グローバルコラム

インドネシアで小型車はエコ?

Facebook X
 「ジャカルタの町の印象は?」とジャカルタを訪れた人に尋ねると、大抵の人が「渋滞がひどい」ことをあげます。よくいえば活気があると言えるのでしょうが…ジャカルタはメインの大通りから、町中を走る小さな路地までが四輪車・二輪車で埋め尽くされています。

年々豊かになるインドネシアの人々の生活

 2013年、四輪車は122万台、二輪車は774万台が販売されました。毎年、ものすごい勢いで車道を走る乗り物が増加しています。「渋滞がひどい」という印象を与えてしまうのは仕方のないことなのでしょう。現在東南アジアの中ではタイが一番の販売台数を誇っていますが、そんなタイをインドネシアが追い抜く日はそう遠くないといわれています。

 インドネシアの人々の生活は年々豊かになってきています。州によってばらつきはあるものの、2014年の全国の最低賃金の上昇率の平均は17%、首都であるジャカルタの上昇率は11%でした。人々は「来年もきっと給与は上がり生活も良くなるはずだ。」と希望を持っており、調査会社などが発表する消費者信頼感は東南アジアでいつもトップの水準です。

インドネシアのエコカー政策

 購買意欲の高い消費者が多いインドネシアですが、国産車がなく自動車は一般市民にとって高嶺の花。購入意欲があっても予算が合わずほとんどの人は二輪車を使用していました。 そこで政府が打ち出した政策が低価格で燃費のよい小型車「Low-Cost Green Car (LCGC)」への税優遇制度。これはインドネシアで生産された四輪車を環境配慮度で分け、配慮度の高さに応じて購入時の税金を下げるというものです。  この制度が適応される車は100万円前後で販売されています。このようなエコカー政策が打ち出されるまでは、一番値段の低い車でも150万円ほどでしたので、中間所得層にも買いやすい価格に大幅に近づいたと言えるでしょう。自動車各社は中間層を狙ったマーケティングに力を入れており、トヨタ車のアグヤに至ってはあえてトヨタのロゴを使わず、インドネシアの国章にも使われている神鳥のガルーダをロゴとして使用しています。

 
20140924_02
 
 
 このエコカー政策ですが、今後成長が見込まれる中間層への四輪車の普及以外にも、国内の四輪製造業界の雇用拡大や、政府が補助金を出して促進している石油燃料の消費量を削減することも狙いの一つです。 インドネシアで販売されているレギュラーガソリンは固定価格です。政府が価格を一定にするために補助金をだしているからです。これは国民を急な価格上昇から守るために導入された制度ですが、この補助金がふくれあがっています。

 インドネシアは産油国なのですが、国内の製油所が十分整備されていないために石油は輸入に頼らざるを得ず、国際的な石油価格高騰の影響もうけて大きな貿易赤字を生んでいるのが現状です。そこで政府は、石油消費を抑えるためにも国民に燃費のいい車に乗ってほしい…というわけでエコカー政策が生まれました。

誰もが車を持てる時代へ

 きっと読者の皆様は今回の記事を読んでいて「エコとは言っても車の台数が増えるんじゃ渋滞がさらに悪化するのは時間の問題だし、逆に二輪の人たちが四輪に乗り換えれば、結局石油燃料の消費量削減につながらないのでは…。」と思われるのではないでしょうか。

 全くその通りの議論がインドネシア国内でも繰り広げられています。消費量削減を促進するために、エコカーには補助金付き燃料を売らないというような案も出ていますが、すべての石油販売店で徹底されなければ意味がなく、今のところこれといった効果的な対応策は出されていません。

また渋滞の悪化も進んでいるように感じます。私の住むアパートから職場まで距離は10キロほど。道 が空いていればほんの15分ほどで着きますが、実際には毎朝夕45分かけて通っています。そして私の通勤時間は住処も職場も変わらないのにちょっとずつ、ただ確実に毎年長くなっています。

 誰もが車を持てる時代が現実味を帯びてきました。

 数年後に読者の皆様がインドネシアを訪れたらどんな印象を持つのでしょうか。「渋滞がひどい」という今まで通りの印象以外のものを感じていただけるような町づくりがされることに期待しています。

おすすめのコラム

デジタルマーケティングコラム

世界スマホシェア率を日本と比較|人気のOSやメーカーは?

アプリ開発企業のマーケティング担当者の中には、世界のスマートフォンシェア率が気になっている方もいるでしょう。人気のOSやメーカーなどに関して、世界全体と日本との傾向の違いを把握しておくことで、マーケティングに活かせる面もあるかもしれません。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

あの世代の呼び方は何?各世代へのマーケティング方法もご紹介

「団塊の世代」や「Z世代」など、生まれた世代によってさまざまな名称が付けられています。マーケティング担当者であれば、それぞれの世代の名称と特徴を把握し、世代ごとにあわせたマーケティングを実施しましょう。 本記事では、それぞれの世代の呼び方について説明し、各世代に合ったマーケティング方法を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

α世代の次の世代とは?β世代の特徴や取り巻く環境を予測しよう

今注目されているZ世代の次がα世代と呼ばれており、さらにその次がβ世代にあたります。Z世代以降は、デジタルネイティブであることが特徴ですが、マーケティング担当者や商品の開発担当者であれば、β世代とはどのような世代なのか、今と取り巻く環境がどのように変化しているのか気になるのではないでしょうか。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

中学生のスマホ使用時間の理想はどれくらい?スマホが及ぼす影響も紹介

近年、中学生からスマホを持たせる家庭が多いなか、使用時間の長さが問題視されているケースが多く見受けられます。スマホの使用時間が長いと学力に影響するといわれることもあり、子どもを持つ親からすると、「適切な使用時間の範囲で使わせたい」と考える方もいるようです。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

独身の人が増えすぎている?未婚の割合や増加の理由を解説

結婚して家庭をもつことが当たり前だった時代からは一変し、生涯を独身で過ごす人が増えています。なぜ未婚率が高くなっているのでしょうか。今回は、未婚の割合や未婚の人が増えている理由について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

就職氷河期世代の年齢とは?世代の特徴や背景、現状を解説

バブル崩壊後の不況に直面しながら社会に出た「就職氷河期世代」。厳しい雇用環境により正社員になれず、現在もキャリアや生活に課題を抱える方が少なくありません。今回は、マーケティングに役立つ視点から、就職氷河期世代の年齢や背景、特徴、そして現状についてわかりやすく解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

犬派か猫派か?どちらが人気?性格や相性を徹底解剖!

ペットを飼っている人や、これから飼いたいと考えている人にとって気になるのが「犬と猫はどちらが人気なのか?」という点ではないでしょうか。また、犬派と猫派それぞれの性格や相性などについて気になる人も多いかと思います。本記事では、犬派と猫派どちらが多いのか、また性格や相性はどうかを徹底解剖します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

パン派・ごはん派の割合|身体に良い方はどっち?

日本の主食といえば、ごはんですが、パンを好んで食べる方が増えているのも事実です。実際は、パン派とごはん派のどちらが多いのでしょうか。また、体にとって良いのはどちらなのでしょうか。 今回は、パン派とごはん派の調査結果と身体に良い主食について紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

推し活の経済効果はどれくらい?市場規模と推し活マーケティングのメリットとは

若年層に適確なアプローチができないなど、従来のマーケティング手法に限界を感じてはいませんか。商品やサービスのターゲットとして、「推し活に力を入れる消費者」に絞る方法もあります。 推し活とは、推し(お気に入りのキャラやアイドルなど)を応援する活動のことです。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード