは、対象に対する印象の位置づけです。「良い・悪い」といった単純な評価だけでなく、「先進的―保守的」「シンプル―複雑な」など、複数の視点からイメージを捉えられるため、改善点の把握や競合との差別化を検討する場面に適しています。
一方で、形容詞対の選び方によって回答結果が左右されやすい点には注意が必要です。意味が曖昧な言葉や、対立関係が明確でない組み合わせでは回答がばらつき、分析結果の信頼性が低下する可能性があります。そのため、SD法では質問文だけでなく、形容詞対を適切に設計することが重要です。

リッカート法(リッカート尺度)とは
リッカート法(リッカート尺度)とは、設問文に対する回答者の同意度を多段階で評価し、態度や評価の強さを測定する調査手法です。
例えば、「このサービスは使いやすいと思う」「このブランドを友人に勧めたい」といった設問に対し、「非常にそう思う」から「まったくそう思わない」までの段階で回答してもらいます。満足度や利用意向、価値観などを定量的に把握しやすく、回答結果を比較・分析しやすいことが特徴です。
実務では、複数の設問を組み合わせて評価するケースが一般的です。例えば使いやすさを測定する場合は、「操作は簡単だ」「迷わず目的を達成できた」など、関連する設問を複数設定し、平均値や合計点を指標として評価します。複数項目を組み合わせることで、回答のばらつきを抑え、より安定した評価につながります。
一方で、リッカート法は「同意しやすい回答を選ぶ傾向(黙従傾向)」や、社会的に望ましい回答を選ぶ傾向の影響を受けることがあります。そのため、回答を誘導しない中立的な設問文を作成するとともに、回答者が判断できるだけの前提情報を示すことが重要です。
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SD法とリッカート法の共通点と違い
SD法とリッカート法は、どちらも回答を多段階で数値化する調査手法ですが、質問形式や測定する内容が異なります。SD法は対象への印象やイメージを測定するのに適しており、リッカート法は態度や評価の強さを測定するのに適しています。
共通点は、どちらも多段階の選択肢を用いて回答を収集し、平均値や傾向を比較しやすいことです。例えば、A案とB案の評価を比較したり、改善施策の実施前後で変化を確認したりするなど、意思決定に活用しやすいデータを得られます。
一方、両者の大きな違いは質問形式です。SD法は対立する形容詞対の間で回答してもらうことで、対象の印象を多面的に捉えます。一方のリッカート法は、設問文に対する同意度を尋ねることで、態度や考え方を把握します。そのため、ブランドイメージやコンセプト評価にはSD法、満足度や利用意向などの測定にはリッカート法が適しています。
設計や分析で注意すべき点も異なります。SD法は形容詞対の選び方によって回答結果が大きく左右されるため、適切な言葉を選定することが重要です。一方、リッカート法は設問文の表現や回答順序によるバイアスが生じやすく、否定文を含む設問では逆転項目の扱いにも注意が必要です。
| 項目 | SD法 | リッカート法 |
|---|---|---|
| 測定対象 | 印象・イメージ | 態度・評価 |
| 質問形式 | 形容詞対 | 設問文への同意度 |
| 主な用途 | ブランドイメージ、UX評価 | 満足度、利用意向 |
| 向いている調査 | 探索・比較 | 評価・効果測定 |
測定対象
質問形式
主な用途
向いている調査
測定対象
質問形式
主な用途
向いている調査
どちらを使うべきか:調査目的別の選び方
SD法とリッカート法は、調査で明らかにしたい内容によって使い分けることが重要です。印象やイメージを把握したい場合はSD法、態度や評価の強さを測定したい場合はリッカート法が適しています。
例えば、ブランドの方向性を検討したい場合や、競合との差別化要因を把握したい場合にはSD法が向いています。「先進的―保守的」「高級―大衆的」といった尺度を用いることで、ブランドやコンセプトがどのような印象を持たれているのかを可視化できます。
一方、機能やサービスに対する満足度、利用意向、推奨意向などを定量的に測定したい場合はリッカート法が適しています。同じ設問を継続的に実施しやすいため、改善施策の効果検証や時系列での変化を追跡する用途にも向いています。
どちらを選ぶべきか迷う場合は、調査結果をどのような意思決定に活用したいかを基準に考えると判断しやすくなります。例えば、「どのような印象を強化すべきか」を明らかにしたい場合はSD法、「どの要素が満足度や利用意向に影響しているか」を把握したい場合はリッカート法が適しています。
また、実務では両者を組み合わせて活用するケースも少なくありません。SD法でブランドやサービスの印象を把握し、その結果を踏まえてリッカート法で重要な評価項目を継続的に測定することで、探索と検証の両方を行いやすくなります。
SD法のアンケート設計手順
SD法では、形容詞対の選定と尺度設計が調査結果の品質を左右します。回答者が迷わず回答でき、分析しやすいデータを得るためには、調査目的に合わせて設問を設計することが重要です。
設問を作成する際は、まず測定したい印象を明確にします。対象が商品なのかサービスなのか、あるいはブランドなのかによって、適切な形容詞対は異なります。また、購入前の期待を評価するのか、利用後の印象を評価するのかといった調査のタイミングによっても、選ぶべき評価軸は変わります。
あわせて、分析で比較したい単位も事前に整理しておきます。コンセプト案を比較するのか、ユーザー属性ごとの差を見るのか、あるいは改善前後を比較するのかによって、必要な設問数や回答負荷は変わるためです。最後に、少人数でもよいのでプレテストを実施し、形容詞対の意味が正しく伝わるか、尺度の向きに混乱がないかを確認します。本調査の前に設問を見直しておくことで、回答のばらつきや分析時の解釈のずれを防ぎやすくなります。

形容詞対の選び方
形容詞対は、測定したい印象を適切に表現できる言葉を選ぶことが重要です。回答者が直感的に判断できる言葉を用いることで、回答のばらつきを抑え、分析しやすいデータを得やすくなります。
まずは、測定対象の印象を表す言葉をできるだけ幅広く洗い出します。ユーザーインタビューで得られた発言やレビュー、SNSの投稿、営業担当やカスタマーサポートに寄せられた声など、実際に使われている表現を参考にすると、回答者にとって理解しやすい形容詞対を設定できます。
次に、意味が明確で、対立関係が成立する形容詞対を選定します。例えば、「高級―安っぽい」は対比しやすい一方、「かっこいい―変な」のように価値判断や好みが含まれる組み合わせは、人によって解釈が異なりやすく、比較軸として適さない場合があります。
また、難しい言葉や文脈によって意味が変わる表現、否定形を含む形容詞対はできるだけ避けます。例えば、「重い―重くない」は「軽い」と同じ意味ではないため、回答者によって解釈が分かれる可能性があります。評価性・活動性・力量性といった観点のバランスも考慮しながら形容詞対を選び、プレテストで理解しやすさや対立関係に問題がないかを確認してから本調査を実施すると、より信頼性の高いデータにつながります。
尺度(段階数・配置・ラベル)の決め方
尺度は、段階数・ラベル・設問の配置を調査目的に合わせて設計することが重要です。回答しやすさと分析のしやすさのバランスを考慮しながら決定します。
段階数は、5〜7段階が一般的です。段階が少なすぎると回答の違いを十分に捉えにくく、多すぎると回答者の負担が増え、各段階の違いを判断しにくくなります。比較の精度を重視する場合は7段階、回答時間を短縮したい場合は5段階を採用するなど、調査目的に応じて選択するとよいでしょう。
尺度の両端には形容詞対を配置し、中間点(どちらでもない)を設けるかどうかも検討します。中間点には「判断できない」「どちらともいえない」「どちらも当てはまる」といった異なる意味が含まれる場合があります。必要に応じて「該当なし」などの選択肢を別に設けることで、回答の解釈がしやすくなります。
また、途中のラベルは、数字のみを表示する方法や、一部のみラベルを付ける方法、すべての段階にラベルを付ける方法があります。ラベルを増やすと回答しやすくなる一方で、各段階の意味を均等に設定することが難しくなるため、調査目的に応じて選択することが重要です。
設問の配置にも配慮が必要です。似た意味の形容詞対を続けて配置しないことや、回答の流れを意識した順番に並べることで、前の設問の影響を受ける回答バイアスを抑えやすくなります。
設問数と回答負荷の目安
設問数は、調査で得たい情報と回答者の負荷のバランスを考慮して決めることが重要です。項目を増やせば多面的な分析が可能になる一方で、回答者の負担が大きくなり、回答品質が低下する可能性があります。
特にSD法は、形容詞対を比較しながら回答するため、リッカート法と比べて回答に時間がかかる傾向があります。設問数が多くなると、後半になるにつれて直線的な回答や、十分に考えず回答するケースが増えることもあります。
実務では、10〜30項目程度を目安としながら、評価対象との組み合わせも考慮して設計します。例えば、3つのコンセプト案を20項目で評価する場合は、合計60回の評価が必要になります。特にスマートフォンで回答する調査では、回答負荷が高くなりやすいため注意が必要です。
設問数が多くなる場合は、重要な項目を優先して選定したり、調査を複数回に分けたりする方法も有効です。分析に活用しない設問を増やしても、有益な情報が増えるわけではありません。調査目的に照らして必要な設問に絞ることが、回答品質の維持と分析精度の向上につながります。
SD法データの基本分析
