「米離れ」の実態!原因・影響から消費拡大に向けた取り組み事例まで解説
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米の消費量の状況と主な原因
長きにわたる消費量の減少トレンドに加え、直近で発生した急減の背景にある、中高年層における2割以上の摂取量減少や、価格高騰が招いた買い控えの実態を理解できます。
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米離れによる損失・リスク
米の消費減少が引き金となり、国の食料供給を支える重要指標の低下を招く仕組みや、生産者の経営悪化、ひいては地域農業を脅かす連鎖的な影響を把握できます。
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米の需要拡大を促す取り組み
従来の用途に縛られず、新たな食品ジャンルや非食用素材への転用、さらには海外市場の開拓など、官民を挙げて推進されている複数の対策とそれぞれの役割が分かります。
【あわせて読みたい】 価格高騰による消費者の購買行動の変化について詳しく知りたい方は「食品の値上げに関する調査(2025年)」をご覧ください。また、本記事で触れた耕作放棄地など生産現場の課題をより深く理解したい方には「農業が抱える課題と解決策|解決につながる取り組み事例も紹介」もおすすめです。
国内では長期的に米離れが進んでおり、2025年度には消費量が大きく落ち込みました。少子高齢化や人口減少、食の簡便化、価格高騰などが重なる中、米を取り巻く消費者ニーズや市場構造も変化しています。今回は、米離れの実態や原因、社会・市場への影響、消費拡大に向けた取り組み事例について解説します。
消費者のニーズや購買行動の変化を把握するため、調査の目的や課題の整理からご相談いただけます。
米の消費量の状況
米の消費量の推移について、公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構のデータをもとに紹介します
1人1か月当たり消費量の推移
2012年度から2024年度にかけて、1人が1か月に消費する米の量は、およそ4,300〜4,900gの範囲で上下しながら推移しています。2025年度は4,435gと前年度比で6%減少しました。1年ごとの増減を見ると大きな変化がないように感じられますが、長期的なトレンドで見ると、緩やかに「米離れ」が進んでいるとも言えます。
年度別の推移は以下の通りです。

出典:公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構「米の消費動向調査 」
https://www.komenet.jp/data/jukyuudb/jukyuudb1/
2025年度は米の消費量が急減
直近では回復傾向にあった米の消費量ですが、2025年度に入ってから前年比マイナスの状態が続いています。特に4月から7月にかけては前年比9〜10%程度の大幅な落ち込みとなり、その後は縮小幅がやや緩やかになる傾向が見られます。
月ごとの推移は以下の通りです。2025年度は、前年度と比べて精米消費量が大きく減少したことがわかります。

出典:公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構「米の消費動向調査」
https://www.komenet.jp/data/jukyuudb/jukyuudb1/

米離れの主な原因
国内では長期にわたって緩やかな米離れが進んできましたが、2025年度にはさらなる消費の急減が起きました。少子高齢化や食の多様化・簡便化という構造的な要因に加え、米の価格高騰という短期的なショックが重なったためです。
ここでは、米の消費者ニーズと、市場構造の実態を解説します。
少子高齢化と人口減少
農林水産省の白書では、米の消費量減少の背景として、少子高齢化や人口減少が明示されています。実際に、米・米加工品の摂取量は2001年と比較して60歳代で25.4%減少しており、高齢層における摂取量の急減が顕著です。

