インサイトスコープ

「自社の強み」はあるのに、なぜ選ばれない? ブランドの“らしさ”を顧客価値へ変える方法

Facebook X
堀 好伸
株式会社クロス・マーケティング
コンサルティング本部 シニアコンサルタント

堀 好伸

生活者のインサイトを得るための共創コミュニティのデザイン・運営を主たる領域とする生活者と企業を結ぶファシリテーターとして活動。
生活者からのインサイトを活用したアイディエーションを行い様々な企業の戦略マーケティング業務に携わる。
「若者」や「シミュレーション消費」を主なテーマに社内外でセミナー講演の他、TV、新聞などメディアでも解説する。
著書に「若者はなぜモノを買わないのか」(青春出版社)、最近のメディア出演「首都圏情報 ネタドリ!」(NNK総合)、「プロのプロセスーアンケートの作り方」(Eテレ:https://www.nhk.or.jp/school/sougou/active10_process

はじめに:「自社の強み」を説明できても、「選ばれる理由」を説明できない 

「商品の品質には自信がある」
「長年培ってきた技術やノウハウがある」
「既存のお客様からも一定の支持を得ている」

それでも、
「なぜ競合ではなく、自社ブランドが選ばれるのですか?」
と聞かれると、明確に答えるのが難しい。

ブランド戦略を考える中で、そんな課題を感じることはないでしょうか。

競合と比較すると、似たような強みしか出てこない。
顧客調査をしても「この機能が評価されている」「満足度が高い」といった結果で止まっ
てしまう。
マーケティング、商品開発、営業で、それぞれが考えるブランドの強みも少しずつ違う。
こうした状態で必要なのは、さらに新しい強みを探すことだけではありません。

いま持っている自社の強みを、
「顧客にとってどんな価値なのか」という視点から捉え直すこと。

今回は、ブランドと生活者のつながりをつくるために、
“選ばれる理由”をどのように考えていけばよいのかを整理します。

1. なぜ「良い商品」だけでは選ばれにくくなっているのか

いま、生活者は日々多くの商品やサービス、情報に触れています。

「高品質」
「使いやすい」
「高機能」
「長年研究している」

といった商品の特徴を伝えるだけで、他社との違いを感じてもらうことは簡単ではありません。

もちろん、商品そのものの品質や機能は重要です。
しかし、多くの商品が一定以上の品質を持つ市場では、「良いか・悪いか」だけではなく、

「好きか」「自分に合っているか」「このブランドを選びたいか」といった感覚も、
選択を左右します。

だからこそ考えたいのが、自社が考える「商品の強み」は、顧客にとっての「選ぶ理由」ま
でつながっているか?という問いです。

customer1
単に特徴を伝えるのではなく、
その特徴が生活者にどのような体験や気持ちをもたらすのか。
ここまでつなげることで、初めて「選ばれる理由」が見えてきます。