SD法で収集したデータは、平均値による比較から多変量解析まで、調査目的に応じた方法で分析します。まずは全体の傾向を把握し、必要に応じて詳細な分析を行うことが重要です。
分析を始める前に、尺度の向きと得点化のルールを統一します。例えば、「望ましい印象」が高得点になるように揃えておくことで、グラフや集計結果を比較しやすくなり、解釈の誤りも防ぎやすくなります。分析前に反転が必要な尺度を整理しておくことも重要です。
次に、平均値だけでなく回答のばらつきにも注目します。平均値が同じでも、回答が特定の選択肢に集中している場合と、回答者によって評価が分かれている場合では、改善の方向性が異なります。ユーザー属性ごとの差を確認することで、新たな課題や改善のヒントが見つかることもあります。
その上で、調査目的に応じて分析手法を選択します。コンセプトやブランドの印象を比較したい場合はプロフィール分析、多数の形容詞対を少数の軸に整理して全体像を把握したい場合は、主成分分析や因子分析が有効です。
プロフィール分析
プロフィール分析は、各形容詞対の平均値をコンセプトやブランドごとにグラフ化し、印象の違いを可視化する分析方法です。 SD法で最も基本的な分析手法であり、コンセプト比較や競合比較、改善前後の変化を把握する際によく用いられます。
この分析で作成するグラフは「セマンティックプロフィール」と呼ばれます。各形容詞対の平均値を線で結ぶことで、どの項目で評価に差があるのかを視覚的に把握できます。関係者への説明資料としても活用しやすく、改善すべきポイントを共有しやすいことが特徴です。

また、形容詞対が多すぎるとグラフが複雑になり、差が読み取りにくくなります。まずは重要な項目に絞って比較し、必要に応じて詳細な分析結果を別の図表で示すと、伝えたい内容が分かりやすくなります。
主成分分析・因子分析
主成分分析と因子分析は、多くの形容詞対を少数の軸に整理し、印象の全体像を把握するための分析手法です。項目数が多い場合でも、データの特徴を分かりやすく整理できるため、ブランドやコンセプトの印象を俯瞰して捉えたい場面で活用されます。
主成分分析は、できるだけ情報を保ったままデータを少数の軸に集約する手法です。コンセプト同士の位置関係や類似性を可視化しやすく、競合との違いや独自性を把握したい場合に適しています。
一方、因子分析は、複数の形容詞対に共通する潜在的な要因を明らかにすることを目的とします。例えば、複数の評価項目が同じ傾向で変化している場合、それらを「信頼感」「先進性」「親しみやすさ」といった共通の概念として整理し、ブランド戦略や商品改善に活用できます。
いずれの分析手法も、結果を解釈する際は、どの形容詞対が各軸に強く影響しているのかを確認することが重要です。分析結果だけで結論を導くのではなく、元となる評価項目と照らし合わせながら解釈することで、具体的な改善施策につなげやすくなります。
UX調査・マーケティングでの活用例
SD法とリッカート法は、それぞれ特性が異なるため、調査目的に応じて使い分けることで、より実践的な示唆を得られます。
UX調査では、タスク完了後にSD法を用いて「簡単―難しい」「安心―不安」「先進的―保守的」といった印象を評価することで、行動データだけでは把握しにくいユーザー体験を可視化できます。さらに、リッカート法で「この機能は使いやすいと思う」「今後も利用したいと思う」といった設問を組み合わせることで、印象と利用意向の関係も把握しやすくなります。
マーケティングでは、SD法はブランドや商品のポジショニングを把握する場面で活用されています。例えば、「高級―安っぽい」「先進的―保守的」などの尺度を用いることで、競合との差別化やブランドイメージを可視化できます。
一方、リッカート法は、満足度や推奨意向、価格に対する受容度などを継続的に測定する調査に適しています。SD法で印象を把握し、リッカート法で重要な評価指標を継続的に追跡することで、施策の検討から効果検証まで一貫した調査設計が可能になります。
まとめ
SD法とリッカート法は、どちらもアンケートで回答者の評価を数値化する代表的な手法ですが、適した調査目的は異なります。印象やイメージを多面的に把握したい場合はSD法、満足度や利用意向など態度の強さを測定したい場合はリッカート法が適しています。
SD法で信頼性の高いデータを得るためには、形容詞対の選定や尺度設計、回答負荷への配慮が欠かせません。また、分析ではプロフィール分析によって印象の違いを把握し、必要に応じて主成分分析や因子分析を活用することで、多数の評価項目を整理できます。
調査手法は、それぞれに得意とする役割があります。調査目的や活用方法に合わせてSD法とリッカート法を使い分けることで、より実務に役立つ調査結果を得られるでしょう。
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