ブランド調査を“報告”で終わらせない。数字を次の施策につなげる3つの設計ポイント
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株式会社クロス・マーケティング
コンサルティング本部 シニアコンサルタント
堀 好伸
生活者のインサイトを得るための共創コミュニティのデザイン・運営を主たる領域とする生活者と企業を結ぶファシリテーターとして活動。
生活者からのインサイトを活用したアイディエーションを行い様々な企業の戦略マーケティング業務に携わる。
「若者」や「シミュレーション消費」を主なテーマに社内外でセミナー講演の他、TV、新聞などメディアでも解説する。
著書に「若者はなぜモノを買わないのか」(青春出版社)、最近のメディア出演「首都圏情報 ネタドリ!」(NNK総合)、「プロのプロセスーアンケートの作り方」(Eテレ:https://www.nhk.or.jp/school/sougou/active10_process)
「認知度は前年より上がっている」
「NPSは目標値を維持している」
「購入意向は前回から下がっている」
ブランド調査の報告会では、こうした数字が数多く共有されます。
しかし、報告を聞いたあとに、
「では、次に何を変えるべきなのか」
「どの課題に予算を投じるべきなのか」
と聞かれると、明確に答えられないことも少なくありません。
数字が足りないわけではありません。認知度、好意度、購入意向、NPS、顧客満足度、売上、シェアなど、社内にはさまざまなデータが蓄積されています。
それでも次の施策が決まらないとすれば、問題はデータの量ではなく、指標同士のつながや、結果を活用する仕組みにあるのかもしれません。
ブランド調査を意思決定につなげるために、確認したい3つのポイントを紹介します。
1.指標を一つの流れに置き直す

認知度は、ブランドがどの程度知られているかを示します。NPSは、利用者が他者に推奨したいと感じているかを捉える指標です。売上やシェアは、事業としての成果を表します。
どれも重要な数字ですが、それぞれが示しているブランドの状態は異なります。
生活者は、広告に接触した直後に購入するわけではありません。
ブランドを知り、特徴や価値を理解し、好意や信頼を持つ。さらに、他ブランドより選びたいと感じて、購入や継続利用、推奨へと進んでいきます。
つまり、企業の活動と売上の間には、
認知
→ 理解
→ 好意・信頼
→ 選好・購入意向
→ 購入・継続・推奨
という段階があります。
認知度が高くても、特徴が理解されていなければ購入候補には入りにくいでしょう。購入経験があっても、満足できる体験が提供できていなければ継続や推奨にはつながりません
個々の数字を横並びで確認するのではなく、一つの流れに配置することで、ブランドのどの段階に課題があるのかを捉えやすくなります。
2.数字が動いた理由と、優先順位を捉える

定点調査で数字が下がったとしても、その数字自体が原因ではありません。
たとえば、購入意向が下がった背景には、
「ブランドの特徴が理解されていない」
「品質への信頼が弱まっている」
「価格への納得感が下がっている」
「ブランドイメージと顧客ニーズにずれがある」
など、複数の可能性があります。
そこで必要になるのが、購入意向や推奨意向などの指標に、どの要素が強く影響しているかを確認することです。
現在の評価が低い項目が、必ずしも最優先の課題とは限りません。
評価が低くても、ブランド成果への影響が小さければ、すぐに大きな予算を投じる必要はないかもしれません。
反対に、すでに一定の評価を得ている項目でも、指名や継続利用への影響が大きいのであれば、さらに強化する価値があります。
現在の評価と、成果への影響度を組み合わせる。
この視点を持つことで、「評価が低いから改善する」という判断から、「ブランド成果を動かす可能性が高いから優先する」という判断へ変えられます。
3.調査を組織の業務プロセスに組み込む

課題や優先順位が明らかになっても、調査結果が報告資料の中に閉じたままでは、施策は前に進みません。
マーケティング部門は認知度や好意度を見ます。営業部門は売上や商談状況を確認し、商品部門は品質評価や満足度を重視します。経営層はシェアや利益を判断材料にします。
それぞれの指標は必要です。
重要なのは、全員が一つの数字だけを見ることではありません。それぞれの指標を、企業活動から生活者の認識・心理、購入、業績へとつながる共通の構造に配置することです。
そのうえで、
「調査の目的と評価指標を見直す」
「部署を越えて結果を議論する」
「必要なデータを継続的に確認できる状態にする」
「施策後の変化を検証する」
という活用プロセスを設計します。
ブランドの現在地を確認し、課題を共有し、施策を決め、結果を検証する。
このサイクルがあって初めて、調査は「毎年実施するもの」から、組織の意思決定を支える仕組みへ変わります。
ブランド調査を「測るもの」から「動くためのもの」へ
ブランド調査を次の施策につなげるために必要なのは、調査項目を増やすことではありません。
重要なのは、
1.指標を一つの構造として整理する
2.数字を動かす要因と優先順位を把握する
3.結果を組織で継続的に活用する
という3点です。
数字を確認するだけではなく、どこに課題があり、何を優先し、どのように改善するのかを説明できる状態をつくる。
それによってブランド調査は、結果を報告するための資料から、次の一手を決めるための判断基盤へ変わります。
実際に京セラ株式会社では、ブランド調査を具体的な活動へつなげるため、評価指標と調査設計の見直し、部署横断のワークショップ、点在するデータを継続的に活用するためのロードマップ整理に取り組みました。
調査結果を「実施して終わり」にせず、組織の共通言語へ変えていくために、どのようなプロセスを設計したのか。具体的な取り組みを事例ページでご紹介しています。
ブランド調査の設計・活用についてご相談ください
「現在の調査項目が、ブランド戦略に合っているか分からない」
「認知度やNPSは測っているが、次の施策につながっていない」
「部門やブランドごとに指標が異なり、共通の判断ができない」
「調査結果を継続的に活用できる仕組みを整えたい」
このような課題をお持ちの場合は、現在の調査設計やデータの活用状況をお聞きしたうえで、指標の整理や分析、社内での活用方法をご提案します。