また、ほとんど毎食ごはんを食べる人の割合を年代別に見ても、50歳代・60歳代で低くなっている傾向があります。人口の高齢化と相まって、米の主要な消費層である中高年層で摂取量が減少していることが、全体の消費量減少につながっていると考えられます。
出典:
農林水産省「令和6年度 食料・農業・農村白書」第4節 食料消費の動向と食・農のつながり
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/r6/r6_h/trend/part1/chap5/c5_4_00.html
厚生労働省「国民健康・栄養調査」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450171
ライフスタイルの変化
共働き世帯や単身世帯の増加を背景に、手軽に食べられるパンや麺類が朝食・昼食で選ばれやすくなっています。農林水産省の白書でも、ライフスタイルの変化に伴う食の多様化・簡便化が、米の消費量減少の要因として挙げられています。調理済みの惣菜を扱う中食市場は2023年に11兆円規模まで拡大しており、炊飯を必要としない食品への需要が高まっているとも考えられます。
出典:農林水産省「令和6年度 食料・農業・農村白書」第4節 食料消費の動向と食・農のつながり
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/r6/r6_h/trend/part1/chap5/c5_4_00.html
米の店頭価格の高騰による買い控え
2025年に米の小売価格が高騰したことも、消費者の買い控えを招いた要因の一つです。大まかな傾向として、2022年夏に5kgあたり約2,000円だった価格が、2025年に入ると4,000円を超え、夏から秋にかけては5,000円台に達するなど、2倍以上に上昇しました。
出典:統計局「小売物価統計調査 小売物価統計調査(動向編)」
主要品目の都市別小売価格-都道府県庁所在市及び人口15万以上の市(2000年1月~)
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003421913
こうした価格水準は、生活者が受け入れられる範囲を大きく超えていたと考えられます。株式会社クロス・マーケティングが実施した「お米に関する調査(2024年)」では、米不足になる前の米5kgの購入価格は平均2,167円で、今後日常的に購入してもよいと思う上限価格は平均2,354円でした。ある程度の値上がりは受け入れる意向がうかがえるものの、その後の実勢価格である4,000〜5,000円台は、許容できる上限の倍近い水準です。

出典:株式会社クロス・マーケティング「お米に関する調査(2024年)」
実際に、価格の上昇は購買行動の変化として表れています。株式会社クロス・マーケティングが実施した「食品の値上げに関する調査(2025年)」では、値上がりしたと思う食品として「お米」を挙げた人が75.6%で最も多く、2位の「葉物類(キャベツ、ほうれん草)」(64.9%)を大きく上回りました。

さらに、値上げにともなって買う機会が減った食品を自由回答で聞いたところ、最も多く挙がったのも「お米」でした。一方で、買う機会が増えた食品の上位は「もやし」「豆腐」「パン」で、安価な印象を持つ食品へと購買がシフトしている様子がうかがえます。

出典:株式会社クロス・マーケティング「食品の値上げに関する調査(2025年)」
一方で、米国産や台湾産などの輸入米が5kgあたり3,000円台半ばで販売されており、価格を重視する消費者の間では、こうした輸入米を選ぶ動きも見られます。

米離れによる損失・リスク
米の消費量が減少することで、社会や経済にはどのような影響が生じるのでしょうか。ここでは、食料自給率・米農家の経営・耕作放棄地という3つの側面から解説します。
食料自給率の低下
米は国内自給率の高い品目であるため、消費が減ると食料自給率の低下につながります。実際に、カロリーベースの食料自給率は、1965年度の73%から、令和6年度には38%まで低下しました。
近年の供給熱量ベースの総合食料自給率は40%前後で推移しており、長期的には、米の消費減少や畜産物・油脂類の消費増加など、食生活の変化が食料自給率低下の背景となっていると考えられます。

出典:
農林水産省「令和6年度 食料・農業・農村白書」第2節 我が国における食料の供給
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/r6/r6_h/trend/part1/pdf/c1_2_00.pdf
農林水産省「日本の食料自給率」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/012.html
米農家の経営の悪化
米の消費量が減少すると、供給が需要を上回りやすくなり、販売価格の低下を招きます。その結果、同じ量の米を生産しても、農家が受け取れる利益は減少し、営農の継続が難しくなるケースが増えています。米の消費が落ち込む中で、農家自身が需要や価格動向を見極めながら、生産や販売の戦略を立てていかなければならない状況に直面しています。
耕作放棄地の増加
農産物の市場価格が低下すると、農家の収益も落ち込み、そこに資材や設備にかかる費用の高騰が重なることで、耕作放棄地への転換が進んでいます。耕作放棄地が放置されると、雑草が繁茂して害虫が発生しやすくなるほか、近隣農地への病害虫の拡散や、野生動物のすみかとなることによって、地域の農業全体に悪影響が広がるおそれがあります。

