顧客の「深層価値観」に寄り添い、高LTV なファンを育てるブランドのつくり方
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株式会社クロス・マーケティング
コンサルティング本部 シニアコンサルタント
堀 好伸
生活者のインサイトを得るための共創コミュニティのデザイン・運営を主たる領域とする生活者と企業を結ぶファシリテーターとして活動。
生活者からのインサイトを活用したアイディエーションを行い様々な企業の戦略マーケティング業務に携わる。
「若者」や「シミュレーション消費」を主なテーマに社内外でセミナー講演の他、TV、新聞などメディアでも解説する。
著書に「若者はなぜモノを買わないのか」(青春出版社)、最近のメディア出演「首都圏情報 ネタドリ!」(NNK総合)、「プロのプロセスーアンケートの作り方」(Eテレ:https://www.nhk.or.jp/school/sougou/active10_process)
はじめに:「誰が買うか」だけで、顧客を理解したつもりになっていないか
「30代女性」
「子育て世帯」
「商品Aを購入した人」
マーケティングでは、こうした属性や購買行動から顧客を捉えることがよくあります。
もちろん、年齢や性別、購入履歴は重要な情報です。
ただ、同じ商品を選んでいる人でも、
「毎日の負担を減らしたい」
「安心できるものを長く使いたい」
「自分らしい選択をしたい」
など、その背景にある思いは異なります。
長く選ばれるブランドを考えるときに重要になるのは、「何を買ったか」の奥にある、「その人はどうありたいのか」まで理解することです。
1.「属性」だけでは、“なぜ選び続けるか”までは分からない
「30代女性・会社員」という属性が同じでも、仕事で成長することを大切にする人もいれば、家族との穏やかな時間を大切にする人もいます。
つまり、属性は「どんな人か」を整理する情報ではあっても、「なぜそのブランドを選ぶのか」まで説明するものではありません。
ここで必要になるのが、顧客の内側にある価値観を見ることです。
何を大切にしているのか。
どんな自分でありたいのか。
どんな暮らしを送りたいのか。
こうした情報まで捉えることで、同じ属性の中にいる顧客を「ひとまとめのターゲット」としてではなく、異なる価値観を持つ生活者として理解できるようになります。

2.Have/Doだけでなく、「Beニーズ」まで見る
顧客ニーズを考えるとき、「この機能が欲しい」 「もっと便利にしたい」 「この不満を解消したい」といった要望に目が向きやすくなります。
これらは、何を持ちたいか(Have)/何をしたいか(Do)という重要なニーズです。
一方、そのさらに奥には、「安心できる自分でいたい」「自分らしく暮らしたい」「前向きに挑戦できる自分でいたい」といった、どうありたいか(Be)があります。
たとえば「時短できる」という機能も、ある人には単なる便利さですが、別の人にとっては「家族との時間を増やせる」「自分のための余白を持てる」という意味になるかもしれません。
機能そのものではなく、その機能によって顧客がどんな状態になれるのかまで考えることで、スペックは生活者にとっての価値へ変わります。

3.価格競争から抜け出す鍵は、「意味」の違いにある
品質や機能を高め続けることは重要です。
ただ、競合も似た機能を持つようになると、生活者にとっての違いは小さくなり、価格が分かりやすい比較軸になりやすくなります。
ここで競うべきなのは、単なるスペック量ではありません。
「このブランドを選ぶことが、自分にとってどんな意味を持つのか」という価値です。
同じ便利さでも、そのブランドを使うことで「自分らしく暮らせる」と感じる。
同じ安心でも、「自分が大切にしたい考え方と合っている」と感じる。
こうした意味まで提供できれば、価格や機能だけでは測れない選択軸が生まれます。
4.ブランドのスタンスと顧客の価値観が重なると、「共鳴」が生まれる
ただし、顧客の価値観だけを理解すればよいわけではありません。
ブランド側にも、「私たちは何を大切にするのか」という明確なスタンスが必要です。
誰にでも好かれようとして「安心」「革新」「高級」「親しみ」などをすべて掲げれば、結果として何のブランドなのかが分かりにくくなります。
そして本当に重要なのは、
ブランドが大切にしている価値
×
顧客が大切にしている価値
が重なる場所を見つけることです。
ここに生まれるのが「共鳴」です。
「便利だから買う」だけではなく、 「このブランドの考え方が好き」 「自分の価値観と合っている」という関係になることで、ブランドは単なる商品提供者から、自分にとって意味のある存在へ変わっていきます。

5.「買ってくれる顧客」から、「関係が続くファン」へ
一度購入してもらうことと、長くブランドを選び続けてもらうことは同じではありません。
価格やキャンペーンを理由に買った顧客は、より安い選択肢が現れれば離れる可能性があります。
一方で、自分が大切にしている価値観とブランドのスタンスが重なっていれば、「これからも使いたい」 「このブランドを応援したい」という関係へ発展する可能性があります。
高LTVな顧客基盤を考えるうえで大切なのは、すべての人を広く囲い込むことではありません。
自社のスタンスに深く共鳴する顧客との関係を、長く育てていくこと。
そこに、価格競争だけに依存しないブランド成長の可能性があります。

おわりに:顧客理解を「属性」から「価値観」へ深める
属性や購買行動、機能ニーズを見ることは重要です。
ただ、長く選ばれる理由を考えるなら、その奥にある「何を大切にしているのか」 「どんな自分でありたいのか」まで視点を広げる必要があります。
そして、その深層価値観と、自社が大切にするスタンスを重ねる。
Have/DoだけでなくBeを見る。
機能ではなく意味を見る。
万人に合わせるのではなく、深く共鳴する人との関係を育てる。
この転換が、「安いから」「便利だから」という比較から離れ、「このブランドだから選びたい」という関係をつくる起点になります。
ブランドと生活者の「共鳴」を捉えるために
顧客の深層価値観を理解することも、自社らしいブランドのスタンスを定義することも、感
覚だけで行うのは簡単ではありません。
だからこそ、生活者が本質的に大切にしている価値観と、ブランドが目指す“らしさ”の両方を整理し、「どんな顧客と、どんな価値でつながるブランドなのか」を明確にすることが重要です。
クロス・マーケティングのBrandLink Compassでは、生活者の価値観とブランドの方向性を結びながら、ターゲット像やブランドが提供すべき価値を整理し、マーケティングやブランド戦略へつなげることを支援します。
「属性や購買データだけでは顧客像を捉えきれない」
「価格や機能ではない、長く選ばれる理由を明確にしたい」
「自社らしさに共鳴する顧客との関係を育てたい」
といった課題がある場合は、BrandLink Compassのサービス内容をご覧ください。