2. 「自社らしさ」と「顧客にとっての価値」をつなぐ

では、ブランドの“選ばれる理由”はどのように考えればよいのでしょうか。

ポイントとなるのが、

「このブランドだからこそ」の視点と、 「顧客が本質的に求めていること」の視点

を掛け合わせることです。

たとえば、企業側だけで強みを整理すると、

「技術力が高い」

「品質へのこだわりがある」

「歴史がある」

といった言葉になりやすくなります。

しかし、それだけでは競合企業にも同じことが言えてしまうかもしれません。

反対に、顧客ニーズだけを追いかけると、

「安心したい」

「便利に使いたい」

「自分らしくありたい」

といった、多くのブランドに当てはまる価値になりがちです。 

customer2

必要なのは、この2つを別々に考えるのではなく、

この接点が明確になると、「誰に」「何を」「なぜこのブランドが届けるのか」という

ブランド戦略の軸も整理しやすくなります。

3. 顧客調査を「調べて終わり」にしないために

ブランド戦略を考えるために、すでに顧客調査を実施している企業も多いでしょう。
アンケートやインタビューを行えば、

「どんな人が購入しているのか」
「どの商品が評価されているのか」
「ブランドにどんなイメージを持っているのか」

といった情報を把握できます。

ただし、それだけでは、「では、ブランドとして何を目指すのか」までは決まりません。
調査結果として、「品質が評価されている」ことが分かったとしても、

「なぜ、その品質が顧客にとって重要なのか」
「どのような価値観を持つ人に響いているのか」
「その価値をブランドとしてどう表現するのか」

まで解釈する必要があります。

Cross Marketingの「BrandLink Compass」では、独自の生活者価値観クラスターモデル
「ポテンシャル・ニーズ・クラスター」を活用し、ブランドの目指す姿と親和性のあるター
ゲット像を定性・定量の両面から明らかにします。

さらに、潜在顧客層の実態と、その人たちが共感しやすいブランドパーソナリティを掛け合
わせることで、ブランドが目指す方向性を整理していくことが特徴です。

customer3

 調査そのものをゴールにせず、調査で得られた情報をブランドの価値へ変換することが重要です。 

4. ブランドの“選ばれる理由”を見つけるための3つの視点

では、自社ブランドを見直す際には、何から考えればよいのでしょうか。
まずは、次の3つの問いから確認してみてください。

①自社の強みを「顧客の言葉」に変換できているか

「独自技術があります」で終わるのではなく、
その技術によって、顧客は何を得られるのか?まで言葉にできているでしょうか。

②「今の顧客」だけを見てブランドを考えていないか

現在支持してくれている顧客を理解することは重要です。
一方で、今後獲得したい顧客が、同じ理由でブランドを選ぶとは限りません。

現在の顧客像と、ブランドが今後つながりたい生活者の価値観を比較する視点も必要です。
BrandLink Compassも、「自社・自ブランドの強み/らしさと今の顧客層とのギャップ」や、
「目指すブランド像と親和性のある顧客像を社内で共有したい」といった課題を対象と
しています。

③部署が違っても、同じ「ブランドの価値」を説明できるか

マーケティングは顧客データを見る。
商品開発は商品の特徴を見る。
営業は商談現場の声を見る。

それぞれの視点は必要です。
しかし、「私たちは誰に、どんな価値を届けるブランドなのか」という共通認識がなければ、
施策の方向性は少しずつズレていきます。

BrandLink Compassでは、社内でブランドに対する共通認識をつくることで、戦略、コンセプトデザイン、各施策の方向性を定めやすくすることも特徴として掲げています。

おわりに:ブランド価値を、施策の共通言語にする

 これからの時代、AIによる「失敗しない最適化」から、消費者自身が仕上げて育てる「余白設計」へとパラダイムシフトが起きています。モノそのものではなく、モノをめぐる「余白」をどうデザインするかが、次世代の商品コンセプトを構築する鍵になります。

本企画は今後もシリーズとして、最新の生活者インサイトをお届けしていく予定です。皆さんのビジネスでも、あえて「手間」や「未完成」を残す余白設計を取り入れてみてはいかがでしょうか?

「商品の強み」はある。
「顧客データ」もある。

それでも“選ばれる理由”が見えてこないのであれば、必要なのは新しい情報を増やすことで
はなく、ブランドが持つ強みと、顧客が本質的に求める価値をつなぎ直すことかもしれません。

そして、その価値が明確になることで、
商品開発では「作れるもの」から「提供すべき価値」へ。
マーケティングでは「何を訴求するか」から「誰のどんな価値観に応えるか」へ。

営業では「商品の特徴」から「顧客にとっての意味」へ。
判断軸をそろえていくことができます。

ブランドの“選ばれる理由”は、広告コピーをつくるためだけのものではありません。
商品開発、マーケティング、営業など、ブランドに関わる人たちが同じ方向を向くための
「共通言語」でもあるのです。