米の需要拡大を促す取り組み
米離れに歯止めをかけるため、官民ではさまざまな取り組みが進められています。ここでは、代表的な5つの事例を紹介します。
米粉を使った商品で新市場を開拓する
政府は、消費者のニーズに合った米粉の特徴を生かした商品の開発・製造を支援する取り組みを進めています。米粉は、パンや麺類、焼き菓子など、これまで米飯以外の用途にも活用が広がっており、政府による普及活動によって、認知や利用の拡大が進んでいます。こうした米粉商品の広がりは、米そのものを食べる機会が減少する中でも、米という素材への需要を維持・拡大する手段として注目されています。
おにぎり専門店として新業態を展開する
政府は米の消費拡大に向けて、全国各地に広がるおにぎり専門店の情報発信を行っており、米離れが続く中での新たな需要喚起の場として位置づけています。おにぎり専門店は国内での出店数が増えているだけでなく、海外の主要都市にも展開が進んでおり、米の消費をグローバルに広げる動きにもつながっています。
米の新たな飲料市場を開拓する
日本酒の製造技術をベースに、製法の一部を変えたり、フルーツやハーブなどの副原料を加えたりすることで、従来の日本酒にはない味や香りを楽しめる新しいジャンルの醸造酒を開発する動きも進んでいます。観光地への出店や、レストラン・テイスティングバーを併設した製造直売型の店舗展開、さらには物販やECなど多様な販路を組み合わせたビジネスモデルとして注目を集めています。
非食用米をバイオマスプラスチックの原料として活用する
食用の規格外となった非食用米や、賞味期限を迎えた備蓄米を原料として、石油由来プラスチックの代替となるバイオマスプラスチックを製造する取り組みも進められています。この取り組みは、耕作放棄地や休耕田などを活用して生産した米を工業用途として活用できる点で、農業の活性化にもつながるものとして注目されています。
政府は2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入する目標を掲げており、こうした米由来の素材は、カトラリーや米袋、ホテルアメニティなど、幅広い製品への採用が進んでいます。
出典:環境省「バイオプラスチック導入ロードマップ」
https://www.env.go.jp/recycle/plastic/bio/roadmap.html
日本産米・米加工品の輸出を拡大する
政府は、日本産の米や米加工品の輸出拡大に向けて、米・パックご飯・米粉製品を輸出重点品目と位置づけ、米国・EU・シンガポール・台湾・香港・中国・カナダなどをターゲットとする取り組みを進めています。
米国や香港では、日本産米を使ったおにぎりや寿司店といった日本食レストランが増加しており、外食向けを中心に需要が拡大しています。特に海外では、冷めても柔らかさと粘りが保たれるという特長から、おにぎりの人気が高まっていることも、輸出拡大を後押しする要因の一つとみられています。
まとめ
米の消費量は、人口動態やライフスタイルの変化、価格高騰など複数の要因が重なり合いながら減少を続けており、食料自給率の低下や農家経営の悪化、耕作放棄地の増加といった社会的な損失にもつながっています。
一方で、米粉商品の開発やおにぎり専門店の展開、新たな飲料市場の開拓、バイオマスプラスチックへの活用、輸出拡大など、米の新たな需要を生み出す取り組みも着実に広がっています。米離れの実態と背景を正しく理解した上で、自社の提案資料やマーケティング施策の検討に役立てていきましょう。
消費者ニーズを捉えた商品開発やマーケティング施策に向けて、調査課題の整理からご相談いただけます。