ブランドと生活者をつなぐ「BrandLink Compass」

「ブランド論をマーケティング戦略まで落とし込めていない」
「自社らしさと、現在の顧客層にギャップを感じている」
「目指すブランド像と親和性のあるターゲットを明確にしたい」

こうした課題に対して、クロス・マーケティングでは「BrandLink Compass」を提供して
ます。独自の生活者価値観クラスターモデルを活用し、ブランドの目指す姿と親和性のあ
ターゲット像や、ブランドが持つべき方向性の整理を支援します。


 

おすすめのコラム

デジタルマーケティングコラム

世界スマホシェア率を日本と比較|人気のOSやメーカーは?

アプリ開発企業のマーケティング担当者の中には、世界のスマートフォンシェア率が気になっている方もいるでしょう。人気のOSやメーカーなどに関して、世界全体と日本との傾向の違いを把握しておくことで、マーケティングに活かせる面もあるかもしれません。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

あの世代の呼び方は何?各世代へのマーケティング方法もご紹介

「団塊の世代」や「Z世代」など、生まれた世代によってさまざまな名称が付けられています。マーケティング担当者であれば、それぞれの世代の名称と特徴を把握し、世代ごとにあわせたマーケティングを実施しましょう。 本記事では、それぞれの世代の呼び方について説明し、各世代に合ったマーケティング方法を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

α世代の次の世代とは?β世代の特徴や取り巻く環境を予測しよう

今注目されているZ世代の次がα世代と呼ばれており、さらにその次がβ世代にあたります。Z世代以降は、デジタルネイティブであることが特徴ですが、マーケティング担当者や商品の開発担当者であれば、β世代とはどのような世代なのか、今と取り巻く環境がどのように変化しているのか気になるのではないでしょうか。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

中学生のスマホ使用時間の理想はどれくらい?スマホが及ぼす影響も紹介

近年、中学生からスマホを持たせる家庭が多いなか、使用時間の長さが問題視されているケースが多く見受けられます。スマホの使用時間が長いと学力に影響するといわれることもあり、子どもを持つ親からすると、「適切な使用時間の範囲で使わせたい」と考える方もいるようです。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

就職氷河期世代の年齢とは?世代の特徴や背景、現状を解説

バブル崩壊後の不況に直面しながら社会に出た「就職氷河期世代」。厳しい雇用環境により正社員になれず、現在もキャリアや生活に課題を抱える方が少なくありません。今回は、マーケティングに役立つ視点から、就職氷河期世代の年齢や背景、特徴、そして現状についてわかりやすく解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

独身の人が増えすぎている?未婚の割合や増加の理由を解説

結婚して家庭をもつことが当たり前だった時代からは一変し、生涯を独身で過ごす人が増えています。なぜ未婚率が高くなっているのでしょうか。今回は、未婚の割合や未婚の人が増えている理由について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

パン派・ごはん派の割合|身体に良い方はどっち?

日本の主食といえば、ごはんですが、パンを好んで食べる方が増えているのも事実です。実際は、パン派とごはん派のどちらが多いのでしょうか。また、体にとって良いのはどちらなのでしょうか。 今回は、パン派とごはん派の調査結果と身体に良い主食について紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

犬派か猫派か?どちらが人気?性格や相性を徹底解剖!

ペットを飼っている人や、これから飼いたいと考えている人にとって気になるのが「犬と猫はどちらが人気なのか?」という点ではないでしょうか。また、犬派と猫派それぞれの性格や相性などについて気になる人も多いかと思います。本記事では、犬派と猫派どちらが多いのか、また性格や相性はどうかを徹底解剖します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム

マズローの欲求5段階説とは?ビジネスシーンにおける活用例も紹介

日常生活はもちろん、ビジネスシーンでも私たちはさまざまな欲求に突き動かされています。その欲求がどのように構造化され、どの段階で優先されるのかを理解するために、アブラハム・マズローが提唱した「欲求5段階説」は非常に役立つでしょう。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード